あなたは、ある新機能を思いつき、早く作業を始めたくてわくわくしています。どんな素晴らしい機能になるだろうかと楽しみなだけでなく、なるべく早く開発する必要もあります。時間をかけてUXチームからフィードバックを得られればいいのですが、迅速に進める必要もあるので、そんな時間はありません。予算も限られているし、前にも似たプロダクトをリリースしたことがあるから、大丈夫だろう。きっとクライアントは気に入ってくれるはず…そう思っていますよね?
でも、本当にそうでしょうか。UXチームとのつながりを無視し、ユーザーとの連絡を怠れば、長期的に問題も出費も増える可能性があるのです。
現在のテクノロジーの世界では、UXがプロセスの重要な部分であることは言うまでもありません。しかし、最善を尽くしても、時間や予算が優先され、UXが軽視されてしまうこともあります。時間も予算も潤沢にある状況など起こり得ませんが、本来UXの関与は「例外的なこと」ではなく、「必要なこと」なのです。ワークフローの中でUXチームを関与させることが、プロダクトをより良いものにし、ひいてはユーザーの幸せとビジネスの収益向上を促します。
UXがどのように役立つか
UXチームは、さまざまな分野で状況を一変させるインサイトや貴重なフィードバックを提供してくれるので、時間と予算を節約することができます。UXデザインは、見た目を美しくするだけではありません。Don Normanは次のように言っています。「UXとは考え方です。人々の根底にある真のニーズを見極め、それを手助けするプロダクトやサービスを提供することなのです」。体験は、ユーザーが最初に気づくものであり、あなたの会社に対する印象を決定づけるものです。ハイテク革命の真っ只中にいる今、プロダクトは機能的かつ効率的でなければなりません。今やユーザーの選択肢はあまりにも多く、その期待値は天井知らずです。ですが、ユーザーはシームレスな動きを求めているので、いったんその譲れない条件が満たされれば、優れたUXこそがユーザーの心をつかみ、リピーターにします。
プロダクトとUXの優れたパートナーシップが、なぜ貴社のプロダクトとビジネスに最高の結果をもたらすのか、そのほんの一部をご紹介します。
ユーザー体験がすべて
ユーザーがあなたのプロダクトを使用するたびに、それが彼らのユーザー体験になります。意図したものかどうかにかかわらず、ユーザーは常に何らかの体験をします。その体験をうまく舵取りしたいと思うところでしょうが、実際にはあなたの意図が必ずしもユーザーに伝わるとは限りません。使い勝手の悪さでプロダクトの可能性を狭めたくはないものです。
アウトプットよりも成果を重視する
プロダクトマネージャーは時として、成果よりもアウトプットを重視してしまう危険性があります。PMが何のためにそれを開発しているのかを忘れそうな時、助けてくれるのがUXチームです。その助けがないと、プロダクトや機能の作業進捗や納期ばかりが気になり、開発サイクルに囚われてしまいます。UXチームは、あなたが解決しようとしている本当の問題を明確にし、掘り下げることができます。機能そのものも重要ですが、その機能が持つメリットも重要なのです。ユーザーが本当に必要としているのは何でしょうか?
手戻りが回避される
初期の開発段階でUXを巻き込む方が、後で開発チームの手直しをするよりもずっと安上がりです。また、関係者や開発チームを説得して、後からUXを変更することも難しいため、UXがおざなりになってしまうこともよくあります。そしてそれは間違いなく、プロダクトの可能性を最大限に引き出す妨げとなります。適切なデザイン手法を避けることは通常、定着率の低下はもちろん、サポートコストの増加やサービスの減速につながります。UXチームは、あなたがプロダクトの全体像を把握し、想定されるオーディエンスがそれをどのように受け取るかを理解する手助けをしてくれるため、適切で最も有用なバージョンを開発できます。
至高のプロダクトへ
多角的なやり取りによって、貴社のプロダクトが最高の状態になることが保証されます。機能やプロダクトの開発は、プロダクトチームが作るべきものを決め、デザイナーにバトンを渡し、デザイナーがそれを開発者に渡すリレー競争であってはなりません。それがQAを受け、顧客の手に渡ったら…それはもう恐ろしい伝言ゲームになるでしょう。最終的には、当初の意図とはまったく違うものになるかもしれません。途中で随時UXチームに確認し、正しい道を進んでいることを確認しましょう。
定性的データと定量的データの融合
データに耳を傾けましょう。UXチームは、定量的データと定性的データを組み合わせて、何が本当にユーザーのためになり、何がそうでないかを明確に把握します。UXチームは、経験則に基づく推測も、テストされるまでは単なる仮定に過ぎないことを理解しています。ユーザーがあなたのプロダクトをどのように体験しているかを知ることは、プロダクトチームにとってこの上なく有益です。ユーザーが必要としているのは、あなたの意見ではなく、あなたの共感です。彼らが問題にぶつかったときには、詳しく調べる必要があります。「ユーザーは賢いから自分で解決してくれるだろう」とは思わないでください。また、あなたがユーザーではないことも忘れないでください。ユーザーは、あなたのように開発した背景やプロダクトのをすべて把握しているわけではないことを覚えておきましょう。
完璧なパートナーシップ
UXチームはあなたを導くためにいるのですから、その専門知識を活用しましょう。彼らはプロダクトの人間的な側面を常に考えるように訓練されています。プロダクト担当者が、ユーザーの直面する問題やユーザーの脳の動きについて考え、それに共感したとき、真に優れたものが出来上がります。それがUXの本質です。彼らは、ユーザー像を明確にし、ユーザーに関するインサイトを提供するためのツールを備えているので、プロダクト担当はそれ以外の作業に集中できます。
あなたの意図が必ずしもユーザーに伝わるとは限らないことを心に留めておくことが重要です。機能を気に入ってもらえると確信している場合でも、UXチームを巻き込んで、すべての基本が網羅されていることを確認しましょう。UXチームはいわばコインの裏側。ユーザーがあなたのプロダクトをどのように体験するかにおいて、プロダクトチームは間違いなく大きな役割を果たしますが、彼らはその過程に欠かせない専門家です。彼らのインサイトに耳を傾けること、特に早い段階から頻繁に耳を傾けることで、あなたはこれまでにないようなものを開発できるようになるでしょう。あなたがプロダクトや機能を世に送り出したいと思ったのには理由があり、それはきっと人々にも伝わります。プロダクトとUXはドリームチーム。力を合わせることで無敵になるのです。