プロダクトマネジメント基礎編:ユーザーインターフェース(UI)とユーザー体験(UX)
ユーザーインターフェース(UI)とユーザー体験(UX)は、すべてのプロダクト担当者が実用的な知識を持っている必要のある、2つの関連する(ただし同一ではない)概念です。この記事では、それぞれの基本と、2つの違いについて説明します。
ユーザーインターフェイスとは
ユーザーインターフェイス(UI)は、あらゆるアプリケーションまたはウェブサイトの「顔」です。これは、ソフトウェアの全体的な視覚的構成と、ソフトウェアのあらゆる部分がユーザーにどのように伝達されるかを決定するものです。UIは、次の3つの主要なカテゴリで構成されます。
レイアウト
UIレイアウトとは、アプリやウェブサイトの全体的なルック&フィールのことです。これには、各画面の構造や間隔、画面上のコンポーネント間の関係、画面内のフレームを作成し、定義するための主要コンポーネントの一般的な配置、ソフトウェアにアイデンティティを与えるために使用される全体的なデザイン言語(デザインレギュレーション)、ページとコンポーネント間の遷移、ブランドを表す一貫性のある色彩、形状、フォント、視点などが含まれます。
要素
UI要素は、アプリやウェブサイトをインタラクティブにするためのパーツです。一般的な要素には、ボタン、スライダー、ドロップダウンリスト、テキストフィールドなどがあります。最近では、特にモバイルアプリケーションにおいて、物理的なジェスチャーがUIの中核的な要素になってきています。
グラフィック
UIの中で、グラフィックとは、フレームや画面、要素を物語るビジュアルのことです。グラフィックの例としては、イラスト、画像、アニメーション、動画、写真などがあります。
ユーザー体験(UX)とは
ユーザー体験(UX)とは、ユーザーのニーズに応え、ユーザーが簡単かつ直感的に操作でき、素早く価値を得られるようなプロダクトを作ることです。ユーザー体験とは、文字通り、ユーザーがプロダクトをどのように体験するかということでもあります。
ユーザーインターフェイス(UI)とユーザー体験(UX)の設計の比較
UIとUXの設計分野は異なりますが、同じように使われたり、ソフトウェアUI/UXデザインの単一の分野としてまとめられたりすることがよくあります。この2つを組み合わせたり、混同したりする傾向は、主にユーザーを重視した結果であり、それぞれのタイプの設計におけるスキルや実践を重視したものではありません。
ユーザーがアプリケーションやウェブサイトを操作する背景から、パッケージのようなものであるUIとUXは本質的にリンクしており、どちらか一方が欠けても成立しないものとなっています。しかし、この2つの分野は最終的に、別々の目標に焦点を当てています。UIが主に芸術的な技術であるのに対して、UXはユーザー行動を重視します。
UIデザインについて
ソフトウェアの世界では、ユーザーインターフェイスデザイナーはグラフィックデザイナーとしても知られています。UIデザイナーは、アプリやウェブサイトの美観をレイアウトや要素、画像として考案し、実現します。プロダクト開発というよりも広範なワークフローにおいて、UIデザイナーはアプリやウェブサイトに組み込まれるアートや、機能やプロダクトのプロトタイプを構築することに重点を置いています。
UXデザインについて
ユーザー体験(UX)のデザイナーは、UIを背景としたユーザーの操作を最適化することを目的としています。アプリやウェブサイトのレイアウト、要素、画像によるユーザー行動を、プロトタイプと本番ソフトウェアの両方でテストし、実験を重ね、インサイトとフィードバックを収集します。UXデザイナーは、インターフェースに対するユーザーの操作のアプローチと、それらの操作がユーザーにとっていかに摩擦が少なく、エンゲージメントの高い体験を生み出すか、その良し悪しに着目しています。
UIデザイナーとUXデザイナーの協働のあり方
プロトタイプでユーザーインターフェイスが大まかに定義されると、UXデザイナーは、改善に向けてUIデザイナーを導く方法を検討し始めます。その設計は使いやすいか?ユーザーが効率的に操作できるようになっているか?ユーザーの目的は一貫しているか、それとも変化しているか?どのような変更を加えれば、より良いフローを生み出せるか?UXデザイナーが実施したテストや実験から得たインサイトや提案をもとに、UIデザイナーはインターフェイスを効果的にアップデートし、プロダクトの意図を反映したアートに仕上げることができます。
UIとUXは実際にはどう違うのか
UIデザイナーの仕事は、プロダクトや機能のインターフェイスがエンジニアに渡された時点でほぼ完了します。一方UXデザイナーは、プロダクトや機能が開発され、さらにテストされ、本番稼動した時点では、ゴールの途中までしか到達していません。アプリやウェブサイトの最適化の条件はコンテキストに大きく依存するため、UXはユーザーの操作に対してより包括的なアプローチを取る必要があります。
UXデザイナーは、プロダクトやユーザーアナリティクスのデータを収集し、実験や調査を行うことで、デバイスの種類、ユーザーセグメント、地域、人口統計などを考慮しながら、プロセスを反復します。UXデザイナーは、そのインサイトをUIデザイナーに戻すことで、主要なユーザー行動指標に関連したデザインの向上を目的としてインターフェース設計を変更します。UIデザイナーは、プロダクトのブランド継続性の一環として、ルック&フィールの一貫性を維持する役割を担う一方で、UXデザイナーは、常により良い操作性とユーザビリティを実現するための試行錯誤を重ねていきます。
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