視点

大企業組織による、より優れた従業員向けアプリを開発するための3つのヒント

2023年11月30日 公開
より良い従業員体験が、より良い顧客体験を生み出す

今日では、プロダクト体験の顧客向けの側面にのみ焦点を当てるだけでは十分ではありません。最も成功している企業は、従業員のデジタル体験にも投資を行い、社内ユーザーが毎日使用しているツールを最大限に活用できるようなサポートを提供しています。

デジタルツールを使いやすくすることは、従業員の好感度を高めるだけではありません。社内ユーザーの体験を優先し、必要なオンボーディング、トレーニング、サポートを適切なレベルで提供することは、ITコストをより効率的に使い、従業員全体の生産性を向上させ、競争の激しい雇用市場においてトッププレーヤーとしてのブランドを確立することを意味します。従業員体験の向上は、生産性、雇用市場のブランド向上にもつながるのです。

年次イベントPendomonium2023の「職場の効率化推進」分科会では、社内プロセスやワークフローの改善、従業員向けツールの定着化、そして技術投資の価値を最大化するための戦略が盛りだくさんでした。ここでは、Red Hat、Zillow、そしてPendoのリーダーが講演で語ったヒントをまとめました。従業員向けの優れたデジタル体験構築の一助になれば幸いです。

 

ヒント1:プロダクトアナリティクスでユーザーに寄り添う – Zillow

プロダクトアナリティクスは、特に企業組織が急速に進化する市場において機動力と競争力を維持する上で、重要な役割を担っています。「あらゆるリソース、強力なリーダーシップ、テクノロジーポートフォリオへの投資を持つにもかかわらず、エンタープライズ企業はしばしばスタートアップ企業によって破滅に追い込まれます」と、ZillowのシニアプロダクトマネージャーSteven Washington氏は述べています。「このようなことが起こり続ける理由の1つは、リーダーたちがプロダクトを構想する際に、ユーザーのニーズを正しく理解していないことです。」

Washington氏は、プロダクトアナリティクスを使うことが、プロダクトに関する意思決定のサイロ化、あるいは過度な政治化を防ぐ最善の方法であるのと同様に、生産性とテクノロジー支出のROIを向上させるための最善の方法であると説明しました。同氏はプロダクトの使用状況データを「情報に基づいた意思決定のための羅針盤でありツール」と表現し、これを使えば人々がプロダクトをどのように使っているかがわかるため、どうすれば彼らの体験を改善できるかを理解できると述べています。PendomoniumのセッションでWashington氏は、ZillowのPendoアナリティクスを活用したデータ主導型のアプローチにより、いかにチームが従業員の行動や課題をより深く掘り下げ、人間中心のソリューション設計を実践できるようになったかを概説しました。

運用効率と技術ROIの向上

Washington氏は、Zillowのプロダクトチームが運用効率や生産性を高める社内ビジネスアプリケーションを構築する上で、プロダクトアナリティクスの活用が不可欠だと説明しました。「プロダクトアナリティクスは、ユーザーエンゲージメントを促進し、コンテキストの切り替えを減らすのに役立っています」と同氏は語ります。

Washington氏はまた、プロダクトデータを活用することでプロダクトチームがより客観的になり、広範なZillowの戦略に沿わない単発的な機能への要望を先送りできるようになったと指摘しました。「よく目の当たりにしたのは、社内の関係者がやってきて『昨夜Netflixで見たこれが欲しい』と急に言ってくることです」と、Washington氏は語ります。しかし、このような裏付けに乏しいフィードバックは、プロダクトチームにとっては実行可能ではなく、従業員が毎日仕事で使っているツールで実際に直面している課題を反映していないことが多くあります。現在では、プロダクトチームが下す、すべての意思決定がデータを指針としているため、結果的に従業員満足度が高まり、Zillowの技術スタックが効率化しています。

先入観を排除し「直感」を超える

最後にWashington氏は、プロダクトアナリティクスによってチームがバイアスに対処し、緩和することができるとも指摘しました。「新しいフィーチャーが1人のユーザーだけでなく、複数のユーザーグループやコホートに利益をもたらすかどうかをテストすることができます」と、同氏は言います。「1人のニーズを解決したことで堰が開かれ、全員の問題を解決しなければならなくなります。それはスケーラブルではないし、ソリューション設計にアプローチする正しい方法でもありません。」

ヒント2:デジタルアダプションCoE(センターオブエクセレンス)を設立する – Red Hat

企業全体で新しいツールを展開する場合、強力なリーダーシップに支えられた一貫した戦略を持つことが、有意義な定着化を図るために不可欠です。そこでデジタルアダプションセンターオブエクセレンス(CoE)の出番となります。

Pendomoniumのセッションで 、Cheryl Coleman氏(Red Hatデジタルアダプション&ロボティックプロセスオートメーション担当シニアマネージャー)は、Red HatがCoEを設立する決断を下した理由について、同氏のチームがPendoを通じて推進しているデジタルアダプションの取り組みを軸に説明しました。

企業全体への新しいツールの展開

数年前、Red HatはすべてのレガシーHRシステムをWorkdayに置き換える決定を下しました。これが、デジタルアダプションCoE設立の原動力となりました。「Workdayの導入に伴い、70以上のビジネスプロセスをカバーする約16,000名の社内従業員、コンサルタント、請負業者への実践支援が必要でした」と、Coleman氏は説明しました。「私たちは卓越したオペレーションを確立したいと考えていました。そのためには、サービスを提供する仕組みを作る必要がありました。また、チーム外の人たちにこの取り組みの強力な推進者になってもらう方法を見つける必要もありました」と、同氏は語りました。

Coleman氏のチームはPendoアプリ内ガイドを使用して、Red Hatのグローバル従業員のためのアプリ内オンボーディング、実践支援、継続的なサポートを作成し、Pendoアナリティクスで進捗を測定しました。同氏は、特定のユーザーグループに的を絞ったカスタマイズされたコミュニケーションを作成できることが、チームにとって特に重要であると指摘しました。「私たちは、すべてのRed Hat社員に、一般的なアプリ内コンテンツではなく、それぞれに適したコンテンツを提供したいと考えています。「老婆心」と「邪魔にならない」という2点のバランスを取りたいのです。」

最終的に、CoEによるWorkdayのデジタルアダプション推進の取り組みは成功しました。「初日から本当に素晴らしいエンゲージメントを示すことができ、長期にわたって生産性と効率性に影響を与えることができました」と、Coleman氏は述べました。現在、Red HatはSalesforceやConcurを含む40以上のビジネスクリティカルなツールでPendoを使用しています。

技術スタック全体で一貫した従業員体験を構築

Red Hatのデジタルアダプションの取り組みをすべてCoEの傘下に統合することで、Coleman氏のチームは、作成するすべてのアプリ内ガイドの外観、ブランディング、ターゲティングに関するガバナンスを維持できるようになりました。Coleman氏のチームはRed Hat内のすべてのデジタルアダプションの活動に関与しているため、従業員のデジタル体験について総合的に検討することができ、一貫した戦略の一部であると感じられるアプリ内ガイドや実践支援プログラムを構築することができます。さらに、ツールチップ(Red Hatでは「Show Me How」バッジと呼んでいる)やリソースセンターなどの一貫した要素をスタック内のすべてのツールで使用することで、従業員が必要なサポートをセルフサービスで受けられるようにし、望ましい行動を強化しています。

ヒント3:すべての関係者を考慮し、体験をパーソナライズする – Pendo

Pendoの組織全体で最近、Workdayも導入しました。そして、この新しいツールの定着化促進のために、自社のプラットフォームを使用しました。

Pendomoniumの分科会セッションでは、Pendoチーム*のKelli Dragovich(元最高人材責任者(CPO)、業界エキスパート)、Chad Holdorf(プロダクト担当VP)、Frank Kyler(人事部リワード&ピープルオペレーション担当VP)が、Workday導入を成功させるためにPendoをどのように活用したのか、またチームのツール習熟度と生産性を向上させるためにPendoをどのように活用しているかについて語りました。

*この3人のリーダーから、Pendoを使った従業員体験向上の方法について直接話を聞きたい方は、ぜひこのウェビナーに登録してください(英語)。

従業員に共通する問題点をPendoで特定し対処

Workdayの導入プロセスを通じて、Kyler氏のチームは、Pendoを使ってPendo従業員にアプリ内アンケートを実施し、何がうまく機能しているのか、何を改善すればよいのかを把握しました。「この変更により、一部の従業員や管理職が、自分ではできないと感じたり、できたとしても必ずしも直感的で簡単ではないと感じたりしていることがわかりました」と、Kyler氏は指摘しました。

そこでKyler氏のチームは、特定のユーザーペルソナと、彼らが成し遂げようとしている仕事に合わせて、的を絞ったアプリ内ガイダンスと実践支援の構築に着手しました。これにはライトボックススタイルのアプリ内ガイドを使用し、レガシーシステムのユーザーがWorkdayで同様のタスクを完了するための適切なエリアに誘導することも含まれました。また、必要に応じてWorkday内のツールチップを使用して、GreenhouseやADPなどの補助ツールにユーザーを誘導しました。そして、Pendoアナリティクスを使用して、これらの動作を継続的に最適化しました。

Kyler氏のブログでは、どのようにPendoを使用して全社的なWorkday導入を成功させたか、その詳細を紹介しています(英語)。


 

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