景気後退に伴い様々な課題が山積する中、企業は嵐を乗り切るためにプロダクト部門に力を注いでいます。500人以上のプロダクトに関わるプロフェッショナルを対象とした最近の調査によると、62%が、景気後退によって自社がプロダクトの役割をより重要視するようになったと回答し、73%が、チームがプロダクトの方向性を推進する権限を与えられていると回答しています。
つまり、プロダクトに携わるには絶好のタイミングなのです。
しかし、今は激動の時期でもあります。AI、リモートワーク、ソフトウェアのコンシューマライゼーションなどの新しい力がその役割を再構築しており、プロダクトマネージャー(PM)へのプレッシャーがさらに高まっています。
その結果が、新しいタイプのPMの出現につながっています。このようなPMは、より広い視野で考え、自信を持って迅速に行動し、プロダクトやビジネスに簡単に影響を与えます。しかし、どうすれば将来このタイプのPMになれるでしょうか。
弊社が提供した直近のウェビナーでは、4人のプロダクトリーダーが集結し、このトピックについて彼らの見解を提供しました。
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- Product Culture創業者、Bruce McCarthy氏
- One Knight Consulting、プロダクトコンサルタント兼ポッドキャスター、Jason Knight氏
- LinkedInプロダクトマネージャー、Shyvee Shi氏
- Pendoプロダクトマーケティング担当ディレクター、Marcus Andrews
ディスカッションの中心となったのは、「次世代」プロダクトマネージャーという考え方でした。その資質とはどのようなものでしょうか。また、磨くべき最も重要なスキルは何でしょうか。
次世代PMの4つの特徴は次のとおりです。
1.技術的な洞察力だけでなく、ビジネスの洞察力も備えている
議論のなかですぐに目立ったのは、技術的な洞察力よりもビジネスの洞察力を重視するという考えでした。Jason Knight氏は、どのPMにとってもビジネスの洞察力は不可欠であるという見解を語りました。というのも、彼らは強力なビジネスパートナーになり、あるアイデアがなぜ優れているのかについて、組織全体の他の人々を実際に説得する必要があるからです。
かつて、PMは主に技術面で長い職歴を持った人が務めていましたが、今はそうではありません。Bruce McCarthy氏は、優れたPM候補として挙げられる人物はさまざまな経歴を持っていると指摘しました。これは、PMは狭いカテゴリーそれぞれの専門家ではなく、広範に対応できる必要があるという考えと関連しています。また、Shyvee Shi氏からは、異なる分野からプロダクトマネジメントに携わると、より共感力が高まり、顧客のニーズをより正確に理解できるようになると説明がありました。
2. コミュニケーションに長けた優れたリーダーである
さらに必要な2つの追加スキルとしてパネリストが合意したものは、リーダーシップとコミュニケーションでした。Shi氏は、PMを指揮者に例えて紹介しました。PMは複数の要素を取りまとめ、調和のとれたコラボレーションと成功という最終結果を保証する任務を負っているのです。
そのためには、全プロセスを通じて明確にコミュニケーションをとり、他者をリードできる人物が必要です。「あなたはコーチ兼リーダーであり、『プロダクトはこうする、その理由はこうだ』と言える存在でなければなりません」とMcCarthy氏は述べています。多くの場合プロダクトに明確な方向性が欠けているのは、PMがリーダーシップを発揮せず、全員(デザイン、エンジニアリング、セールス、マーケティングなど)の足並みが揃っていないことが原因だとも付け加えました。
3. 成果主導型である
PMが乗り越えなければならないハードルは、自社が「機能の工場」的な考え方で運営されていることが多くある点です。彼らはただ機能を提供するよう指示されるだけで、自ら戦略的に動く余地はそこにはありません。では、PMはどうすればよいでしょうか。
McCarthy氏は、単なる「アウトプット」という考え方ではなく、「成果」という考え方で運営することの重要性を強調しました。ある機能を提供するよう指示されているのであれば、そのアウトプットを、成功したことを意味する「成果」に結びつけることを意味します。また、プロダクトの成果をビジネスの成果に結びつけ、ある機能がユーザーとビジネスにどのような価値を生み出すかを特定することも有効です。例えば、ユーザーの行動データを契約更新数と結びつけることで、経営陣はプロダクトの利用がビジネスの成長にどのように結びついているかを容易に把握することができます。
最終的には、構築する必要がある機能は常に存在することに変わりがなくても、少なくともPMはその理由を理解できれば良いのです。
4.イノベーションと維持のバランスをとっている
PMが現在および将来にわたって成功するためには、彼らは迅速に行動し自信を持って革新を遂げる必要があります。パネルディスカッションでは、プロダクトマネージャーは既存の機能の修正や改良とどのようにバランスをとるべきかという質問が出されました。
Shi氏はまず、プロダクトチームはイノベーションにもっとポートフォリオアプローチを採用すべきだと指摘しました。例えば、リソースと時間の25%を技術的負債の解決に、55%を機能開発に、30%を実験と新プロダクト開発に充てるなどです。McCarthy氏はまた、これをプロダクトのライフサイクルと結び付け、現在どの位置にいるかによってその内訳が変わってくると述べました。例えば、プロダクトの市場適合性がまだ見いだされていないのなら、バグの修正にそれほど重点を置く意味はありません。
Knight氏は、技術的負債は「100%取り組むかまったく取り組まないか」というオールオアナッシングのタスクにするべきではないとも強調しています。エンジニアリングチームに、技術的負債にすべての時間をつぎ込むことなく、それでも対処はされるよう、技術的負債をフェーズ分けするよう指示することがあるかもしれません。つまりは、新しいものを構築していなくても、プロダクトマネージャーは常にモメンタムを示す必要があるのです。
次世代プロダクトマネージャーに関して、さらなる専門家の洞察を得たい場合は、パネルディスカッションの全容をこちらからご覧ください(英語)。