マーケティングチームにとってプロダクト主導型企業であることの意味

プロダクト主導型マーケティングは、プロダクト主導の原則をマーケティング業務に適用するビジネス戦略です。プロダクト主導型のマーケティングチームは、プロダクトを顧客体験と市場開拓活動の中心に据えています。ユーザーがプロダクトの価値を直接体験できるようにすることで、プロダクトを独自の販売およびマーケティングのツールとして活用しています。また、主要なマーケティングコミュニケーションをプロダクトの中に組み込むことで、より効果的に、最も多くの人を惹きつけることができます。

ユーザーのプロダクトへの期待値が高まる中、SaaSモデルによってベンダーやサービスの変更がいとも簡単にできるようになりました。ユーザーはプロダクトやサービスの価値を消費者に見せる(魅せる)のではなく、単に説明する「従来型」のマーケティング手法を受け入れ難いと感じるようになっています。今日の購買担当者は、ソフトウェアへに精通しており、購入に関してより慎重です。そして、長い販売プロセスや派手なマーケティングトークの代わりに、確かな証拠や自らプロダクトを体験できることを求めています。

プロダクト主導型の組織では、マーケティングチームはプロダクト部門や営業部門と緊密に連携して、「フリーミアム」と呼ばれる戦略でプロダクトの一部の機能を提供し価値を体験してもらうことで、この証拠を提供します。 フリーミアムモデルによって、プロダクト主導型組織は各リードがファネルの通過する際にどのようなリードであるかを詳しく理解できるため、マーケティングチームと営業チームの双方は、これらの見込み客と関わる際に大切になる行動の糸口を見出すことができます。具体的には、プロダクト主導型組織は、従来のマーケティングクオリファイドリード(MQL) に加えて、プロダクトクオリファイドリード(PQL) も追跡します。PQLとは、無料トライアルや限定サポートの提供中にプロダクトに関わった時間など、プロダクトの価値を実感できる使用状況に到達した個人または組織のことです。PQLはすでにプロダクトに慣れ親しんでいるため、利用を促し忠実な顧客になって(できればコンバージョンして)もらうことが容易です。

プロダクト主導のマーケティングチームは、アプリ内メッセージ(ガイド)を活用してユーザーの初期のプロダクト体験を改善します。ガイドを使ってプロダクトの中を誘導し、プロダクトの主要機能に焦点を当てて、理想的な使用方法を奨励します。これにより顧客はプロダクトのメリットを自ら体験できるため、マーケティングリソースをより価値の高い業務に割り振ることができます。


プロダクト主導マーケティングチームの基本原則

データ主導である

プロダクト主導のマーケティングチームは、データを使用して市場開拓戦略を計画することの重要性を理解しています。プロダクトアナリティクスを活用し、ユーザーの行動をモニタリングして学習することで、どこに活動の重点を置くかを決めることができます。このデータは顧客ベース全体において、プロダクトの使用やコンバージョンを促進する重要なポイントがどこなのかを特定するのにも役立ちます。これにより、プロダクト内でのメッセージングや定着化を促進する施策を改善することができます(例:カスタマーサクセスと協力して新規ユーザーのオンボーディング体験を向上させる)。また、プロダクト主導のマーケティング担当者は、プロダクトの使用状況と顧客のセンチメントに関するインサイトを使用してパワーユーザーや潜在的な支持者を特定し、そうしたユーザーにプロダクトの人気を高めるレビューや口コミを提供してもらうよう働きかけます。

プロダクトを主要なマーケティングチャネルとして使用する

プロダクト主導のマーケティングチームは、プロダクトを顧客とのコミュニケーションのチャネルとして活用しています。メールや外部コンテンツといった従来の(そして大部分は飽和状態にある)チャネルだけに頼るのではなく、アプリ内メッセージを使って、ユーザーがプロダクトをナビゲートできるようにしたり、アップデートやお知らせ、ニュースを共有したり、主要機能に注意を向けさせたりしています。この種のアクティビティをプロダクト内に取り込むことで、マーケティングチームはより的を絞った、状況に応じたガイダンスを提供できます。プロダクトアナリティクスとアプリ内メッセージを組み合わせることで、マーケティング担当者は、ユーザーの行動や意図に基づいて一部の特定のユーザー向けにメッセージをセグメント化し、ターゲティングすることもできます。このようにして、マーケティング担当者は効果的なアップセルの機会を促進しながら、顧客が目標を達成するのに役立つより関連性の高い情報を提供できます。

運用がプロダクトのリリースと連動している

プロダクト主導型組織では、マーケティング組織内に専門のプロダクトマーケティングチームを含めるのが一般的です。一般的には、プロダクトマーケティングマネージャーが特定のプロダクトの市場開拓戦略を監督する責任を負います。プロダクトチームや営業チームなど、組織全体のチームと協力して、主要な機能を顧客や見込み客に宣伝し、需要と使用を推し進めます。顧客や買い手がベンダーを離れること(そして自身の体験について世間に伝えること)が容易になった今、プロダクトの価値を正確にポジショニングして明確にするために、今後のリリースやアップデートに合わせてマーケティングキャンペーンを行うことがこれまで以上に重要になっています。

無料ユーザーの価値を理解している

プロダクト主導型企業では、ユーザーがプロダクトの価値を実感することで、プロダクト自体が無料ユーザーを有料ユーザーに変えていくのだと考えます[プロダクト主導の成長(PLG)]。しかし、これを大規模に実現するには、見込みのある無料ユーザーが大勢いなくてはなりません。従来のマーケティング担当者は、こうした大量の見込み客に対応するために、専用の組織的な顧客獲得チャネルを構築して潜在顧客層を拡大していました。しかしこのアプローチでは費用と時間がかかる場合があります。そのため、プロダクト主導のマーケティングチームは、コンバージョン率を高め、アップセルのプロセスを迅速化するために、無料ユーザーに対してマーケティングと営業を行います。その利点は何でしょうか?これらのフリーミアムユーザーは、すでにプロダクトの使用経験があり、プロダクトを気に入っているオーディエンスです。会社やプロダクトのことをよく知っている(そしておそらく高く評価してくれている)ので、教育にそれほど時間を費やさずに済みます。さらに、アプリ内メッセージを使用すればターゲットを絞って簡単にリーチできます。

定着化の促進に重点を置く

顧客にプロダクトが定着していない場合、それは顧客が価値を得ていないことを意味し、解約のリスクを示している可能性があります。逆に、定着率の高い顧客は一般的に満足度が高いため、友人に自分の体験を伝えたり、外部サイトにレビューを書いたりする可能性が高くなります。プロダクト主導のマーケティングチームは、価値を実証するストーリーに注目を集めたり、ソーシャルプルーフ(社会的証明)を収集したり、提供サービスを宣伝したり教育コンテンツを共有したりする活動を通じて、定着率に影響を与え、拡大する上で重要な役割を担っています。こうした活動はすべてアプリ内ガイドを通じて提供するのが有益です。

顧客の拡大において重要な役割を担う

プロダクトマーケティングの専任チームに加えて、企業の中には見込み客と既存顧客へのマーケティングを分担する場合もあります。後者はカスタマーマーケティングと呼ばれます。一般に、カスタマーマーケティング担当者は、リテンションの向上、解約の削減、長期的なロイヤルティの促進のための活動に焦点を当て、多くの場合、カスタマーサクセスチームと協力して全体的なエンゲージメントプランを作成します。カスタマーマーケティング担当者は、プロダクトチームや営業チームと協力して、拡大の機会に焦点を当てることもできます。プロダクト主導のアプローチにより、カスタマーマーケティング担当者は、プロダクトのコンテキスト内で顧客にリーチできます。カスタマーマーケティングチームは、プロダクトアナリティクスを活用して顧客がプロダクトをどのように使用しているかを把握し、キャンペーンを作成して、対象のユーザーグループに、まだ使用していないが大きなメリットがあるプレミアム機能を使用するように促すこともできます。


プロダクト主導型マーケティングの利点

プロダクト主導のアプローチは、マーケティングチームにとって次のような多くのメリットがあります。

  • カスタマージャーニー全体を、包括的かつデータに基づいた形で理解できる
  • プロダクトチームとのより緊密なコラボレーション
  • アナリティクスに基づく(つまりより正確な)オーディエンスのセグメント化とターゲティング
  • リソースと予算のより効率的な使用
  • フィードバック、レビュー、その他の形式のソーシャルプルーフの提供をアプリ内で直接依頼することができる
  • 顧客のコンバージョンまたは拡張の可能性が高い

プロダクト主導型マーケティングの技術スタック

マーケティングチームがよりプロダクト主導型になるのに役立つツールはたくさんあります。しかしその中でも、プロダクト主導の技術スタックを完成させるために、マーケティング組織が検討すべき主要なソリューションがいくつかあります。

セルフガイドツアー

セルフガイドツアーを使用すると、ユーザーはアカウントを作成したり購入を確定したりする前に、サンドボックス版のプロダクトを見学できます。セルフガイドツアーは、ユーザーが一般的な使用例に沿ってクリックしながら、プロダクトが実際にどのようなものかを体験できる機会を提供するため、強力な販売ツールでありマーケティングツールです。これにより、見込み客は貴社のプロダクトを使うと何が期待できるかを知ることができ、販売前にプロダクトの主要機能を把握できます(さらに、この親近感が最終的に登録した際の定着率を向上させます)。また、セルフガイドツアーは、営業と直接話す準備ができていない、あるいは従来のマーケティングメッセージは受け入れないけれども、貴社が提供するものについてもっと知りたいと強く思っている見込み客を取り込むための素晴らしい方法です。さらに、セルフガイドツアーはいつでも利用でき、マーケティングや営業に特別なリソースを必要としないため、容易に拡張することができます。

プロダクトアナリティクス

プロダクトアナリティクスはビジネスインテリジェンスソフトウェアの一種です。イベントのトラッキング、イベントプロパティ、イベントとプロパティのグループ化をとおして、ウェブやモバイルアプリなどのデジタルプロダクトから、利用パターンを取得して見える化する役割を果たします。このデータは、プロダクト体験を改善し、エンゲージメントを高め、ビジネス成果を促進する方法に関する意思決定に役立ちます。プロダクトアナリティクスは、定量的データの一種であり、プロダクト主導型組織が顧客体験を理解するのに役立つデータです。以下に、マーケティングチームがプロダクトアナリティクスを使用する方法の例をいくつかご紹介します。

  • フリーミアムユーザーの行動を監視し、拡張またはアップセルのメッセージングをターゲティングして、現在のワークフローを改善する機能を備えた有料プランを試すよう促す
  • 特定の機能を効果的に使用するのに苦労している顧客を特定し、そのコホート(ユーザーの集団)を対象としたリソースや実践支援資料(例:ウェビナー)に誘導する

アプリ内ガイド

アプリ内メッセージとは、ライトボックス、ツールチップ、カルーセル、バナー、その他の形式のメッセージングをアプリ内に表示することにより、企業がプロダクトを通じて顧客やユーザーと直接コミュニケーションをとることができる技術的な機能です。アプリ内メッセージは、ユーザーが摩擦点を乗り越えたり、クロスセルやアップセルを促進したり、ユーザーフィードバックを収集したりするのに役立ちます。アプリ内メッセージはユーザーがプロダクトを積極的に利用している最中に表示されるため、プッシュ通知やメールよりも反応率が高い傾向にあります。プロダクト主導のマーケティングチームは、アプリ内ガイドを活用して、今後のリリースや新機能を顧客に通知したり、役立つリソースやイベントに関するニュースを共有したり、フィードバックやレビューを求めたりすることができます。


マーケティングチームのためのプロダクト主導の戦術

以下の記事で、マーケティング組織をよりプロダクト主導型にするための戦略や戦術をご確認ください。