ユーザーリテンションを無視することは、穴の開いたバケツに水を入れるようなものです。穴をふさがなければ、どれだけ水を入れたとしても(つまり、新規アカウントを獲得したり、既存アカウント内で拡大しても)無駄になります。さらに、新規顧客の獲得には、既存顧客の維持よりも5倍のコストがかかる場合があります。結局のところ、リテンションは、単に存在しているだけのプロダクトと、成功しているプロダクトの違いです。
あらゆるプロダクトマネージャーがリテンションにこだわるべき理由について、Pendoのプロダクトアナリティクス担当シニアディレクターであるRyan Salomonに話を聞きました。第2部では、AIがどのようにリテンションを向上させることができるか、このKPIを中心に全社的な文化を開発するためのヒント、そしてユーザーのリテンションを定期的に監視する方法について、Salomonがインサイトを共有します。
これは、Ryan Salomonへのインタビューの第2部です。インサイトの第1部は、こちらでご覧いただけます。
Q:AIはユーザーリテンションの向上にどのように役立ちますか?
A:AIはリテンションのゲームチェンジャーです。予測アナリティクスを使用すると、解約リスクがあるユーザーを解約前に特定できます。また、AIを使用してユーザー体験(UX)をパーソナライズし、各ユーザーの役割、会社、行動データに最も関連性の高いアプリ内コンテンツと機能を提供することもできます。AI/MLツールを使用して、エンゲージメントのプロンプトやリマインダーのタイミングを最適化して、ユーザーにとって有意義な方法でプロダクトに誘導することもできます。
Pendoでは、AIを使用して、すぐには分からないリテンションデータの隠れたパターンを明らかにし、リテンションの取り組みをより積極的に行えるようにしています。
Q:リテンションデータから個人的に発見した意外なインサイトはありますか?
A:わずかな調整を行うことで、リテンションが大幅に向上することがあります。Pendoでは、最初の1週間で特定のアプリ内機能を使用したユーザーは、3か月後にアプリに留まる可能性が40%高いことを発見しました。このインサイトを活用してオンボーディングフローを調整し、ユーザーをこの機能に早めに誘導しました。その結果、全体的なリテンション率が大幅に向上しました。
もっと知りたい場合は、効果的なアプリ内オンボーディング戦略の構築に関するハウツーガイドをお読みください。
Q:リテンションに焦点を当て始めたばかりのプロダクトリーダーに、どのようなアドバイスをしますか?
A:まず、リテンションを可視化してチームで日々注目しましょう。コホート分析を実施して、リテンションが時間の経過とともにどのように変化するかを確認し、パターンを特定しましょう。オンボーディング、機能の配置、アプリ内メッセージの変更を試し、常にリテンションへの影響を測定しましょう。
また、ユーザーの維持を共通の目標にする必要があります。プロダクトチームから経営幹部まで全員が、すべてのユーザーインタラクションが付加価値をもたらし、ユーザーに利用し続けたいと思わせることしか考えないということです。全員がリテンションの向上について一致団結すれば、コラボレーションやクリエイティブなソリューションが増えるでしょう。
Q:お客様を維持するための文化をどのように構築しますか?
A:可視性を高め、プロダクトチーム間の健全な競争を促すことには大賛成です。Pendoのダッシュボードでは、チームメンバーが常に自分のダッシュボードや主要な指標の追跡方法を披露するというちょっとした競争がおきています。メンバーが自分のデータに誇りをもって積極的に取り組む環境を作ってあげれば、リテンションをチームスポーツにすることができます。それは単なるプロダクト指標ではなくなります。それどころか、人々が熱中する文化的な中心になります。
ヒント:プロダクトチームは、Pendoが提供するエキスパートダッシュボードテンプレート(自動のリテンションレポートを含む)を使用できます。
Q:リテンションに重点を置くことで、機能横断的なコラボレーションをどのように改善しますか?
A:リテンションが共通の目標になると、サイロが解消されます。マーケティング部門はどのタイプのユーザーが長く利用し続けているかを、プロダクト部門はどの機能がリテンションにつながっているかを、カスタマーサクセス部門はユーザーがどこで苦労しているかを把握しています。全員が何かを持ち寄ることで、コラボレーションは自然かつ有機的なものになります。もはや、異なる目標を持つ部門同士ではなく、お客様の満足とエンゲージメントを維持するという一つの統一された企業目標となります。
Q:プロダクトリーダーはリテンションに関してどのような習慣や日常的な行動を構築するべきでしょうか?
A:リテンションデータをすべてのチームミーティングで確認することを習慣にします。簡単にアクセスでき、誰でも見ることができるダッシュボードを作成します。リテンションの成功を祝います。チームがリテンションを大幅に向上させるような機能改善ができたらそれを評価してあげます。
リテンションをプロダクト開発プロセスの一部とし、何か新しいものを開発する前に、それがリテンションにどのような影響を与えるかについて検討します。このような習慣により、全員が足並みをそろえて、ユーザーが戻ってくる価値を提供するという最も重要なことに集中できます。
リテンションは単なる指標ではなく、考え方です。リテンションを重視することで、プロダクトリーダーは持続的な成長を実現し、顧客ロイヤルティを育み、ユーザーに指示してもらえるようになります。穴の開いたバケツを満たそうとすることはやめて、リテンションを最大の成長ドライバーに変えましょう。詳細をご希望の場合は、デモをお試しください。