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株式会社東急コミュニティー

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株式会社東急コミュニティー

■グループ会社を含めて会社全体のITを管理
株式会社東急コミュニティーはマンション、ビル、施設、公共施設、公営住宅の管理運営から工事までをトータルサポートする総合不動産管理のリーディングカンパニーだ。既存の建物の寿命を長く、最良な状態で、健やかに年を重ねて資産価値を高め、維持していくという考えを「ライフタイムマネジメント」として掲げており、建物のコンセプト、課題、周辺地域の特性とかかわりを総合的に鑑みた、地域コミュニティーの醸成までを担う。
同社の従業員は約1万人、グループ会社は約3千人規模となる。グループ会社を含めて、会社全体のITインフラ全般、従業員が利用するパソコンやソフトウェア、SaaSの導入や管理・運用を担うのが、経営戦略統括部 グループ IT推進部ITインフラ企画課だ。この部署には、業務委託なども含めて12名が在籍しており、日々の社内のIT管理を行っている。
同社は、ビジネスに特化したクラウドコンテンツ管理プラットフォーム「Box」を2019年に導入したものの、従業員がどの程度Boxを利用しているのかわからない、IT部門で実施した利活用施策の効果が測れないという課題を抱えていた。そこで、従業員の利用状況を分析し、活用推進したいということから、2023年よりPendoを導入している。

◼️ITツールの利用状況をデータ分析して、生産性を評価したい
Boxを導入して170台のファイルサーバーへの移行が完了して3年半が過ぎたころ、従業員の利活用施策を今後どのように評価していくかに課題があり、解決策を探していたと経営戦略統括部 グループ IT 推進部ITインフラ企画課 課長 宮ヶ原 和幸氏は振り返る。
「東急コミュニティーは、物件の管理・保守を事業としているので、従業員の生産性の高い低いで売上や利益が変わりにくい特性があるため、KPIとして利用できる生産性を図る指標がないことが課題でした。そこで生産性の数値化の一つとして、社内のITツールの利活用状況をデータ分析できれば、生産性の数値化が実現でき、KPI指標にできると考えました」(宮ヶ原氏)

社員のITリテラシーを向上させるという経営方針から、ファイル共有基盤として全社員の利用頻度の高いBoxの活用を促進するツールを選定することになった。同課において新ツールの選定や導入を担当する主幹 柏崎 正彦氏は次のように話す。
「Pendoの営業担当者から紹介されて以前からPendoを知っていました。その時点では、分析機能を今後リリースするということだったので検討を保留にしていましたが、Pendoに分析機能が追加されたと聞き、デモを見に行きました。当社はデジタルアダプションツールとして、ガイドの表示や自動入力などのシステムの使いづらさを解決しようとする機能に重きを置いておらず、現状理解のためのデータ取得や、分析機能、施策を実施した後の効果をデータで評価できることを目的にソリューションを探していたので、他のデジタルアダプションツールと比べても、Pendoの分析が一番強力だと感じましたし、ツールの利用状況や従業員の属性に応じてセグメントに分けて必要なガイドのみを表示できる点も他と違い評価しました。経営陣にPendoの導入を提案すると、経営方針に合致することからスムーズに承認されました」(柏崎氏)

◼️変わらなければならないのは、ユーザーではなく、IT部門だった
導入後、Pendoの機能を使って「Boxが使いやすいか/使いづらいか」を尋ねるアンケートを実施した。そして使いやすいと回答した人、使いづらいと回答した人のBox上での動きをデータで比較した。
「我々IT部門では『使いづらい』という人がなぜ使いづらくて困っているのかを理解できていませんでした。しかし、Pendoの利用状況のデータを見た時に愕然としました。全員が当たり前に使っているとIT部門が考えていた機能が半数以上の社員に使われていなかったのです。失礼な話ですが、データを始めて見たときはPendoの不具合でデータが正確でないのでは?と思ったくらいです」(柏崎氏)
Pendoのデータは、使いやすいと回答した人ほど多くの機能を活用する一方、使いづらいと回答した人は基本的な機能ですら全く利用していないことをはっきりと示していた。例えば、Boxの左右にあるサイドバーを非表示にする機能。両サイドバーを表示したままファイルを開くとファイルの表示スペースが小さくなり文字が読めないので、ダウンロードして閲覧・そのまま編集してしまう人が多いことがわかった。ダウンロードすると、共有されているファイルと差分が発生し、ファイル管理が煩雑になるので、Boxの設計思想のファイルを一か所に集めることが実現せずに、結果「使いづらい」ということになる。
さらに部署別に利用状況を比較すると、宮ヶ原氏らが所属するIT部門では、上記のような機能を頻繁に利用しているが、その他の部署では、利用率がIT部門と大きく乖離していた。IT部門と一般の部門では、Boxの使いこなし率に大きな乖離がある事実がグラフに数値としてはっきりと表れた。なんとなくは誰もが気づいていたことかもしれないが、その事実が数値化された形だ。
 「世紀の大発見でした。組織のITリテラシーが高まらないのは、IT部門のアプローチが間違っていたのだ、変わるべきは従業員ではなく、自分たちだったのだと自覚しました」(宮ヶ原氏)
これまで活用を促進するために、マニュアルの整備、動画やマンガでの解説、メールでの案内など、Boxの画面上以外の場所で、従業員全員に同じ情報を単発で提供していた。しかもそれはITを活用しているIT部門目線での情報発信で、そうではない従業員に寄り添った情報発信にはなっていなかったのだ。その情報は、使いこなせる人には不要な情報で、使いこなせない人には理解されず、まったく活用されていなかったのだ。

◼️ガイド表示により基本機能の利用率がアップ。その後の利用継続率も高く定着
そこでPendoのガイドを使って、サイドバーを非表示にする方法を案内した。ガイドはBox上に表示されるため、ガイドを表示から3日以内に90%以上のユーザーの目に触れる(全社メールでマニュアルを送付してもアクセスが10%にも満たないことはBoxのアクセスログから判明している)。なお、ユーザーの目に止まりやすいように、ガイドに猫の画像を入れるなど、従来の文字だけ、製品画像だけの手順とは一線を画すようにデザインや文言を工夫した。
「ガイドを表示すると、右肩上がりでサイドバー非表示ボタンのクリック数が上がりました。一過性で終わってしまうと意味がないので、その後の定着状況を分析したところ、継続して利用されていることがわかりました。まずデータで数値化して現状を把握する、施策を実行する、その効果を数字で検証するという一連の流れで改善を継続的に行えるようになりました」(柏崎氏)
「これまで作ってきたEラーニング教材はBoxの外で学ぶので、理解してもすぐに試さないので忘れてしまうのでしょう。PendoはBoxを使っている時にガイドが出て、その操作をすると、便利なときにその場で操作して体験できるという強みがあります」(宮ヶ原氏)
従業員の活用レベルに応じてセグメントに分けて、活用レベルが低い人にのみガイドを表示するような出し分けも行っている。また、ガイドを表示する機能についても、表示する時間やタイミング、繰り返しの頻度やマニュアルとは違った柔らかい問いかけなど、ユーザーの心理を丁寧に検証しながら選定を行っている。表示しすぎてガイドが嫌われてしまうことを防ぐためだ。
「ガイドの表示内容は、マニュアルを移管しただけでは読まれませんので、マニュアルは一切移行していません。機能を伝えるのではなく『便利に使うにはここをクリックするといいよ』と自然に理解して、気づいて、利用に興味をもってもらえる内容を考えています。利用促進する燃料を投下することをやめて、利用する抵抗をどう取り払ってあげられるかを考えています。これはマニュアルやEラーニングではできないことだと感じています」(柏崎氏)
細かい調整も行っている。例えばガイドの右上に閉じる(X)ボタンがあると、反射的に閉じてしまうユーザーがかなり多いことが、ガイドの利用分析でわかったので、(X)ボタンは表示せず、「閉じる」と表示されたボタンの文言を『見ない』という表示に変更した。見ないという選択をすることに心理的抵抗があるのか、ガイドを進めていく割合が上がり、紹介した機能の利用率も高まった。
 「従業員がPC操作にわからないことがあった時に、IT部門がすべて代わりに遠隔操作で解決してしまう『間違ったおもてなしITサービス』は絶対にやってはいけないことだと考えています。これは自分の子供の漢字ドリルに親が解答を書き込んでいる状況です。子供の漢字の能力は一向に向上しないだけでなく、ひとりで考えられない大人に育ってしまいます。従業員が無理なく自ら学び、気づいたらITスキルを身につけていくような環境を作れるのがPendoです。 Pendoを活用し続けることで、組織全体のITの活用レベルが上がっていることが数値に表れており、効果を実感しています」(柏崎氏)

◼️使いこなしている人材を発掘し、DX人材育成や人事査定に活用する可能性も
会社全体のITリテラシーを測るために、Pendoは客観的なデータとなると宮ヶ原氏は考えている。
「データからBoxが使えている部署、使えていない部署が判別できるので、このデータを公開していくことを考えています。使いこなせている部署はそれだけ生産性高く働けているということでもありますし、それが部門の売上と結びついていれば説得力もあります。Box利用の数字を目標に設定することもできます」(宮ヶ原氏)
柏崎氏は、使いこなしているユーザーを見つけていきたいと話す。
「IT活用施策を検討するときに、多くの企業は『ITを使いこなしていない人』に焦点を当てて検討すると思いますが、これは十分ではありません。社内には必ず、自らITを活用している社員はたくさんいます。今まではそのような人を見つけることが困難でしたが、Pendoで利用状況をデータ化することにより、誰が活用しているのか手に取るように判断できます。彼らの活用方法を社内に広めたり、理想的なユーザーのゴールデンジャーニーを見つけたりできれば、社内のITレベルの底上げになります。またBoxを使いこなしていれば、他のツールも活用できている可能性が高いので、DX 人材の選定に使えますし、人事評価でプラスの査定とするなど、ポジティブな活用方法も経営層に提案していきたいです」(柏崎氏)
BoxにAI機能が搭載され、早速使いこなしているユーザーがいる。そこで、ユーザーが入力したプロンプトを収集して利用状況を把握したり、Box AIを利用したタイミングでどのように活用しているか、Pendoのアンケート機能で調査を行った。こうして得られたデータから業務効率化が期待できる活用方法を探っていきたいという。
今後はPendoの利用を業務システムなどにも拡大していきたいと考えている。その際には、事業部門でITを使いこなしている人をみつけ、DX人材として育成し、ガイドの制作などを事業部門で実施できるような仕組みを整えていく予定だ。
最後に、これからPendoを導入する企業の担当者にメッセージをもらった。
「Pendoの魅力はガイドを表示できることではなく、データを客観的に見て、ガイドを表示し、フィードバックを得られることです。繰り返すことで、組織のDXレベルを上げられます」(宮ヶ原氏)
「現在地がわからなければ、どこに向かうかを決めることができません。IT部門がPendoのデータを見て、現在地を数値化して知り絶望して、ユーザーを変える前に自分たちが変わるべきだと認識を改めることが第一歩です。現在地がわかれば、未来の姿を描けるようになります」(柏崎氏)

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