プロダクト主導型の組織では、すべての活動においてプロダクトが中心となります。プロダクトそのものが顧客体験になるのです。社内でもプロダクトは大いに活用され、プロダクト主導型の戦略も全社をあげて進められます。プロダクトをもとに組織全体の市場開拓戦略が決定し、推進されます。
プロダクト主導の戦略を採用するメリットは、顧客のためだけにはとどまりません。社内の各部門の作業負荷も軽減できます。プロダクト主導型の組織では、通常はセールスチームとカスタマーサクセスチームが担当する「売り込む」という作業の多くを、プロダクト自体が機能、パフォーマンス、口コミなどを通して担います。これによりコラボレーションが活発化し、メンバーはより戦略的な仕事に集中できるようになり、最終的にさらに良いプロダクトの提供につながるのです。
また「プロダクト主導型」であるということは「顧客中心」であることを意味します。近年Netflixなど多く優れたソフトウェアのおかげで、ソフトウェアに対するユーザーの期待値はこれまでになく上がっています。これはB2Bソフトウェアでも同じことが言えます。多くの既存の企業は、ユーザーが期待するプロダクト体験とユーザーが実際に得る体験とのギャップをなんとか埋めようと努力している一方で、現在ほとんどのIT系スタートアップでは最初からプロダクト主導型のアプローチを採用しています。そのため、これらの組織は効率的で、成長が速く、高いNPSスコアを獲得できます。
Hannah Chaplin氏とMarcus Andrews氏の2人のPendoプロダクトマーケティングディレクターが先日、なぜプロダクト主導型が重要なのか、そしてプロダクト主導型の組織がそうでない組織よりも優れている点は何かについて話し合いました。
以下にその概要をご紹介します。実際のウェビナーも本ページの一番下にありますのでぜひご覧ください。
1. プロダクトを中心に整合(アライン)する
プロダクト主導型組織では、顧客とのエンゲージメントを分散された手法で行うのではなく、すべてをプロダクトに統一してプロダクト自体をコミュニケーションツールとして活用します。たとえば、カスタマーサクセスチームはユーザーのオンボーディングを改善するためにプロダクト内でプロセスを作成したり、マーケティングチームはアプリ内メッセージを活用してアップセルまたはクロスセルの機会を推進したりします。プロダクト主導型の組織は、プロダクト自体を顧客とのコミュニケーション手段とすることで、ユーザーをサポートするための負荷を軽減し、セルフサービスのヘルプやガイドを提供することで、ユーザーにより良い体験を提供します。
2. 勘ではなくデータに基づいた意思決定を行う
プロダクト主導型の組織は、プロダクトマネジメントとデータサイエンスの両方をうまく組み合わせて業務を遂行します。プロダクトで何が起きているのか、ユーザーがどこで困っているのか、どの機能が最もよく使われているのか、どのプロダクトに関するリクエストが最も支持されているのかを正確に把握しようとします。(それをすべて可能にするのがPendoです。)特に、企業が成長し規模が拡大するにつれて、勘だけに基づいた意思決定ではムダなコストやビジネスの損失につながりかねません。そこで、判断した内容を裏付けるデータが非常に重要になります。また、強力なデータはプロダクトチームが自信を持って組織全体とコミュニケーションする上でも役に立ちます。社員の採用など、追加リソースの必要性について主張するためにも役立ちます。
3. プロダクトをマーケティングツールとする
従来マーケティング担当者が顧客とコミュニケーションをとる方法は、メールしかありませんでした。しかし、正直なところマーケティングメールを待ち望んでいる人などほとんどいません。それに代わり、プロダクト主導型の組織では、アプリ内メッセージを使って顧客とコミュニケーションを行います。これにより特定のグループやユーザーをセグメント化してターゲットすることができます。アプリ内メッセージでは、たとえばイベントへの出席を促したり関心を引いたりすることができます。このようにアプリ内メッセージはマーケティングキャンペーンの目標を達成するために非常に効果的なツールです。また、マーケティング担当者が重要な情報を状況に応じて顧客に伝えるためにも役立ちます。新プロダクト、最新情報、またはサービス廃止などの情報を伝えるのに最適です。
4. 効果的なオンボーディング体験を作る
プロダクト主導型の組織は、定着化に重要な「第一印象」を重要視し、ユーザーにとって良いオンボーディング体験を提供します。特別なサービスやサポートを提供することで顧客を満足させることはできますが、これは1対1だからできることであり、プロダクト主導型の組織で大規模に機能させることはできません。そのため、人間主導型のオンボーディングプログラムを補完するものとして、プロダクトを活用します。基本的なユーザートレーニングとオンボーディングのフローを自動化してプロダクト自体に組み込むことで、サポートチームはより複雑な問い合わせに集中することができ、お客様に対して質の高いサポートを提供できます。
5. ユーザー自身で問題解決できるよう支援する
今では多くの人が電話やチャットでサポートを受けるよりも、自分で問題に対する解決策を見つけることを好みます。プロダクト主導型の組織は、ユーザーがどこにいても対応できるようにさまざまなツールを活用することで、プロダクトを介してユーザーをサポートできます。これは両者にメリットがあります。ユーザーは問題が発生する前に情報を得ることでトラブルを未然に防げます。また問題が発生しても、ヘルプセンターなどの情報源を活用できます。サポートチームは問い合わせ数が減ることで負荷が減り、より戦略的な作業に時間を使えます。活用できるツールを以下にいくつかご紹介します。
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- セルフサービスのアプリ内ヘルプセンター
- パーソナライズされたオンボーディングフロー
- プロダクトについての最新情報の提供
- ナレッジベースとの連携(例:Zendesk)
- アプリ内のツールチップとチュートリアル
6. フィードバックを収集し、ユーザーとコミュニケーションする
これまでは、プロダクトに関する決定事項のほとんどがトップダウンで行われていました。そのため、ユーザーは自分たちの声が届いていないとの不満を抱えていました。しかし、プロダクト主導型の組織は、最高のプロダクトを作るにはユーザーのフィードバックが不可欠であることを理解しています。Pendo Feedbackのようなツールを使って顧客のフィードバックを収集して一元管理し、優先順位をつけます。そして、ロードマップや機能リクエストに関する最新情報をユーザーと共有します。プロダクト主導型の組織では、一般的にプロダクトフィードバックポリシーが用意されていることが多く、このポリシーを策定することで、ユーザーの期待値の管理やプロセスの明確化が行えます。
どこから始めればよいか
プロダクト主導型組織になるためのヒントをいくつかご紹介します。
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- Check out our resources on the Product-Led Hub—your one-stop-shop for all things product-led growth at Pendo
- 「どうすればより良いプロダクト体験を開発できるか」を考えます。単にプロダクトを使うことだけでなく、「プロダクト体験」が重要だということを忘れないようにしましょう。
- プロダクトを使って従業員をサポートする機会を見つけます。プロダクトを活用することで従業員の負荷を軽減し、より戦略的な作業に集中できるようにするにはどうすればよいでしょうか。
- プロダクトに関する指標に基づいてチームを整合し、部門間の進捗状況を測定できる共通言語を確立します。
プロダクト主導型の重要性とメリットのさらなる詳細については、ウェビナーをぜひご覧ください。