プロダクトを活用してオンボーディングを提供することを決定したら、まず初めに、アプリ内オンボーディング体験でどのフィーチャーを強調表示するかを決めましょう。忘れてはならないのは、オンボーディングは、ユーザーがプロダクトに習熟し、プロダクトの価値を見出すカスタマージャーニーにおいて非常に重要であるという点です。アプリの主なフィーチャーをユーザーに紹介するだけでなく、ユーザーに適したフィーチャーへと導くことが重要です。

新規ユーザーに対して最初に公開する内容を選択することは、すなわち、プロダクトの仕組みや使い方をすぐに理解するためにはどのプロダクトエリアが重要であるかを考慮することです。その判断を行うためには、何よりもまず、プロダクトデータの検証が必要です。どのようなユーザーの行動がお客様の成果につながるのか(例:健全なプロダクトエンゲージメント、リテンション、拡大)についての理解がなければ、オンボーディング体験で示すべき内容を決めることはできません。最も影響度の高いフィーチャーをデータを基に判断すれば、推測や直感で決める必要はないのです。

アプリ内でオンボーディングを提供し、その中のさまざまな判断をデータを基に決めていくと、新規ユーザーがプロダクトを操作する際にコンテキストに沿った情報を提供し、特定のユースケースに最も関連性の高い機能を使用できるように支援できます。新規ユーザーにプロダクトを渡して、ユーザーが試行錯誤しながら自力でプロダクトを上手く活用することを期待する時代は終わったのです。

この記事では、アプリ内オンボーディングのフローでどのフィーチャーを強調表示すべきかを決定するための手順を説明します。ただし、最適化されたアプリ内オンボーディングを作成するには、継続的な実験と反復的な改善が必要なので、これを出発点と考えてください。


ステップ1:目標を明確にする

早速アプリ内オンボーディングを立ち上げようと意気込んでいるかもしれませんが、まずは、オンボーディングフローで何を実現したいのかを明確にする必要があります。

目標を明確にするには、理想的なユーザーについて考える必要があります。ユーザーは誰で、ユーザーはこのアプリケーションで何を達成しようとしていますか?ユーザーはどのプロダクトエリアを最初に理解する必要がありますか?目標を決めることで、オンボーディングの構造とコンテンツ、そして何よりも、オンボーディングで強調表示したいフィーチャーを知ることができます。

考慮すべき目標の例は次のとおりです。

  • 主要フィーチャー(機能)の認知度と定着化の改善
  • フリーミアムや無料トライアル体験からのコンバージョンの増加
  • 社内ツールの定着化(従業員向けプロダクト)

特定のフィーチャーの定着率の向上が目標であれば、オンボーディングは、それと関連するプロダクトエリアに焦点を当てる必要があります。ただしそれだけでなく、新規ユーザーがプロダクトを上手く活用するために知っておくべき、基本となるフィーチャー・機能についても、必ず考慮してください。フリーミアムやトライアルからのコンバージョンを促進したいのであれば、プロダクトの有料版が必要であると実感するところまで新規ユーザーを誘導する方法を考えましょう。

この時点で、オンボーディングフローに含めるべきフィーチャーについてのアイデアが浮かんでくるはずです。フィーチャーのリストを傍に置きながら、必ずデータを用いて検証してください。この作業が、ステップ2へとつながります。


ステップ2:データを使用してフィーチャーの最初のセットを選択する

目標とユーザーのニーズを把握し、どのようなアプリ内オンボーディングにすべきか大まかにイメージがまとまってきたら、プロダクトデータを使ってフィーチャーを絞り込みましょう。

プロダクトを上手く活用するために必要なワークフローに加え、ユーザーが最も利用しているフィーチャーを知ることも、絞り込むうえで有益です。既存のユーザーが最も頻繁にアクセスするフィーチャーを把握することで、アプリに初めてログインするユーザーをどこに誘導するべきかをよりよく理解できるのです。

「最も人気のある」フィーチャーを判断する方法は複数ありますが、一般的な方法の1つは、どのフィーチャーがアプリケーションのクリック数の80%を生成しているかを調べることです。個々のフィーチャーのデータを閲覧できる場合は、時間の経過に伴う使用状況や、訪問者およびアカウントごとの使用状況を調べることも有益です。この時点で、4~10個のフィーチャーを選択するようにしてください。次のステップでは、これらをオンボーディングウォークスルーに最低限必要な4~5個にさらに絞り込みます。


ステップ3:センチメントとリテンションへの影響別にデータを分析する

ユーザーが最も頻繁にアクセスするフィーチャーに基づいてアプリ内オンボーディング体験を構築することは重要ですが、最も満足度の高いユーザーに関連付けられているフィーチャーを選択し、リテンションにプラスの影響を与えることはさらに有益です。

ステップ2で選択したフィーチャーのセットを使用して、プロダクトデータをセンチメント別にセグメント化することから始めましょう。センチメントのデータ(NPSなど)がない場合は、この手順をスキップしてください。NPSの回答によってデータをセグメント化できる場合、各フィーチャーの使用方法がユーザーのNPSスコアによって異なるかどうかを確認します。推奨者による使用状況を最も人気のあるフィーチャーのリストと比較すると、オンボーディング体験にどのフィーチャーを含めるのが最適かを検証するのに役立ちます。

最終的には、新規ユーザーを価値実現につながるフィーチャーに誘導し、さらに長期的な使用を促す必要があります。したがって、センチメントによってデータをセグメント化した後、各フィーチャーがリテンションに与える影響を検証してください(プロダクトアナリティクス機能で可能な場合)。このようにして、長期的にわたってアプリを再訪問するユーザーと相関するフィーチャーを特定することができます。


ステップ4:選択肢を絞り込む

これまでのステップで収集したすべてのデータとインサイトを鑑みて、オンボーディング体験にどのフィーチャーを含めるかを決めましょう。新規ユーザーが初めてアプリにログインした際に圧倒されることがないよう、主要なフィーチャーは4〜5個に絞り込むことをお勧めします。新規ユーザーが知っておくべきフィーチャーが5つ以上ある場合は、各フィーチャーを、初回のオンボーディングとその後数週間から数か月間にわたってユーザーに提供する追加のガイド(例:ツールチップ)に分けて表示させることを検討しましょう。


ステップ5:経時的に反復する

このステップは他のステップほど明快ではありませんが、重要なポイントは、オンボーディングが流動的なものであることを覚えておくということです。常にアプリ内オンボーディングの有効性を測定し、それに応じて微調整を行う必要があります。プロダクトに新しいフィーチャーが追加されたり、改良が加えられたりする可能性があるので、最初に選択したフィーチャーは、将来的にはオンボーディングで強調表示すべきフィーチャーとして最適ではなくなるかもしれません。同様に、初回のアプリ内オンボーディングの準備が整ったら、次のステップとして、プロダクトデータをさらに掘り下げ、ユーザーベースのさまざまなセグメント向けにパーソナライズされたオンボーディングフローの構築を開始しましょう。