ソフトウェア体験のギャップとは?
プロダクト体験を改善する方法

Sara Estes著  | 

5分

 

前回銀行や保険会社とやりとりした時のことを思い出してみてください。あるいは同僚とはどうでしょう。おそらくスマートフォンやノートパソコンを取り出し、モバイルアプリやウェブアプリを開いて、なにかしらのやり取りを始めたと思います。その時の体験を覚えていますか?ログインした後、スムーズに進んだでしょうか?ユーザーインターフェイスが分かりづらくて、途中で諦めてしまったことはありませんか?

やり取りをする相手が社外の顧客か、社内の従業員か、あるいはその両方かにかかわらず、現在すべての企業はソフトウェアを頼りに日々の業務を進めています。その毎日使われるソフトウェアが使いやすく業務に貢献できている場合、ビジネスに多大なる効果をもたらすことができます。ただ残念ながら、その逆のことが多く起きてしまっているというのが現状なのです。 

これまで人が行ってきた作業をソフトウェアが代わりに行うにつれ、ワークフローは改善されたものの、その体験は必ずしもスムーズなものではありません。それをPendoではソフトウェア体験のギャップと呼んでいます。

ソフトウェア体験のギャップとは

ソフトウェア体験のギャップとは、ユーザーがプロダクトに期待することと実際に体験することとの差のことです。特に、ソーシャルメディアやその他消費者向けプラットフォームが使いやすく直感的なインターフェイスを提供するようになったことで、ユーザーは自然と仕事で使用するソフトウェアも同様の操作を期待するようになりました。

ソフトウェア体験のギャップとは、ユーザーが期待しているシンプルで効率的であるはずのプロダクトが、複雑で使いづらく、イライラする原因になったときに発生します。一般的な大企業が288個ものSaaSアプリケーションを使っていることを考えると、事の重大さは明白です。ソフトウェアは今や顧客や従業員体験の中軸であるため、リテンションやプロダクトの定着化、生産性、顧客ロイヤルティといったビジネスの指標に多大なる影響を与えるのです。

ただこの「ソフトウェア体験のギャップ」という課題には、解決策があります。ギャップは埋められるのです。その方法を使えば、顧客への付加価値が高まり、従業員はソフトウェアをより効果的に使いこなせるようになります。またオンボーディング、トレーニング、サポート、およびソフトウェアにこれまでかかっていたコストを削減できます。

ソフトウェア体験のギャップを埋める方法

ソフトウェア体験のギャップを埋めるためのまず最初のステップは、ソフトウェア体験はコントロールできるものだと認識することです。それを認識した上で正しくコントロールすることで、体験は改善します。ギャップを埋めるプロセスを2つのパートに分けて説明します。

パート1:ユーザーがどのようにソフトウェアを使うかを理解する

ユーザーがソフトウェアをどのように使用しているかを理解しなければ、ユーザー体験を向上させることはできません。プロダクトアナリティクスは、ユーザーがプロダクト内でつまずいたり離脱する箇所や、最も使用している機能(あるいは最も使用していない機能)がどれか、さらにはどのような行動がリテンションや顧客満足度(NPSプロモーターなど)にプラスの効果を及ぼしているかを明らかにします。これにより、ユーザー体験の改善を勘に頼ることなく、データに基づいた即時のインサイトに基づいて反復することができます。

この定量的データをさらに補完するのが定性的データです。これは顧客フィードバックを直接収集することでデータを得ることができます。プロダクトの中で直接フィードバックを求めることで、ユーザーも思いついたときにすぐにフィードバック送ることができます。また、ユーザーがいつでもフィードバックを送信できるように、アプリ内に常に利用できる場所を作っておくことも効果的です。

パート2:ガイドを活用してユーザーを成功に導く

収集したプロダクトの使用状況やフィードバックのデータは、それを利用して改善策を実行に移さなければ意味がありません。これまでのように顧客(あるいは従業員)があまり読まないようなメールを送ったり、定例会議やトレーニングに頼ったりするのではなく、ソフトウェア体験のギャップを埋めるためには、より戦略的なアプローチが必要です。

効果的にユーザーとコミュニケーションを図れる一番の方法は、アプリケーション内でガイドやためになる情報を提供し、プロダクト自体をコミュニケーションの手段として使用することです。 

アプリ内ガイドを作成すれば、たとえば高いリテンションと相関があると思われる大事なワークフローの使い方をユーザーに案内したり、ユーザーにとって価値がある機能に誘導したりできます。また、すべてのオンボーディング体験をアプリ内に組み込んで、ガイドを活用して新規ユーザーを歓迎し、UIに慣れてもらい、正しい使い方を覚えてもらえるように導くこともできます。アプリ内でよりさりげなくサポートしたいようであれば、ツールチップを使って情報を提供したり、よくある質問に答えたりできます。サポートに同じ質問が繰り返しあるときなどに便利です。

その後:測定し、何度も繰り返す

アプリ内ガイドを作成したら、次はそこから得られるデータに注目します。ガイドのパフォーマンスを追跡して、ガイドがユーザーの行動にどのように影響しているかを理解します。ユーザーはウォークスルーを最後まで見ていますか?作成したツールチップに反応していますか?価値の高い機能への定着は進んでいますか?データを分析し、必要に応じてアプリ内ガイドを調整することで、プロダクト体験にプラスの効果をもたらすことができます。

ソフトウェア体験のギャップの改善は一朝一夕にはいきません。コツコツ小さな改善を重ねることで大きな効果を見出せるのです。プロダクトのデータをもとに、すぐに実行可能な修正、将来のリリースサイクルに合わせて計画できる改善項目、さらには長期的に見て変更すべきプロダクト戦略を特定しましょう。ユーザーからすでに得ているフィードバックを掘り下げるだけでも、プロダクト体験を改善する大きな手がかりになるはずです。