視点

Netflixによる報酬90万ドルのPM職募集から読み取るAIの未来

2023年8月22日 公開
AIは形勢を一変させることができるツールである。ただし、うまく活用するには企業におけるプロダクトのリーダーシップが重要になる。

ChatGPTの登場以来、ビジネス誌はこぞって生成AIによって組織の運営方法にどのような変革が起きるのかを論じてきました。そこでは、生成AIの影響を受けないチームや機能は存在しないというのが共通認識でした。しかし、プロダクトマネージャー(PM)へのAIの影響となると、意見はさまざまに分かれ、激論が交わされることもありました。

AIそのものに対する疑問はさておき、プロダクトマネジメントについて再考すると、その未来は決して明確なものではありません。極端な例を挙げると、Airbnbは最近、プロダクトマネジメント機能を完全に廃止すると発表し、大きな話題になりました。今考えれば、この動きはその言葉通りの実体を伴っていません。PMの中核的な業務は今もAirbnbに存在しており、ただ単にプロダクトマーケティング機能に統合されただけに過ぎません。しかし、この動きは多くのPMが自らの仕事の将来に不安を抱くきっかけとなりました。

それからわずか数週間後の現在、Airbnbの例とは正反対のプロダクトマネージャーに関するトピックが大きな話題となっています。Netflixが最近AIプロダクトマネージャーを募集し(リンク先は英語)、その報酬はなんと90万ドルでした。

NetflixのAIへの賭けとPMの役割

プロダクトマネジメント業務は今後どうなっていくのでしょうか。確かに、PMの役割を完全に排除することと、PMの報酬を100万ドル近くにまで引き上げることは両極端で、その中間にさまざまな可能性が考えられます。それでもなお、Netflixの選択からは、今後のプロダクトマネジメント業務においてAIが極めて重大な役割を果たすという未来が伺えます。また、AIを活用してビジネスを成功に導くには、効果的なプロダクト部門におけるリーダーシップが必要になるでしょう。

Netflixは、機械学習(ML)を活用して推奨エンジンの質を向上させるなど、かなり前からAI分野のリーディング企業として活躍していました。したがって、同社がAIの活用範囲をコンテンツの領域にまで拡大させることは理にかなっています。AIに関して言えば、Netflixが得意とするアジャイル開発手法、つまりPMが「カオスの縁」で業務を遂行するという手法が非常に大きな強みになっています。 

AIを活用して成功するには、プロダクトリーダーシップへの投資が必須

端的に言って、現在のAIイノベーションのスピード感は驚くべきものです。これを活用して迅速に前進するには、Netflixのように曖昧さを受け入れ、答えがすべて揃っていなくても前進できる企業文化を持つ必要があります。このような状況下で生じるカオスを乗り切る最良の方法は、強力なPMリーダーシップを確保することです。

プロダクトチームは当然、AIの取り組みを主導しやすい立場にあります。エンジニアリング、カスタマーサクセス、販売、マーケティング、さらには最近では財務も含むあらゆるチームの交差点に位置する機能として、プロダクトチームはますますビジネスを駆動する車輪の中核となりつつあります。業務を効果的に遂行するため、組織の主要な動きのすべてを把握する必要があるプロダクトチームは、ビジネスのあらゆる側面に影響するテクノロジーの導入を主導するには理想的なチームといえます。企業が困難な状況に陥ったとき、プロダクトチームを中心に事業を立て直そうとする様子はこれまでにもよく見られました。そして現在、事業を飛躍的に進化させられるテクノロジーを前に、各企業は同様の対処を試みています。 

言い換えれば、未来に目を向けるあらゆる企業にとって、AIを活用した繁栄への道には必ずプロダクトが介在するということです。  

AIとプロダクトマネジメントの未来について詳しく知りたい場合は、PendoのAIを最大限活用するためのブログ記事(英語)をご覧ください。