ベストプラクティス

強力なデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の基盤

2023年8月16日 公開
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉は新しいものではありませんが、企業がそれを取り入れ、実行する方法は絶えず進化しています。

DXの考え方は、各組織の構造、テクノロジースイート、目標によって少しずつ異なりますが、近年の業界や企業( 「従来型」企業であるかハイテク企業であるかを問わず )にいくつかの傾向があることは確かです。

2000年代半ばには、ほとんどの人がDXとは、紙ベースのプロセスやワークフローからデジタルツールに移行するプロセスだと考えていました。しかし今日では、すべての企業がソフトウェア企業であり、それを販売しているか、使用しているか、あるいはその両方である可能性が高くなっています。新型コロナウイルスの拡大の際、DXの焦点は従業員がビジネスの中断を最小限に抑えながら、どこからでも仕事ができるようにシステムを立ち上げることに移行しました。

不況下で、企業がより効率的に運営し、より少ない労力でより多くのことを実現するための新しい方法を模索する中、「DX」という言葉は、自社のプロダクトと完全に一致した新たな意味を持ち始めています。

 

では、今日の「DX」とは何を意味するのか?

McKinseyはDXを「顧客体験の向上とコスト削減のために、テクノロジーを継続的に大規模展開することで競争優位を築くこと」を目的とした「組織の運営方法の根本的な再構築」と定義しています。この定義に基づけば、DXとプロダクト主導型の戦略の相乗効果を見出すのは容易なことです。

プロダクト体験、もしくはデジタル体験が顧客体験になるため、プロダクトを活用してより効率的に運用し、顧客とブランドの関わり方を最適化することがこれまで以上に重要になっています。従業員も同様です。従業員は消費者としての体験と同じように、仕事上のデジタル体験にも同じ品質と使いやすさを求めています。

DXの取り組みを始めようとしている「従来型」企業や非SaaS企業の場合、何から始めればいいのか分からないかもしれません。幸いにも、ベストな方法はプロダクト内のわずかな調整から始めることなのです。しかしこれが強力です。プロダクトを用いて効果を上げ、改善できるDXの3つの基本的な側面を見てみましょう。

 

1. プロダクトデータ

データは、確固たるビジネス戦略やDX戦略のバックボーンです。とりわけ、特にプロダクトデータからは、現在顧客や従業員がデジタル体験にどのように関わり、どのように行動しているかを真に理解するために必要な、きめ細かなインサイトを得られるので、いち早く最適化しましょう。

そのデータを取得する最善の方法は、顧客や従業員がどのフィーチャーを活用し(あるいは活用していなく)、そのフィーチャーを使用するためにどのような経路をたどり、その使用がビジネスの収益にどのような影響を与えているかを示すプロダクトアナリティクスツールを使用することです。口コミや直感に基づく意思決定はコストのかかる失敗や、時間とリソースの浪費につながる可能性がありますが、プロダクトデータを活用すれば、より客観的で偏りのない意思決定が可能になり、DXの取り組みを加速させることができます。

先に述べたように、DXの在り方は人それぞれです。そのため、データを見る際には、プロダクトがどのように、どれくらいの頻度で使用されることを想定しているかを正確に念頭に置くことが重要です。たとえば、営業チームが毎日使っているであろうSalesforceのようなアプリを、営業担当者が四半期に数回しか使わないNavanのようなアプリと同じ方法で評価、測定すべきではありません。DXの取り組みを、貴社のビジネス独自の目標に基づいたプロダクトベンチマークとプロダクトKPIに立脚させることが重要です。

2. アプリ内ガイド

自動化によって顧客や従業員とのコミュニケーション方法を合理化することは、DXの取り組みを活性化する最も簡単でありながら最もインパクトのある方法の1つです。自動化されたアプリ内コミュニケーションは、ビジネスの効率を高めるだけでなく、顧客や従業員のエクスペリエンスを向上させます。

たとえば、ユーザーが特定のワークフローを完了するのに苦労していたり、重要なフィーチャーを必要な頻度で使用していなかったりすることがわかった場合は、アプリ内ガイドを使用して、そのフィーチャーを使用するメリットを促したり、プロダクト内でそのフィーチャーを見つけられる適切なエリアに誘導したり、使用方法を説明したりすることなどが可能になります。(メールや、CSMやアカウントオーナーからの1:1のコミュニケーションのような伝統的なアウトリーチアプローチを使うのではなく)この種のメッセージをプロダクト内で直接配信することには、次のような多くの利点があります:

  • 次のリリースサイクルを待ったり、エンジニアリングリソースが空くのを待ったりする必要がなく、ガイドをすぐに導入できる
  • アプリ内ガイドのターゲットを顧客や従業員の特定コホートに設定できるため、他の人に影響を与えることなく、適切なメッセージを適切な人々に届けることができる
  • Pendoのような統合されたプロダクト体験プラットフォームを利用すれば、ガイドのパフォーマンスを簡単に監視し、ガイドを開始する前と後でフィーチャーの使用状況やワークフローの完了状況を比較して、取り組みの成果を証明することができる
  • アプリ内ガイドをプロダクトの摩擦が多いエリアに積極的に展開することで、よくある質問に先回りして、定常的なサポートチケットを削減することができる
  • CSM、サポート、アカウントチームは、顧客にプロダクトやフィーチャーの基本的な情報を繰り返し伝える時間を削減し、価値の高い関係を育むことに多くの時間を費やすことができる

強固なDX戦略のもう1つの中核的な要素は、新規顧客や従業員がプロダクトを使い始めるのを容易にすることです。アプリ内ガイドを使用すると、プロダクト自体のコンテキスト内でオンボーディングの自動化や新規ユーザーの直接トレーニングができるため、知識が定着しやすくなり、価値実現までの時間が短縮されます。しかも、それがユーザーに合わせてパーソナライズされ、調整されていると感じられる方法で行われます。これも強力なデジタル体験のもう1つの重要な要素です。

DXプロジェクトは、本質的に大きな変化を伴います。アプリ内ガイドは、顧客や従業員に大規模に変更を伝えるのに役立ちます。旧バージョンのプロダクトを段階的に廃止し、新しいユーザーインターフェース(UI)を導入したい場合は、予想外の変更とならないように、能動的にアプリ内ガイドを活用することで、ユーザーに今後の変更を知らせることができます。既存プロダクトのどうしたらよいかわからない特定のエリアについてのフィードバックが必要な場合は、アプリ内ガイドに投票やアンケートを埋め込むことで、ユーザーに暫定的な計画を知らせ、意見を求めることができます。

 

3. フィードバック

DXの取り組みに着手する際には、顧客がプロセスに参加していると感じてもらうことが重要です。そうでないと、顧客は会社に対する信頼を失い、最悪の場合は解約に至る可能性があります。 

特に、DXは反復的で継続的な取り組みであるため、貴重な時間やリソースを無駄にすることなく、必要に応じて方向転換できるように、何がうまくいっているのか(あるいはうまくいっていないのか)を関係者と確認することが重要です。顧客や従業員からの定性的なデータ、つまりフィードバックが重要な役割を果たします。顧客や従業員がプロダクトで実際に行っていることと、それらの体験に関する彼らの意見を関連付けることで、デジタル体験がどのように着地し、どこを改善できるかの全体像を把握することができます。

フィードバックを収集し、プロダクトアナリティクスデータと比較することで、顧客や従業員がプロダクト内でどのように時間を費やしているかを把握できるため、将来的な変更やプロダクトとサービスの強化をより適切に計画できます。さらに、プロダクト内で直接フィードバックを求めることで、顧客や従業員が、メールで送信されるアンケートで意見を求める場合に比べて、実際に自分の考えを共有する可能性が高まるだけでなく、フィードバックの質も向上します。また、その場でユーザーから意見を求めることで、可能な限り率直で詳細なインサイトを得ることができ、最終的に、より有意義な変化を推進するのに役立ちます。


 

プロダクトを活用してDXを推進する方法については、Product-led Hub(英語)こちらの記事を参照してください。このブログはDXシリーズの第1弾です。新しいコンテンツについては、こちらをチェックしてください。