企業のベンチマーク調査は、進歩に不可欠な要素です。自社で成功していること(そしてもっと改善できること)についてのインサイトがなければ、成長への方向性が失われる可能性があります。しかし、多くのプロダクトチームでは、測定とデータがおざなりにされています。
お客様が同じ罠に陥らないようにするため、当社では、Pendo Oneプラットフォーム上で企業の1,100以上のアプリケーションから匿名化された集計データ*を分析しました。
エンタープライズプロダクトのパフォーマンスを、低(25パーセンタイル)、平均(50パーセンタイル)、高(75パーセンタイル)、クラス最高(90パーセンタイル)の4つのKPIで見てみましょう。このブログでは4つのエンタープライズKPIを取り上げていますが、9つのベンチマークすべてをインタラクティブなベンチマークツールで表示できます。
1. 月間アクティブユーザー数の増加
業界や地域を問わず、企業の6か月間のMAUは平均2%増加しています。言い換えれば、ユーザー数100人のプロダクトには、6か月後に2人の新規ユーザーが追加されることになります。平均で2%のMAU増加率は低いように思えるかもしれませんが、企業には長年にわたって確立されたオーディエンスとサービスがあります。
上位10%は平均の34倍の速さでMAUを追加
エンタープライズプロダクトの上位10%は、MAUが68%増加しています。このような急速なMAUの増加は、MetaのThreadsアプリのように、新プロダクトのリリース直後によく見られます。
アクティブユーザーを増やす4つの方法
- ユーザーフィードバックを収集して適用する:プロダクトチームはユーザーに耳を傾け、ユーザーのアイデアをプロダクトロードマップに追加する必要があります。これが、ユーザーを喜ばせ、引き付けるプロダクトを作り上げる最も簡単な方法です。
- アプリ内でユーザーを教育する:使用初日から、アプリ内ガイド、ウォークスルー、リソースセンター、その他のツールを通じてプロダクトの価値を強調します。
- セグメントコミュニケーション:ユーザーに関する情報を収集し、役割ごとにセグメントを作成して関連リソースを共有します。
- フリーミアムと無料トライアルを提供する:プロダクト主導型の組織は、マーケティング手法ではなく自社プロダクトを活用してユーザーの成長を促しています。ユーザーを追加してコンバージョンするには、摩擦が少なく、コミットメントの少ないサービスを提供するのが近道です。
2. ユーザーリテンション
エンタープライズプロダクトの1か月後のユーザーリテンション率は平均35%で、3か月後、ユーザーの約28%はまだプロダクトを使用しています。つまり、プロダクトで100人のアクティブユーザーが増えるごとに、72人のユーザーが離脱することになります。
3か月にわたるエンタープライズプロダクトのユーザーリテンション率は28%
定着率はプロダクトの年数によって変化する傾向があります。新しいプロダクトの場合、1か月のユーザーリテンション率が35%であれば、プロダクトがユーザーに価値を付加していることを示しています。定評のあるプロダクトの場合、これにより根本的な機能上の課題が明らかになる可能性があります。
リテンションの向上はガイダンスを中心に展開
- ユーザーのオンボーディングを簡単にする:新規ユーザーがプロダクトにログインする時に、PMはコア機能を強調し、プロダクトのウォークスルーとリソースセンターへのリンクを提供する必要があります。5つのプロダクトチームがどのようにオンボーディングを改善しているかをご覧ください。
- 付加価値を高め続ける:ユーザーがアプリ操作のコツをつかんだ後も顧客を育てます。チームはアプリ内メッセージとウィジェットを使用して、ユーザーが常に自分のペースで機能を学び、機能を発見できるプロダクト環境を構築する必要があります。
- プロダクトアナリティクスを活用する:課題を明確にしなければ、定着率を高めることはできません。さまざまなユーザーセグメントにわたり、プロダクトの質的、量的、視覚的なデータを調べます。セッションリプレイ、プロダクトアナリティクス、フィードバックにより上位ユーザーの行動が明らかになるため、チームは解約リスクのある顧客を価値実現へと導くことができます。
3. 機能の定着化
デジタルプロダクトのエンタープライズ機能の定着率は平均6%です。トップクラスの企業の場合、この数字は16%に跳ね上がります。業種全体で見ると、製造業のプロダクト機能定着率が7%で最も高くなっています。メディアのプロダクトは4%と低めです。
わずか6%の機能がクリックの80%を促進
機能の定着率を高める要因を判断する方法は対象となるプロダクト/機能の性質によって異なります。ビジネスサービスプロダクトの場合であれば、定着率が6%であればまずは成功と言えますが、ソーシャルメディアアプリの最新のメッセージング機能の定着率が6%であれば、警鐘が鳴るレベルで対応が必要です。
機能の定着化のベンチマークを超える4つの方法
- 定着化を容易にする:顧客が機能をできるだけ簡単に見つけて使用できるようにする必要があります。新機能を発表したら、アプリ内ウォークスルーを作成して、ユーザーに望ましい手順(特にワークフローに複数のステップが必要な機能の場合)を案内します。
- アプリ内で新機能を告知する:機能を宣伝するのに最適なツールの1つは、プロダクトそのものです。チームがガイドやツールチップを通じてアプリ内の機能を発表すると、メッセージが最も関連性の高いタイミングと場所でユーザーに届きます。
- 価値と望ましいアクションを明確にする:チームがアプリ内メッセージや機能に関するその他のコンテンツを作成するときは、その価値を明確に伝えるわかりやすい表現を使用するようにします。次に、ユーザーに実行してほしい次のアクション(ガイド付きデモの視聴など)へ誘導します。
- ターゲットを絞ったコミュニケーション:すべての機能がすべてのユーザーに関連するわけではありません。PMは、プロダクト体験プラットフォーム内で、役割、権限、技術的な習熟度別にセグメントを作成する必要があります。
4. 粘着性
平均して、ユーザーの51%が1か月のうち少なくとも1週間はプロダクトと関わり、15%が24時間に少なくとも1回はプロダクトと関わります。つまり、ユーザーの半数以上がエンタープライズプロダクトに価値があると感じ、永続的な習慣を身につけているということになります。
上位10%のプロダクトでは粘着性が毎月1.5倍に
トップクラスの企業の場合、週次の粘着率は76%に、日次の粘着率は37%にそれぞれ跳ね上がります。つまり、ユーザーの¾以上が特定の週にログインし、100人のユーザーのうち37人が特定の日にログインすることになります。
プロダクトの粘着性を高める方法
- エンゲージメントを促進する:チームは、プロダクトとの定期的な交流を促すような機能やコミュニケーションを追加する必要があります。これには、アプリ内通知、メール、その他のトリガーなどがあります。
- エンゲージメントの高いユーザーの行動を広める:PMは、プロダクトアナリティクスを活用し、最もエンゲージメントの高いユーザーに共通する行動を発見する必要があります。その後に、アプリ内ガイドを使って他のユーザーにも同じ行動をとるように促すことができます。
- 離脱の原因を理解する:最も粘着率の低いユーザーと最も粘着率の高いユーザーのデータをビジュアルで確認して、そのユーザーの行動を理解します。そこから、PMはアプリ内ガイドとウォークスルーを使用して習慣の構築と価値の発見に役立たせます。
- アプリ内ガイドを使って、ユーザーが「納得感のある体験」を得られるまでの時間を短縮する:チームがユーザーに価値を付加するのが早ければ早いほど、ユーザーがリピーターになる可能性が高くなります。
これは、企業のプロダクトチームが追跡できる(追跡すべき)ベンチマークのほんの一部です。インタラクティブなプロダクトベンチマークツールを活用すれば、業界別と地域別のパフォーマンスを掘り下げられます。
*2024年Mind the Product Benchmarks Reportの定量データは、2023年5月1日から2024年3月30日までのPendoの顧客サンプルの集計および匿名化されたプロダクトデータの分析によるものです。匿名データの共有をオプトアウトしたPendoのお客様はこの分析から除外されています。