約束された品質に満たないソフトウェアプロダクトを使用したことは誰にでもあるでしょう。誤った期待値の設定や不適切なペイウォールの設置など、ユーザーがソフトウェアを離れる理由は多岐にわたります。また、ユーザーのリテンション率は業界、地域、企業規模によって異なるため、自社ソフトウェアが十分なユーザーを維持しているか、あるいは競合他社よりも多くのユーザーを失っているかを判断するのは困難です。
顧客を維持できないと、会社の収益に悪影響を及ぼします。ユーザーが長期間にわたってソフトウェアとのかかわりを持てるデジタル体験を提供することで、顧客の満足度は高くなり、長くプロダクトを使い続け、さらには支持者にもなってくれます。
ユーザーリテンションと顧客リテンション
リテンションにはユーザーリテンションと顧客リテンションの2種類があります。ユーザーリテンションと顧客リテンションは似ているように聞こえますが、2つの異なるものを測定しています。
- ユーザーリテンションは、ある期間内にソフトウェアに再度アクセスした初回訪問者またはアカウントの数を測定します。
- 顧客リテンションは、一定期間内にソフトウェアに戻ってくるアカウントの数を測定します。アカウントの従業員がソフトウェアに戻る数は対象外です。
ユーザーリテンションと顧客リテンションは似ていますが、測定するものが異なります。B2C企業では、ユーザーリテンションと顧客リテンションはしばしば同義で使われます。しかし、B2B企業では、顧客がソフトウェアに対して金銭的にコミットすることが満足度を示す指標になります。このブログでは、ユーザーリテンションをエンドユーザーの満足度の指標として扱います。
ユーザーリテンション率を測定する方法
Pendoでは、ソフトウェアの新規訪問者の総数を集計し、最初の訪問月から1か月目、2か月目、または3か月目に再訪問したかどうかで、ユーザーリテンションを測定します。ユーザーが初めてソフトウェアを訪問した場合、30日以内(1か月目)、30〜60日(2か月目)、または60〜90日(3か月目)以内に再訪するかどうかを確認します。
リテンションを、低(25パーセンタイル)、平均(50パーセンタイル)、高(75パーセンタイル)、クラス最高(90パーセンタイル)の4つのカテゴリーに分類しました。
ソフトウェアプロダクトは3か月でユーザーの70%を損失
ソフトウェアの1か月後のユーザーリテンション率は平均39%で、3か月後、ユーザーの約30%はまだソフトウェアを使用しています。100人のアクティブユーザーを追加するごとに、3か月後には30人が定着します。
新しいソフトウェアプロダクトの場合、1か月のリテンション率が39%であれば、ソフトウェアがユーザーに価値を付加していることを示しています。定評のあるエンタープライズソフトウェアの場合、ユーザーリテンション率が39%というのは、根本的な機能上の問題を示唆している可能性があります。
上位10%のソフトウェアプロダクトの場合、平均と比較して1か月目は1.7倍、2か月目は1.8倍、3か月目は1.9倍の顧客を保持しています。
製造業と消費財は、最も高いユーザーリテンション率を保持しています
業界により、ソフトウェアのユーザーリテンション率は大きく異なります。製造業がトップで、消費財、メディアが僅差で続いています。金融部門と政府部門のソフトウェアは、1か月後に顧客を呼び戻すのが最も難しい傾向にあります。
アプリがB2Cの無料ゲームである場合、ユーザーリテンション率が40%であることは、ユーザーがそのソフトウェアを楽しんでいることを示しています。しかし、日常使用を目的としたコミュニケーションアプリの場合、ユーザーリテンション率が40%というのは、まだ明らかになっていない課題があることを示している可能性があります。
小規模企業の方が高いユーザーリテンション率を獲得
従業員が200人未満の企業の場合、1か月目と2か月目の後は平均してユーザーリテンションが高くなります。しかし、3か月目より後は、従業員数が2,500人を超える企業が勝利を収めます。1か月後、小規模企業は100人の顧客のうち40人を維持します。2か月目には34人、3ヶ月目には平均16.7人のユーザーを維持します。
ユーザーリテンション率を改善するためのヒント
リテンションは単なる指標ではなく、マインドセットであるべきです。これを改善するには、次のベストプラクティスに沿って行いましょう。
- 新規ユーザーのオンボーディングを簡素化し自動化する:新規ユーザーがソフトウェアにログインした際に、コア機能を強調し、アプリ内ウォークスルーを提供し、リソースセンターにリンクします。5つのプロダクトチームがどのようにオンボーディングを改善しているかをご覧ください。
- 付加価値を高め続ける:顧客がアプリ操作のコツをつかんだ後も、顧客との関係を育みましょう。アプリ内外のメッセージング戦略を作成し、ユーザーが自分のペースで常に学び、機能を発見できるソフトウェア環境を作成します。こちらでプロダクトコミュニケーションにおいてすべきこととすべきでないこと12点について紹介しています。
- プロダクトアナリティクスを活用する:課題を明確にしなければ、定着率を高めることはできません。さまざまなユーザーセグメントにわたり、プロダクトの質的、量的、視覚的なデータを調べます。セッションリプレイ、プロダクトアナリティクス、フィードバックの取得により上位ユーザーの行動が明らかになるため、解約リスクのある顧客を価値実現へと導くことができます。
- チームミーティングで定期的にリテンションデータを確認する:誰もが簡単にアクセスでき、見やすいダッシュボードを作成します。リテンションの成功を祝います。リテンションをプロダクト開発プロセスの一部にします。チームが機能を改善し、リテンション率を大幅に向上させた場合は、その成果を評価しましょう。こうした習慣が、全員の意識を揃え、最も重要なこと(ユーザーが戻ってくる価値を提供すること)に集中する助けとなります。
ユーザーのリテンション率は、業種、地域、企業の規模によって大きく異なります。Pendoのインタラクティブなベンチマークツールを使用して、自分の同業者がどのようにユーザーを維持しているかを確認しましょう。