エンタープライズ企業がプロダクトを活用して「安定」と「スピード」のバランスを取っている方法

Pippa Armes著 |

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企業は成長するにつれ、かつてスタートアップや小規模事業者だったころのスピードと柔軟性を持って活動することがほぼ不可能になります。この課題の要因の多くは、単純に成長の物理に起因するものです。会社の規模が大きくなればなるほど、物事の動きは遅くなりがちです(そして、変化が起こるまでに時間がかかるようになります)。 

そして、企業にとって規模拡大の課題となっているもう一つの要因が、古き良き官僚主義です。意思決定は、組織内のさまざまなレベルで承認される必要があります。その結果、(ソフトウェア業界では)機能のリリースが遅延したり、機能が時代遅れになりかねません。また大規模な組織では、業務のサイロ化により、共通の目標に向かって社内チームを結集するのに苦労することもあります。さらに、共有されたビジョンがなければ、チームは不満が鬱積したり、的外れな業務に集中したりしがちで、戦術的に瑣末な事柄に焦点を当てすぎるあまり、「なぜやるのか」という全体像を見失ってしまいます。

しかし、洗練されていなかったスタートアップから安定した企業への進化に伴って増大する痛みは、必ずしも悪いことではありません。規模が拡大すると、可能な限り最高のプロダクトとサービスを開発して提供するためのリソースと人材へのアクセスが増加します。そして実は、これらの課題の多くを解決するために企業が求めている答えは、彼らが開発したり購入したりするデジタルプロダクトの中にすでにあるのです。

 

企業は自社のプロダクトロードマップを使用して、共通の長期戦略に沿ってチームを編成し、コミュニケーションを図り、連携させることができます

最高のロードマップとは、プロダクトの使用状況やユーザーからのフィードバックなど、定量的・定性的なデータに基づいて作成され、プロダクトの「なぜ」を明確に伝えることができるものです。ロードマップは、ユーザーからのコンテキストに沿ったフィードバックに裏打ちされた明確な軌跡を示すことで、エンジニアリング、開発、市場投入に向けた取り組みに優先順位をつけることを可能にします。ロードマップにより、会社のポートフォリオ全体における各プロダクトの長期戦略を伝えることで、組織内の競合する優先順位のノイズを抑え、価値をもたらす正しいことに時間とリソースを集中させることができます。

また、優れたロードマップにより、企業の購買担当者(および社内では組織のリーダー)はプロダクトの将来に確信を持てるようになります。たとえ、そのソリューションがまだすべてのニーズを満たしていないとしても、ロードマップは、警戒心の強い見込み客や社内の関係者に、プロダクトの方向性を明確に示し、一緒にやっていこうと思わせることができます。そうすることで、有機的な成長と拡張を促進することができるのです。

企業は、ポートフォリオ全体のプロダクトについてデータに基づいたロードマップを作成することで、サイロをなくし、企業の各チームがビジネスを推進する上での各自の役割を理解できるようにできます。また、ロードマップは、エンジニアリングのリリース計画における取り組みの整理と検証に役立ち、長期的な戦略と短期的な反復のバランスをより効果的にとることができるようになります。

 

プロダクトアナリティクスは、企業全体(プロダクト、カスタマーサクセス、IT、マーケティングなど)のチームに、ポートフォリオ全体のユーザー行動とプロダクトパフォーマンスに関する重要なインサイトを提供します。この情報がなければ、プロダクトおよび企業リーダーは、顧客や従業員にとって何が有効か、どこに価値を見出しているのか、どこでつまずいているのかを知るすべがありません。このようなデータの欠如によりビジネスのあらゆる分野でリソースが浪費され、顧客の解約や従業員の離職の可能性が高くなります。

プロダクトアナリティクスを使用すると、会社のプロダクトの方向性について、データに基づいたより良い意思決定を行うことができるだけでなく、顧客やユーザーに生じつつある課題に積極的に対処することもできます。これにより、迅速性が向上し、プロダクトのパフォーマンスを評価するための遅行指標への依存が減り、適切なチームがユーザー体験の低下に起因する修復不可能な損害に対して先手を打つことで、顧客体験を向上させることができるのです。

アナリティクスは、プロダクトおよびIT部門のリーダーが、顧客がプロダクトをどのように切り替えて使っているか、または従業員が社内のアプリスイート全体でどのように作業しているかを理解するのにも役立ちます。これにより、組織のポートフォリオ全体における各プロダクトの健全性とパフォーマンスのベンチマークを行い、十分に活用されていない(つまりユーザー体験が低下している可能性がある)機能を特定し、チームの時間とリソースをどこに投資するかについてより適切な決定を下すことができます。

 

企業はアプリ内メッセージを使用して、リアルタイムでユーザーとコミュニケーションを取り、理想的な行動に導くことができます

アプリ内メッセージ またはガイドも、エンタープライズ組織が、変化するユーザーニーズや行動トレンドに迅速に対応するための方法の一つです。長期的または通常のコミュニケーション戦略に支障をきたすこともありません。

アプリ内ガイドを使えば、見込み客や顧客がプロダクトに集中している間に、プロダクト内でコンテキストに応じてコミュニケーションを取ることができます。これは次のプロダクトリリースを待たずに、緊急の発表や更新を共有する場合に特に有効です。また、オーディエンスのセグメント化、特定のユーザーコホートへのメッセージのターゲティング、リーチの拡大をすべて少ない労力で行えるため、効果的です。

社内のITチームは、アプリ内メッセージを利用して、企業内の各ユーザーやチームと効率的かつ効果的にコミュニケーションを取ることもできます。Pendo Adoptのようなデジタルアダプションソリューションは、従業員の役割やその他のメタデータに基づいて、最も関連性の高いツールやプロダクト分野でのユーザーの習熟度を高めアプリ内サポートを提供したり、アプリ内で大規模に直接役立つリソースにユーザーを誘導したりすることにより、ITリクエストやサポートチケットを削減可能にします。

 

エンタープライズ企業が自社プロダクトを活用して、信頼性の高い安定したユーザー体験を提供しながら迅速性を維持する方法の詳細については、こちらからホワイトペーパーの全文をご覧ください。