プロダクト主導型でプロダクト開発を加速する方法

Pippa Armes著 |

5分

 

世界で最も革新的な企業は、開発すべきプロダクトや機能の仮説を立てることで現在の地位を獲得したわけではありません。データを使って意思決定プロセスを進め、ユーザーが本当に求めているもの、必要としているものを開発前に把握していました。データを活用してユーザーとその体験を理解し、プロダクトに関して戦略的な意思決定を行い、イノベーションを推進することは、プロダクト主導型になるための基礎となります。データがなければ企業は直感に頼らざるを得ません。このような戦略は拡張性に乏しく、一歩間違えれば財務的破綻につながるため、必ずしもスマートな戦略とは言えません。

このブログシリーズでは、プロダクト主導型になることが顧客の健全性企業の成長、そしてユーザーの生産性にもたらすプラスの影響について説明してきました。最終回となる今回は、プロダクト主導型の戦略が、あらゆる規模や成熟度の企業において、データに基づいた意思決定を行い、イノベーションと反復をより速く実現するためにどのように役立っているかを見ていきます。

 

効果的かつ効率的なプロダクト開発に、データが重要である理由

ユーザーに大きな価値を提供できる(そしてビジネスに利益をもたらす)プロダクトや機能を開発するために、プロダクト開発チームは自社のユーザーが誰で、何を重視しているのかを明確に理解する必要があります。ユーザーがどのようにプロダクトと関わり、どのようにプロダクト内を移動するかを可視化する必要があります。また、ユーザーがどこで行き詰まっているのか、あるいはどこで最大の価値を得ているのかを見極める必要もあります。そのデータをもとに、プロダクトマネージャー(PM)と開発者は、今後のリリースで何を変更すべきかを判断できます。

プロダクトアナリティクスは、ビジネス全体のチームが拡張可能かつ客観的な方法でこの種のインサイトを明らかにし、それに基づいて行動するために不可欠なものです。これにより、ユーザーがどのようにプロダクトと関わっているかを正確に把握し、新機能や機能改善の機会を発見し、プロダクトロードマップ策定に向けた価値の高い取り組みを見出すことができます。

ユーザーの行動や期待をしっかりと把握しておかなければ、プロダクトチームや開発チームは一握りのユーザーからの事例証拠に基づいて、つまり多くの場合ユーザーベース全体の経験を反映せずに、重要な(そして時には高コストとなる)決定を下さなければならなくなります。このように客観的なプロダクトインサイトが不足していると、チームは現在のユーザーや将来のユーザーが関心があることを推測するしかありません。その結果、開発者はユーザーが実際には必要としていないかもしれないプロダクトや機能を開発することになり、時間とリソースの無駄につながります。

また、いかなるプロダクト開発の取り組みにおいても、ユーザーからのフィードバック を考慮することは非常に重要です。この定性的データは、プロダクトチームや開発チームがプロダクトに対する顧客の意見を理解して、将来的なプロダクトの改善につなげることに役立ちます。また、フィードバックによってプロダクトチームはユーザーのニーズを大規模に把握できるため、何に注力すべきかの優先順位付けの助けになります。さらに開発プロセスにユーザーフィードバックを取り入れることで、プロダクトチームは新しいアイデアを効果的に生み出すことができ、同時に耳を傾け、評価されているとユーザーに感じてもらうことができるため、最終的にユーザーのセンチメント、ロイヤルティ、リテンションの向上につながります。

 

プロダクト主導型の企業が、より迅速にイノベーションを起こすための戦術

プロダクト主導型の企業は、プロダクトアナリティクスをプロダクト開発と顧客エンゲージメントの取り組みの中心に据えています。このデータから、プロダクトや機能の使用傾向(ユーザーがどの機能を使用しているか、どの機能から最大または最小の価値を得ているか)、ファネル(ユーザーがプロダクト内の機能やページの各ステップのどこで離脱しているか)、パス(ユーザーが特定の操作の前または後に辿るジャーニー)などに関するインサイトが得られます。プロダクトアナリティクスを使用することで、開発チームはプロダクトポートフォリオ全体の課題や機会を容易に把握し、開発・リリースされている新機能の影響や成果を測定し、最小限の遅れで反復を継続することができます。

プロダクト主導型のチームは、定量的なプロダクトデータに加えて、アプリ内で投票調査やアンケート、機能リクエストなどを募ってユーザーのフィードバックを収集し、顕在化している行動傾向にコンテキストを追加しています。ユーザーがプロダクトの操作を行っている間にフィードバックを収集することで、他の手段で意見を収集した場合と比較して、ユーザーが実際に自分の考えを共有する可能性が高まり、フィードバックの質と関連性が大幅に向上します。平均すると、プロダクト主導型のチームでは、プロダクトに対するフィードバックや顧客フィードバックを収集するのにかかる時間を30%短縮できます

アナリティクスは、チームがどこに注力すべきでないかを判断するのにも役立ちます。ユーザーがアプリのあまり使われていない部分にどのように関わっているか(または関わっていないか)を理解することで、プロダクトチームは、その機能をサポートし続ける時間と労力の価値があるかどうか、あるいは、新しいものにリソースを割くためにその機能を停止または廃止すべきかを判断できます。社内関係者や顧客からのフィードバックも、PMがこのような決定を下すのに役立ちます。PMは、機能がなくなる可能性についてユーザーに意見を求め、その部分を廃止した場合に起こりうる影響についての考えをユーザーに示すことができます。

最後に、この定量的データと定性的データの組み合わせは、プロダクトロードマップを作成する上で非常に重要です。これらの定性的データと定量的データをひとつにまとめることで、PMは取り組みの優先順位付けと計画立案を行い、共有された市場投入計画を中心に部門横断的なチームの調整を行うことができます。プロダクト主導型の組織は、平均でロードマップ作業に費やす時間が30%少なく、より多くの時間を積極的な開発作業に割くことができます。また、取り組みの成果を迅速に測定するためのプロセスとツールが揃っているため、平均でリリースされた機能の有効性を30%速く測定できます。

 

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