効果的なアプリ内オンボーディング戦略はさまざまな要素で構成されており、初めてプロダクトを使うユーザーを歓迎し、導き、教育するために複数の要素が連携する時に、その真価を発揮します。これらの要素を組み合わせる方法の1つが、オンボーディングウォークスルーです。アプリ内ウォークスルーを導入すると、ユーザー体験をカスタマイズし、すぐに知っておくべきワークフローへとユーザーを導くことができるため、新規ユーザーが最初にプロダクトのどのフィーチャー(機能)や部分を見ればよいか分からないままアプリケーションを使用することがなくなります。
ウォークスルーはプロダクトツアーと似ていますが、プロダクト全体の概要を大まかに紹介するのではなく、特定のタスク、フィーチャー、ワークフローに焦点を当てます。ウォークスルーでは、ユーザーがプロダクトとガイドを同時に操作できることも主な差別化のポイントです。つまり、ユーザーがプロダクトを実際に体験しながら学べるため、情報が定着しやすく、特定のプロダクトエリアの使い方を明確に理解できる可能性が高くなります。
プロダクトツアーがプロダクトに対して広範すぎると感じる場合(または補足したい場合)、オンボーディングウォークスルーは、各ユーザーのニーズに固有の状況に応じて有用な情報を提供する最適な方法です(パーソナライズに関する詳細は、以下のステップ6をご覧ください)。オンボーディング戦略の大まかな計画を始めたら、次は具体的な内容を絞り込みましょう。ユーザーはどのフィーチャーの使い方を最初に学ぶべきでしょうか?この体験を通じてどのようにユーザーを導くのがベストでしょうか?
このガイドを参考にアプリ内オンボーディングウォークスルーを構築し、新規ユーザーを強化して興味をかき立て、プロダクトを効果的に使用できるようサポートしましょう。
ステップ1:ウォークスルーで表示する内容を決定する
10ページのエッセイを書くより2ページのエッセイを書く方がずっと難しいように、オンボーディングウォークスルーで表示する内容を絞り込むことは、思ったほど簡単ではありません。幸いにも、どのフィーチャーを強調表示するかを選択するために、データ主導のアプローチを取ることができます(詳細はこのプレイブックで説明します)。既存ユーザーが最も頻繁にアクセスするフィーチャーやワークフロー、または成功に直結しやすいことが明らかなフィーチャーやワークフローを中心にウォークスルーを構築することで、新規ユーザーが可能な限り早くプロダクトの価値を見出せるようになります。
経験則として、オンボーディングウォークスルーは4~5ステップに留めることをお勧めします。この基準値を超えるウォークスルーを作成する場合は、一度に多くの情報を表示して新規ユーザーを圧倒しないよう、複数のウォークスルーに分割することを検討してください。
ステップ2:ガイドのレイアウトを選択する
ウォークスルーでユーザーを導く内容を選択したら、次はその方法を考えましょう。アプリ内ガイドのレイアウトは、さまざまな種類から選ぶことができます。最高のオンボーディング体験は複数のガイドタイプで構成され、それぞれの要素が重要な役割を果たします。
検討すべきガイドのレイアウトは次のとおりです。
ライトボックス:ページのガイド以外の部分を薄暗くしたり暗くしたりして、ガイドの内容を強調し、ユーザーの注意を引き付けます。オンボーディングウォークスルーの最初のステップにライトボックスを使用することは、ユーザーの注意を引き、ガイドの情報が重要であることを示す方法として有効です。ライトボックスは、他のガイドのレイアウトに比べてスペースが広いため、テキスト量が多い場合やワークフローの特定のステップを詳しく説明する場合にも有益です。
ツールチップ:ツールチップは比較的小さなガイドであり、ユーザーがプロダクト内で特定のエリアに移動したり、特定のアクションを実行したりしたときに表示されるアプリ内メッセージです。オンボーディングにおいて、ツールチップはページ全体を遮らないので、ユーザーが情報を読みながら同時にツールチップの示す箇所を確認するような場合に、特に便利です。
バナー:バナーは、ブラウザやスマートフォン画面の端に合わせて表示されるアプリ内メッセージです。ツールチップと同様に、バナーがページに表示されていても、通常は画面の他の部分をクリックすることができます。バナーは必ずしも特定のフィーチャーのすぐ隣に表示させる必要はないため、特にユーザーが今見た内容の詳細を学べる追加リソースへのリンクを含める場合など、オンボーディングウォークスルー終了時のメッセージに適しています。
投票とアンケート調査:意外に思われるかもしれませんが、オンボーディングはユーザーからフィードバックを収集する絶好の機会です。たとえば、ウォークスルーに投票とアンケート調査を組み込むことで、特定のフィーチャーがユーザーにとって役立つと思うかどうかを尋ねることができます。このフィードバックは、オンボーディング体験を継続的に改善し、新規ユーザーに最も役立つ情報を確実に提供していくために有益です。
ステップ3:ウォークスルーのコンテンツを作成する
使用するガイドのレイアウトが決まったら、次はガイドに表示される内容を考えましょう。フィーチャーの概要や場所を示すだけでなく、その価値を説明する文章や、ユーザーがそのプロダクトエリアにアクセスすべき理由を説明する文章を含めてください。必要に応じて、追加リソースへのリンクや、タスクやフィーチャーをより詳細に説明する動画なども含めます。
また、ウォークスルー全体のフローをストーリーボード化することで、共有したい情報がすべて網羅されているか、論理的な順序で組み立てられているかを確認することができます。ガイドの文章には「〜しましょう」や「私たち」などの言葉を取り入れ、より親密度の高い語調で、ユーザーと共にオンボーディングフローに参加することを意識してください。さらに、冗長なオンボーディングウォークスルーになることを避けるため、できるだけ明確かつ簡潔な文章を書くようにしましょう。
ヒント:オンボーディングウォークスルーに最終ステップを追加することを検討してください。最終ステップでは、ウォークスルーを完了したユーザーを称え、さらに多くのプロダクトエリアを確認することに興味を持ってもらえるようにします。これらの小さな積み重ねがオンボーディング体験に大きな変化をもたらし、ユーザーはこのようなパーソナルなコミュニケーションを高く評価します。
ステップ4:アクティベーション方法を選択する
ガイドのレイアウトを選択したら、これらのガイドをどのようにアクティブ化するかを検討します。通常、ガイドのアクティベーションには次の3つのオプションがあります。
自動:ガイドが紐付けられているページにユーザーがアクセスした際に、ガイドが自動的に表示されます。このタイプのアクティベーションは、オンボーディングウォークスルーの最初のステップに最適です。ユーザーにガイドが自動的に表示されるため、ユーザーは情報コンテンツを参照するためのアクションを実行する必要がなくなります。
バッジ:バッジでアクティブ化するガイドは、ユーザーがバッジアイコンをクリックしたり、バッジにカーソルを合わせたりすると表示されます。バッジは、ユーザーインターフェースが乱雑になるのを防ぎ、ユーザーが追加情報を必要とする場合にのみアクセスするような、より受動的なツールチップに適しています。
ターゲット要素:ガイドが紐付けられているフィーチャーまたはページをユーザーがクリックした際に、ガイドが表示されます。ターゲット要素によるガイドは、特定のフィーチャーを強調表示するオンボーディングウォークスルーの場合に特に有効です。特定のプロダクトエリアへの関心を喚起し、ユーザーのクリックを誘導できます。
ガイドのレイアウトと同様に、さまざまなアクティベーション方法を活用してください。これにより、作成したオンボーディング体験全体を通じてユーザーのエンゲージメントを維持できます。
ステップ5:ウォークスルーのターゲットを適切なユーザーに絞り込む
効果的なオンボーディングウォークスルーの作成には、適切なユーザーがオンボーディングウォークスルーにアクセスできるようにすることが必要です。コンテンツの作成が完了したら、ウォークスルーを表示するユーザーグループのセグメントを作成して、適切なターゲティングを設定します。さまざまなメタデータやプロダクトの使用状況データポイントからセグメントを作成できますが、この場合は「過去1日以内の初回訪問」などのルールから始めて、プロダクトを初めて使用するユーザーのみをターゲットに設定する必要があります。
ステップ6:最初のウォークスルーのみで終わらせない
お疲れ様でした!最初のオンボーディングウォークスルーの構築が完了しました。ただし、仕事はここで終わりではありません。アプリ内オンボーディングの優れている点は、プロダクトデータとセグメントにより、ユーザーベースの異なるサブセットに対応した複数のオンボーディングフローを作成できることです。最初のウォークスルーを作成したら、新規ユーザーの体験をさらにパーソナライズする方法をマッピングし、ユーザーのペルソナやユースケースなどに基づいて追加のウォークスルーを作成してください。
これにより、ユーザーについてすでに知っている(そして継続的に学習している)ことに基づいて、新規ユーザーに対して関連性の高い情報を提供することができます。新規ユーザーはこのようなパーソナライズを高く評価しますし、このような継続的な活動によってユーザーがプロダクトを最大限活用できるようになることが、何よりも重要です。