ベストプラクティス

デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みに役立つ6つのプロダクト指標

2022年10月10日 公開
DXは「一度設定したら忘れる」ようなものではありません。

DXプロジェクトの重要な要素は、継続的な測定と最適化です。進捗状況を常に把握し、顧客や従業員が使用ツールの変化をどのように受け止めているかを着実に理解し、何がうまくいっているか(またはうまくいっていないか)を評価することで、組織は適切なリソースが適切な場所に配置されるよう徹底でき、必要に応じて配置転換できます。

特にプロダクトチームは、DXの取り組みの成功を測定する上で重要な役割を担っています。顧客体験とは、つまるところデジタル体験であるため、ユーザーが利用するアプリやプロダクトによってブランドや提供する価値の受け取られ方が決まります。

ここでは、企業のDXの取り組みを通じてプロダクトチームが評価すべき(また影響力を持つ)指標と、Pendoを使用してそれらを測定する方法をご紹介します

 

1. プロダクトエンゲージメントスコア(PES)

プロダクトの健全性の全体像を把握する

プロダクトエンゲージメントスコア(PES)は、ユーザーや顧客がプロダクトとどのように関わっているかを測定する単一の指標をプロダクトチームとリーダーに提供します。これは複合的な指標で、プロダクトの定着率、粘着率、成長率の平均を取り、ベンチマークや経年評価がしやすい1つのスコアを形成します。PESは、プロダクトのパフォーマンスを迅速かつ大まかに把握する方法で、包括的なデジタルトランスフォーメーションのレポートダッシュボードに組み込むのに最適な指標です。

プロダクトエンゲージメントスコアは、訪問者またはアカウントのどちらに基づいて測定するかを選択できます。プロダクトをチームではなく個人のみが使用している場合、各PESコンポーネントは訪問者レベルでのみ測定する必要があるでしょう。しかし、会社が新しいロゴの取得に重点を置いている場合は、アカウントレベルでの成長、および全体的なPESを測定することが、その取り組みを最もよく反映します。PESの設定を組織のDXの優先事項に合わせることで、プロダクトへの取り組みをビジネスにとって最も重要なことに結び付けることができます。

PESはプロダクトエンゲージメントを1つの数字にまとめるものですが、プロダクトの改善機会を特定するのにも役立つため、関連する他のトランスフォーメーションの取り組みにおける指針にもなります。PESの3つの指標をそれぞれ掘り下げることで、どの指標が平均を下げているのかを特定できます。このデータを他のプロダクト指標と組み合わせることで、プロダクトパフォーマンスの各領域の背後にある「理由」を明らかにし、今後の戦略を調整できるようになります。

 

2. プロダクトの定着化とリテンション

プロダクトを利用するユーザーの数、およびその頻度を確認する

最も利用されているフィーチャーは何か、またユーザーのリピート率が高いフィーチャーはどれかを理解することが、より良いプロダクト開発とDXの推進には欠かせません。定着率は、何人のユーザーがプロダクトを使用したか(プロダクトの定着化)またはその中の特定のフィーチャーを操作したか(フィーチャーの定着化)を測定します。プロダクトが意図したとおりの頻度で使用されているか、意図した価値を提供できているかを判断するのに最適な指標です。一方、リテンションは、プロダクト(または特定のフィーチャー)を最初にインストールしたり使い始めたりした後に、継続して使用しているユーザーまたはアカウントの割合を測定します。

これらの指標はどちらも、特定の変更管理や実践支援活動が実際に目立った変化をもたらしているかどうかを把握する迅速な手がかりとなるため、DXの取り組み全体で追跡する価値があります。また、顧客、従業員、その他のエンドユーザーがプロダクトや特定のフィーチャーに戻り、長期的に使用し続ける可能性が高いかどうかを示す貴重な指標でもあります。たとえば、従来のプロダクトよりも新たに設計されたプロダクトの方が定着率が低下していることに気付いた場合は、アプリ内サポートと教育の強化や、従来の体験と新しい体験の間にどのような隔たりがあるかを知るためのアンケートの実施を検討する必要があるかもしれません。

3. ユーザージャーニー

パスとファネルを使用して、ユーザージャーニー全体をマッピングする

Pendoのようなプロダクトアナリティクスツールを使えば、ユーザーがアプリをどのように操作しているのかを、苦戦している箇所や行き詰まっている箇所も含めて正確に把握できるため、ワークフローを簡素化したり、トレーニングや実践支援を強化したり、ユーザーインターフェース(UI)要素を調整したりすることができるようになります。Pendoでは、パスファネルを使用して、プロダクト内のユーザー体験のフロー全体を確認し、重要なステップの完了前に離脱するユーザーを減らすことができます。

パスとファネルは、投資しているフィーチャーが、プロダクト内のユーザーフローに役立っているのか、または妨げているのかを評価するのに最適な方法です。ユーザーは、プロダクトの価値提案やデジタル戦略に基づいて期待通りにフィーチャーやページを活用しているでしょうか。また、セグメントを使用すれば、さらに詳細を掘り下げ、役職や権限などのメタデータに基づく特定のユーザーグループが、他のグループよりもうまく活用しているかどうかを特定することもできます。このようなインサイトを活用することで、顧客と従業員にとって最適なデジタルジャーニーを描くことができるのです。

 

4. 価値実現までの時間

コアイベントを使用して、ユーザーがプロダクトの最も価値ある領域を見つけるまでにどれくらいの時間がかかるかを確認する

価値実現までの時間は、顧客がプロダクトを使い始めてから、価値を引き出し始める(「アハ体験」とも呼ばれる)までの時間を測定します。Pendoでは、プロダクトの最も重要な10個以下のフィーチャー、またはユーザー体験を成功に導くために活用してもらいたいフィーチャーであるコアイベントを使って価値実現までの時間を測定できます。新規訪問者がコアイベントを初めて使用するまでの平均時間、最短時間、最長時間を調べることで、顧客がプロダクトから価値を実感するまでの速さ(や遅さ)を判断し、その時間をさらに加速するために必要に応じて戦略を調整できます。

特にDXと変更管理に関しては、価値実現までの時間を短縮することがプロダクト体験の成否を左右します。言い換えれば、ユーザーがプロダクトのメリットをすぐに実感できなければ、チームが現在取り組んでいる改善をユーザーが体験できるまで使い続けてくれる可能性は低いということです。価値実現までの時間を、ユーザー体験と実践支援のギャップを特定する道しるべとして使用し、ビジネスの最優先事項に基づいて、まっさきに取りかかるべき最適化の取り組みを決定しましょう。

5. ネットプロモータースコア(NPS)

経時的に顧客センチメントを理解し、測定する

ネットプロモータースコア(NPS)は、企業が顧客ロイヤルティを測定する最も一般的な方法の1つです。NPSはシンプルな指標ですが、さまざまな業界で顧客満足度の標準的な尺度として使用されており、長期にわたって簡単に追跡できます。NPSスコアは業界によって大きく異なるため、自社に最も類似した企業に対してベンチマークを行うことが重要です。また、自社やプロダクトのNPSを長期にわたって追跡し、特に戦略の変更、プロダクトのアップデート、マーケティングキャンペーンなどのビジネスイベントと重なる時点の大きな変化に注意を払うことも重要です。

Pendoを使用すると、プロダクト内で直接NPS調査を実施できるため、定性的な回答の質が大幅に向上する上、ユーザーがアンケートに回答してくれる可能性も大幅に高めることができます。また、NPS は定着率や粘着率などの他のプロダクト指標ほど実用的ではないように思えるかもしれませんが、顧客満足度(さらには顧客の成長)に対しての貴重な指標となります。DXの取り組みに関して言えば、NPSは、その戦略が機能しているのか、逆に戦略を方向転換する必要があるのかを企業のリーダーやその他のステークホルダーに確信させるのに役立ちます。

 

6. フィーチャーリクエストとフィードバック

顧客が実際に何を考えているのか、そして次に何を望んでいるのかを知る

プロダクトの発見は、これまでプロダクトチームが効果的かつ大規模に行うことが難しい分野でした。特に、複数のソースから顧客フィードバックが殺到し、データが複数の場所に保管されている場合、次に何をすべきか、どこに優先順位を置くべきかを判断するのは非常に困難です。定量的なプロダクトデータと定性的なユーザーフィードバックをPendoのような単一のプラットフォームに集約することで、具体的な要望を掘り下げ、どれだけの顧客が同じものを求めているかを理解し、デジタルトランスフォーメーションの取り組みの一環として注力しているフィーチャーが、実際に顧客が求めているものと一致しているかどうかを判断できます。

フィードバックに耳を傾ける(そして顧客や従業員とフィードバックに関してやり取りし、循環させる)ことは、ユーザーの意見を大切にしていることを示し、信頼とロイヤルティを築くことにもなります。特に変化の時期には、常に意見を聞く姿勢を保つことで顧客に安心感を与え、賛同者を増やし、ステークホルダーをプロダクトジャーニーに引き付ける上で役立ちます。