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顧客チャーン

サブスクリプションを更新せずに契約を終了する顧客の数を示す指標。

最終更新日:2024年6月17日

顧客チャーンとは何ですか?

顧客チャーンは、サブスクリプションビジネス、特にSaaS企業にとって重要な指標です。これは、サブスクリプションの終了時に更新しない顧客の数を示す指標です。チャーンはサブスクリプション期間の満了前に発生する可能性がありますが、通常は契約条件に違反することになるため、このタイプのチャーンはそれほど頻繁には発生しません。顧客チャーンは、顧客リテンションの逆と考えることもできます。


チャーンには種類がありますか?

チャーンには、収益チャーンと顧客チャーンの2種類があります。

収益チャーン

収益チャーンは、顧客との契約の喪失による財務的影響を測定するもので、通常は契約が更新されなかった場合の金額で表されます。

収益チャーンには、次のような種類があります。

  • 総収益チャーン:既存の顧客から失われた収益の合計(アップセルやクロスセルによる新たな収益を考慮しない)。
  • 純収益チャーン:アップセルもしくはクロスセルによる既存顧客からの新規収益を考慮した後の損失した収益。純収益チャーンでは、収益回復の取り組みを考慮することで、よりバランスのとれたチャーンが得られます。
  • コホートベースの収益チャーン:企業規模や業種などの特定の顧客セグメントにおける収益チャーンを特定し、傾向を把握します。

顧客チャーン

顧客チャーンは一般的に、契約を更新しない顧客の割合で表されます。このタイプのチャーンは、収益への影響よりも、失われた顧客数に重点が置かれます。顧客チャーンの種類には、次のようなものがあります。

  • 総顧客チャーン:特定の期間に失われた顧客の割合の合計。
  • 純顧客チャーン:同期間の新規顧客獲得を考慮した後の、喪失した顧客の割合。
  • コホートベースの顧客チャーン:企業アカウントなど、特定の顧客セグメントにおけるチャーンを把握し、どのセグメントが最も解約リスクがあるかを理解します。

なぜチャーンが重要なのですか?

サブスクリプションソフトウェア企業にとって通常、顧客獲得コストは高いため、あらゆる形式のチャーンはSaaSビジネスにとって非常に重要な指標です。コストが高いあまり、ベンダーが契約の数年後まで獲得コストを回収できないことは珍しくありません。結果として、早期にチャーンが発生すると、会社はその顧客にかけた費用を失うことになります。同様に、チャーンを理解することは、SaaSビジネスのもう1つの基本的な指標である「顧客の生涯価値」を理解するための前提条件です。

潜在的なチャーンを未然に特定するために、多くの企業がプロダクトアナリティクスに目を向けています。レストラン管理ソフトウェアであるRestaurant365は、プラットフォーム全体の使用状況を測定し、アカウントが閉鎖されたり使用量が極端に少なくなったりした場合は、カスタマーサクセスが理由を突き止め、積極的に介入します。


より細かなチャーンの把握

こうした基本的な分類にとどまらず、チャーンはより繊細なレンズを通して見ることもできます。

予防可能なチャーン:不満、乏しい顧客体験、もしくはエンゲージメントの欠如が原因で離脱する顧客。多くの場合、予防可能なチャーンは、不満を抱いているユーザーや非アクティブユーザーにターゲットを絞ってリテンション施策を行うことで軽減することができます。

  • 不満を抱いている顧客:プロダクトやサービスの未解決の問題や不満が原因でチャーンに至る顧客。
  • 非アクティブユーザー:価値を認知できないためにプロダクトやサービスの利用を中止し、最終的にチャーンに至る顧客。

構造的チャーン:廃業や他社による買収など、会社がコントロールできない理由でチャーンに至った顧客。

  • 廃業:事業を停止し、契約を継続できなくなった顧客。
  • 買収された顧客:他社に買収され、プロダクトやサービスを必要としなくなった顧客。

チャーンの背後にある具体的な理由を理解し、的を絞った対策を講じることで、企業は予防可能なチャーンを減らしたり、構造的チャーンの避けられない影響をより理解したりすることができます。


顧客チャーンを計算するにはどうすればよいですか?

顧客チャーン率の計算は、思いのほか複雑です。「無料トライアルのユーザーを含める必要があるか?」「月ごとの契約は?」「更新の顧客のみを切り分ける必要はあるか?」など、さまざまなことを考慮する結果、SaaS企業によって「特定の期間に更新しなかった顧客の数」という一見わかりやすい質問への答え方は大きく異なってきます。

チャーンを計算するための競合する式は数多く存在するため、企業が選択する式よりも重要なのは、企業が一貫してベンチマークを行うことです。チャーンは目標が変わり得るKPIです。季節性、プロダクトの変更、競争要因、価格予想、カスタマーサポート、さらにはPRイベントの影響を受ける可能性があります。チャーンの計算式を定期的に変更すると、企業が顧客を失った原因を把握したり、ビジネスに変更を加えたりする能力が妨げられます。そのため、最初に指標を追跡します。

Pendoの解約率計算式


顧客チャーンの要因は何ですか?

すべての顧客チャーンを防げるわけではありません。会社が廃業したり買収されたりした場合、その顧客をチャーンから回避させられる可能性はほとんどありません。これは「構造的チャーン」と呼ばれます。構造的チャーンの反対は予防可能なチャーンです。このような場合、企業と意思決定者は、プロダクトまたはサービスを更新するかどうかを決定する際に、いくつかの一貫した基準を検討する傾向があります。検討する可能性があるのは次のような内容です。

  • 価値:このプロダクトを使用するとどのようなメリットがあるか?最初に購入したときに期待したものが得られているか?
  • 使用状況:このプロダクトをどのくらいの頻度で使用するか?これはミッションクリティカルな日常的に使用するアプリケーションか?それともあまり使用しないが持っていたら便利なアプリケーションか?
  • 関係:プロダクトの背後にいる人々に対してどの程度親しみを感じるか?カスタマーサクセスチームと社内のチャンピオン(擁護者)の間に強い絆はあるか?この会社のプロダクトに愛着があるか?
  • 代替案:問題を解決する他の方法はあるか?代替案を頻繁に使用するか、それとも代替プロバイダーとの関係を強化するか?

顧客チャーンを予測する方法

顧客チャーンを予測するには2つのことが必要です。1つは顧客とブランドとのやりとりの徹底的な理解、もう1つは、プロダクトの使用状況データなどの主要な運用指標です。データを一元化することで、企業はチャーンの初期指標を特定し、顧客を維持するための積極的な戦略を策定できます。

解約の予測と防止

チャーンを予測して防止するための重要な4つのステップは次のとおりです。

    1. チャーン要因を特定する:定性的、定量的、視覚的なデータを分析し、顧客の離脱につながる具体的な行動や要因を理解します。
    2. 解約リスクがある顧客を検出する:予測分析を活用して、顧客が離脱を検討している可能性を示すパターンやシグナルを認識します。
    3. 実行可能なしきい値を設定する:チャーンのリスクを計算した上で、いつリテンション活動を開始するかの具体的な基準を決定します。
    4. 即時に対応を実施する:個別のフォローアップと介入を通じて、解約リスクがある顧客のニーズに迅速に対応するシステムを開発します。

プロダクトデータを活用したチャーンの検知と防止

チャーンを正確に予測するには、予測モデルを作成することが重要です。これには、プロダクトデータ(ユーザーの粘着率やフィーチャーの定着率など)と経験データ(ネットプロモータースコアやユーザーフィードバックなど)を統合することが含まれます。これらの組み合わせたデータセットを分析することで、モデルが各顧客のチャーンの可能性を評価できるため、企業は先制的に行動することができます。

Pendoのようなプロダクト体験プラットフォームで、顧客の健全性が劇的に理解しやすくなります。使用状況データ、フィードバック、セッションリプレイなどにより、ユーザーを理解しセグメント化することで、解約リスクがある顧客を特定し、パーソナライズされたリテンション戦略を立てることができます。
プロダクトのインサイトを活用することで、企業は潜在的なチャーンを予見し、タイムリーで的を絞った対策を実施し、顧客のロイヤルティとリテンションを向上させることができます。

プロダクトエンゲージメントスコア(PES)で収益エンジンを予測する

Pendoのデータサイエンスチームは、PESだけで顧客が契約をチャーンするか、引き続き更新するか、拡大するかを予測できるかどうかを確認したいと考えていました。PESは顧客リテンションと強い相関関係があり、契約更新の数か月前ではPESが最も高いアカウントは更新したり拡大したりする可能性が最も高く、PESが最も低いアカウントは解約する可能性が最も高いことがわかりました。

顧客チャーンを減らし、既存顧客を維持する方法

顧客チャーンを減らすには、解約リスクがある顧客を救うだけでなく、カスタマージャーニー全体を通じて積極的にポジティブな体験を生み出す必要があります。ここでは、チャーンを減らし、顧客のエンゲージメントを維持するための重要な戦略を紹介します。

プロダクトと顧客体験を向上させる

  • アプリ内ガイドや、役割ごとにオンボーディングをパーソナライズして自動化することで、サインアップとオンボーディングのプロセスを可能な限りシームレスで快適なものにしましょう。
  • 顧客サポートが迅速かつ効率的になるようにし、サポートとフィードバックに簡単にアクセスできるようにしましょう。
  • アプリ内のコミュニケーションを個人のニーズ、やるべき仕事、嗜好に合わせて調整することで、ユーザーにパーソナライズされた体験を提供しましょう。

顧客を教育し、力を与える

  • アプリ内のツールチップ、ウォークスルー、デモ、ハウツーガイド、FAQなどの教育コンテンツをアプリ内リソースセンターから提供しましょう。
  • ライブチャットやチャットボットを通じてアクセスしやすいサポートを提供し、ユーザーがアプリ内でフィードバックを共有できるようにしましょう。
  • ソーシャルメディアやその他のチャネルでユーザーとつながり、顧客からの問い合わせや懸念事項にリアルタイムで対応しましょう。

ロイヤルティに報いてリピートビジネスを促進する

  • 購入やインタラクションに対して顧客にポイントを付与するロイヤルティプログラムを導入し、特典と交換できるようにしましょう。
  • リピーターに再来店を促すために、リピーター限定の割引や特典を提供しましょう。
  • 特にロイヤルティの高い顧客向けに、自分が大切にされ、感謝されていると感じられるような追加の特典を提供するVIPプログラムを作成しましょう。

価値の高い顧客に感謝の意を表す

  • 価値の高い顧客に感謝の気持ちを示すために、パーソナライズされた感謝状やオファーを送りましょう。
  • 企業アカウントを限定イベントやウェビナーに招待すると、特別感や参加意識を持たせることができます。
  • 顧客の嗜好や行動に基づいてカスタマイズされたオファーを提供し、顧客が自社のブランドで可能な限り最高の体験を得られるようにしましょう。

暗黙的、明示的なフィードバックに耳を傾け、それに応じて行動する

  • アンケートやフォームを通じてアプリ内(およびアプリ外)で詳細なフィードバックを収集し、顧客体験に関するインサイトを取得しましょう。
  • プロダクトエンゲージメントスコア(PES)などのユーザー行動データを分析して、チャーンの可能性を示すパターンを特定しましょう。
  • センチメント分析ツールを使用して、顧客フィードバックを測定し、迅速に対応することで、顧客離れに先手を打ちましょう。

Pendoで顧客チャーンを減らす

オールインワンのプロダクト体験プラットフォームであるPendoは、プロダクトリーダーが顧客満足度を理解し、それに基づいて行動するためのツールとデータを提供します。

  • 定量的データや視覚的データなどのプロダクト使用状況データを使用することで、すべてのタッチポイントにわたってUXを監視し、ベンチマークし、強化します。
  • リアルタイムのチュートリアル、ウォークスルー、ヒントを提供することで、ユーザーがプロダクトをナビゲートし、効果的に活用できるようにします。
  • 行動や定性的なインサイトを収集することが、解約リスクがある顧客を特定し、その行動を理解するのに役立ちます。また、センチメント分析ツールにより、顧客フィードバックを迅速に評価し、対応することができます。

プロダクトのアナリティクス、アプリ内ガイド、フィードバック収集、ロードマップ作成、セッションリプレイデータを統合することで、顧客の健全性を360度把握し、積極的にチャーンを減らし、収益を向上させることができます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)のためのオールインワンプラットフォーム

顧客が望み、お金を払いたいと思うようなデジタル体験を、プロダクト、マーケティング、カスタマーサクセス、ITの各チームが提供できるように支援すると同時に、単一のプロダクトプラットフォームでコストを統合します。