Pendo電子書籍:デジタルワークプレイスのための10のKPI(2025年版)
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デジタルワークプレイスのための10のKPI(2025年版)

最適化されたソフトウェア体験を通じてITチームがビジネスをサポートする方法


はじめに:岐路に立つデジタルワークプレイス

ソフトウェアは職場の一部から職場そのものへと進化しました。これは、従業員の連携や業務の進行方法だけでなく、ITリーダーが戦略やビジネス目標と照らして職場のソフトウェア体験をどう捉えるかにも大きな影響を与えます。

進化するソフトウェア環境の1つの要素として、ワークフローやアプリケーションへの生成AI(GenAI)ツールの導入が加速していることについて考えてみましょう。この技術は革新的ですが、コストがかかります。最近のGartnerのレポートによると、ソフトウェアベンダーではSaaSやその他のソリューションにAIを組み込むため、価格が毎年30%上昇すると予測されています。この価格上昇に伴い、ソフトウェアがさらに多くの価値を提供することが期待されています。

企業にとって、デジタルトランスフォーメーション(DX)に投資し、ITとビジネスの目標を統合することがこれまで以上に重要になっています。McKinseyの調査によると、現在、業績上位企業の73%は、CIOとシニアITリーダーが企業戦略の策定に大きく関与していると回答しています。このような戦略策定や計画立案には、共有されたKPIを測定し、説明責任を果たすことが必要です。しかし、効果的な従業員のソフトウェア体験を構築するために最も重要なものは何でしょうか?

現在、多くの企業が、リスクの軽減、コストの削減、収益の増加という主に3つの方法で、ソフトウェア体験の強化に取り組んでいます。問題となっているのは、多くの企業がこれらの取り組みをサイロ化して実行しているため、結果として非効率が生じ、デジタルワークプレイスを改善するための包括的な戦略が欠如していることです。実際には、効果的な従業員のソフトウェア体験はこれら3つの柱の交差点に位置します。

これらの主要領域ごとの進捗、また領域をまたいだ進捗は、どのように測定すべきでしょうか?ここでは、すべてのITチームと運用チームが追跡すべき10個のKPIと、ITでの取り組みを最適化し生産性を向上させるためのヒントを紹介します。

効果的なデジタルワークプレイス


収益を増加させるためのKPI

1. Workflow productivity

生産性を高めるには、まずその測定方法を定め、目標設定の基準となるベースラインを導き出す必要があります。ワークフローの生産性とは、従業員がビジネスに不可欠な業務を完了するまでにかかる時間のことです。重要なワークフローの種類は、単発・低頻度(例:セキュリティトレーニング、評価面談)と、繰り返し行われるワークフロー(例:ローン申請処理)に分類できます。運用チームは、頻度の高さや収益・顧客満足への影響を踏まえ、後者の改善に注力するべきです。

さらに、ワークフローの完了時間は、生産性の指標であると同時に、プロセスの有効性を示す基準でもあります。プロセスがユーザーの業務を妨げていませんか?サービス提供の遅れで顧客体験を損ねていませんか?AIツールを導入することで従業員のパフォーマンスに有意義な影響を与えることができる分野ですか?人手をAIエージェントに置き換える余地は?こうした観点から、ワークフローの生産性を見直します。

ワークフローの生産性を改善する方法

ワークフローの生産性のベースラインが決まったら、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の分析機能を使って、アプリ間や時間軸での業務の流れを可視化しましょう。特定のワークフローでは、従業員が特定のポイントで詰まり、より良いサポートがあれば解消できる摩擦に直面しているために、完了までに時間がかかっている可能性があります。たとえば、従業員が特定のフォーム項目に戸惑っている場合は、そのフィールドの目的や正しい入力方法を示すアプリ内通知を導入することを検討しましょう。

2. プロセスの定着率

プロセスの定着率とは、どれだけのユーザーがビジネスに不可欠なワークフローを完了しているかを示すアクティベーション指標です。重要な業務の多くは単一のアプリ内ではなく複数のアプリにまたがって行われるため、運用チームは、チームがどのようにプラットフォームを横断して業務を進めているか、またユーザーがコンプライアンスに沿って正しい方法でプロセスを完了しているかを把握することが重要です。ビジネスプロセスの有効性に注力する運用チームや他部門は、DAPが提供する強力な分析機能とAI生成のインサイトを活用して、アプリ間の業務の流れを把握し、従業員が実際にワークフローを完了しているかを特定できます。ワークフローが反復的か単発かによって、各チームが定着率をどう解釈し評価するかは異なります。

プロセスの定着率
=
ワークフローを採用したユーザー数/総ユーザー数

プロセスの定着率データに対して起こすべきアクション

プロセスの定着率が低い、または定着化が遅いワークフローの場合:従業員が重要なワークフローを完了していなかったり、完了に苦労していることに気づいたら、まず、アナリティクスを使ってそのユーザーについてできる限り多くを知ることに注力すべきです。どのようなパターンが見えますか?これらの従業員には、共通の行動やメタデータがありますか(例:初めて行うプロセスなのか、同じオフィスで働いているのか、同じ役職なのか、など)?ワークフロー内で、ユーザーが離脱したり、摩擦が発生している特定のポイントはありますか?このようなインサイトを得ることで、チームはプロセスを最適化し、アプリ内およびアプリ間で従業員に適切なガイダンスとサポートを提供し、望ましい方法でワークフローを完了できるようにすることができます。

Pendoワークフロー:訪問者の完了数

プロセスの定着率が高いワークフローの場合:従業員がワークフローやプロセスを迅速かつ意図したとおりに完了できている場合、運用チームが最もすべきことは「介入しないこと」です。これらの従業員はスーパーユーザーであり、AIエージェントを含む他のユーザーが同様の成果を上げられるよう、参考事例として活用できます。アナリティクスを活用してスーパーユーザーの特徴を把握し、そのインサイトをもとに、共通ワークフローの調整やアプリ内ガイドに反映させましょう。さらに、こうしたユーザーへの介入を控えることで、運用チームは不要な対応やメンテナンスを削減し、業務をよりスケーラブルに展開できます。

プロセスの定着率がいかにビジネスの成果につながるか

ある大手ホームセンターは、個人事業主や請負業者に用品を販売する法人向け部門において、従業員がより多くの収益を上げられるよう支援したいと考えていました。この目標をさらに推進するため、同社は自社開発の顧客関係管理(CRM)ソフトウェアにリードジェネレーションプロセスを導入し、従業員が近く案件を抱える見込み客を見つけられるようにしました。このプロセスの定着率を高めるため、同社はPendoのアプリ内ガイドを用いて100店舗でトライアルを実施しました。アプリ内ガイドを利用した店舗は、従来の認知度向上手段(メールなど)のみを利用している店舗と比較して、定着率が2.5倍も高いことがわかりました。また、トライアルを実施した店舗は、実施しなかった店舗に比べ、月間収益が平均150万USドル多く増加しました。

3. アプリケーションの定着率

アプリケーションの定着率は、特定のアプリケーションまたはツールを使用しているユーザーの数を測定する指標です。多くの場合、定着率は、月別アクティブユーザー数(MAU)、週別アクティブユーザー数(WAU)、日別アクティブユーザー数(DAU)を使って時系列で報告されます。特定のアプリとのエンゲージメントの程度と質を理解することで、ビジネステクノロジー部門は、そのアプリへの投資に対して妥当なROIが生み出されているかどうかを判断できます。

企業は、DXがかなり進んでからアプリケーションの定着率の追跡と対処を始めることが多いのですが、実はこれは間違いです。McKinseyの調査結果によると、最も成功しているCEOは、「戦略についてと同様に、定着率についても情熱を注いでいます。彼らは、実際にソリューションを使用する人々が、プロセスにおいて明確な発言権を持てるようにするために、時間を投資しているのです。」

なお、アプリケーションを使用する目的に基づいて、定着率の目標を設定することを忘れないようにしましょう。それは、ビジネスクリティカルな目的を果たすものですか?従業員が任意で使用する(オプトインする)ものですか?あるいは、人事情報を更新するなど、一年のうち特定の時期のみ使用するものですか?

アプリケーションの定着率
=
プロダクトまたはアプリに定着したユーザー数
/総ユーザー数

アプリケーションの定着率を改善する方法

デジタルツールやアプリの定着率が低いことに気付いた場合は、プロセスの定着化の場合と同様に、デジタルアダプションソリューションのアナリティクスを活用することができます。アプリの使用に苦労している特定のユーザー層がいるのか、それとも組織全体で定着率が低いのか?従業員はそのアプリを使うべきであるとそもそも認識しているのか?また、背景情報も考慮してください。単発のタスクやプロセス向けのアプリで、使用頻度が高くないものなのか?もしそうであれば、アプリの定着率が低いことは必ずしも問題ではないかもしれません。これらの質問の答えによっては、アプリ内のアラートとガイダンスによって定着率を向上させるための措置を講じたり、フィードバックを求めてアプリで従業員をサポートする最善の方法について理解を深めたりすることができます。

4. 投資収益率(ROI)

ITチームは常に、アプリケーションやデジタルプロジェクトの成功を、それがビジネスに与える価値によって測定する必要があります。そして、ITに資金を提供する担当者は、その価値を理解し、それに基づいて適切な投資収益率を決定する必要があります。ソフトウェアが優れた投資収益率(ROI)を生み出すには、そのソフトウェアにかけた費用よりも多くのお金を生み出すか、コストを節約するか、あるいは何らかの意味のある方法でリスクを軽減する必要があります。SaaS、AIツール全体のROIを測定する標準的な指標は多数あります。

ソフトウェアのROIを決定する重要な要素の1つは、Time to value(価値実現までの時間)、つまり従業員がアプリを使い始めてから、ビジネスでそのアプリから価値を引き出し始めるまでの時間です。もうひとつはライセンス使用率、つまり企業が購入した特定のソフトウェアのライセンスのうち、実際に利用されているライセンスの割合です。

ライセンス使用率
=
使用済みソフトウェアライセンス数 /
購入済みライセンス数

ROIデータに対して起こすべきアクション

価値実現までの時間が遅いユーザーに関しては、適切なオンボーディングとサポートの体験が得られているかどうかを確認してください。ユーザーへのオンボーディング戦略をどのように策定しているか?オンボーディングの過程を加速させることができるか?変更が頻繁で、疲労や混乱を招いていないか?トレーニングは直接行われていて、セッション終了後にハウツー情報やヒントにアクセスすることが困難か?それとも、チームが最も必要とするときにアプリ内で情報が適切に展開され、その後もリソースセンターでいつでもアクセスできるようになっているか?などを確認しましょう。

ライセンス使用率の低いソフトウェアの場合は、アナリティクスを使用して、ソフトウェアを使用していないユーザーを測定し、パターンや傾向があるかを確認します。部署や役職が同じか?同じ用途の別のソフトウェアに既に投資しているか?これらの質問に対する答えによっては、IT部門が支払っているライセンス数を減らし、予算を解放し、稼働中のソフトウェアのROIを向上させることができる可能性があります。


リスクを軽減するためのKPI

5. コンプライアンス率

ITチームにとって、コンプライアンスを推進し、従業員が主要な規制、プロトコル、ポリシーに沿った方法で作業できるようにするには、多くの作業が必要な場合があります。コンプライアンス率(ワークフローの完了などの特定のアクションがコンプライアンス要件にどの程度準拠しているか)を追跡することで、従業員がこれらの基準とベストプラクティスをどの程度遵守しているかを確認できます。高いコンプライアンス率を維持することは、高額な罰金や風評被害を伴う規制違反(GDPR、HIPAAなどのポリシーを想像してください)を回避するための鍵となります。コンプライアンスは、データのクリーン性、生産性、顧客の信頼を維持するためにも重要です。

コンプライアンス率
=
準拠したタスク数 /
完了したタスクの総数

コンプライアンス率を改善する方法

デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)アナリティクスを使用して、コンプライアンス率を把握し、ビジネスを危険にさらす行動を特定します。優れたデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)は、AIを活用して実用的なインサイトを可視化し、パターンを特定できます。たとえば、ある従業員グループ(職種や地域などに基づく)の方が、他のグループよりもコンプライアンスに苦戦していないでしょうか?その場合は、アプリ内ガイドを活用して該当する従業員にトレーニングや教育を行い、コンプライアンスに則った業務の遂行を促しましょう。対象を絞ったアプリ内サポートを使用すると、ガイダンスを必要とするユーザーには確実にガイダンスを提供し、必要のないユーザーには何もしないでおくことができます。

6. セキュリティインシデント

どの企業でも、どこかのタイミングで従業員を狙ったフィッシング攻撃、ビジネスシステムや機密データへの不正アクセス、元従業員や請負業者からの内部脅威など、何らかの形でセキュリティの脅威に直面することになります。種類に関わらず、企業は一定の期間(多くの場合は四半期ごとまたは1年ごと)におけるセキュリティインシデントの数を追跡し、時間の経過とともにその数を減らすよう努めることが重要です。

セキュリティインシデントを減らす方法

定期的なセキュリティ監査と従業員教育は、脅威を軽減するための鍵です。ほとんどの企業は、フィッシング攻撃のような脅威を見抜く方法を教えるセキュリティトレーニングを従業員に毎年義務付けていますが、従業員はこれらの単発のセッションをすぐに忘れてしまいます。また、脅威にさらされている間は、情報に容易にアクセスすることはできません。セキュリティの脅威に効果的に対抗するために、ITチームは、従業員にセキュリティのベストプラクティスを指導するアプリやワークフローの中で、常時サポートを提供する必要があります。行動に関する適切なインサイトがあれば、ITチームはデータへの不適切なアクセスやワークフローの誤った完了など、リスクのある行動パターンを特定し、下流でセキュリティインシデントが発生する可能性をより正確に評価できます。そこから、チームは脅威が発生する前に防ぐために、アプリ内でトレーニングとサポートを提供する追加の手順を実行することができます。

7. セグメント化されたアプリケーションネットプロモータースコア(NPS)

ネットプロモータースコア(NPS)は、企業が顧客満足度とロイヤルティを測る最も一般的な方法のひとつです。NPSは、「このブランドを友人や同僚に勧める可能性はどのくらいあるか?」という1つの質問に、顧客が0から10の数値で回答することで得られます。スコア9~10を「推奨者」、7~8を「中立者」、0~6を「批判者」として分類します。その後、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出された数値が、NPSになります。

アプリケーションNPSは一般的なNPSと同じように機能しますが、職場のアプリやソフトウェアについて従業員に配信されます(「このプロダクトやアプリケーションを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」)。これは、シャドーITのリスクの増大を理解するための鍵となる指標です。結局のところ、従業員がアプリケーションを使用したくない場合、許可されていない代替手段を使用する可能性が高くなります。Gartnerは、2027年までに従業員の75%がITチームの目の届かないところでテクノロジーを取得、変更、または作成すると予測しています。これは2022年から41%増加することになります。

セグメント化されたNPSでは、ビジネスシステム部門がスコアを評価する際に、個人またはチームがアプリケーションを使用する頻度を考慮します。たとえば、顧客関係管理(CRM)ツールに関するNPSスコアの場合、最も定期的かつ頻繁にアプリを使用する営業部門は、スコアが最も綿密に精査されるか、より重視されます。

セグメント化されたアプリケーションNPSデータに対して起こすべきアクション

NPSスコアを「頻度」というセグメントで調べます。たとえば、定着化を促進しようとする場合、使用頻度の低いユーザーのスコアを見ることで、より大きなエンゲージメントを妨げているものをより良く理解することができます。また高頻度ユーザーのスコアを調べて、そのツールがそのユーザーの生産性と士気に与える影響を最もよく理解することができます。スコアが特に低い場合は、その中の高頻度ユーザーをフォローアップして、満足度の低さの原因を把握します。そのツールは、チームの使用目的には適していないのか?AIツールやエージェント機能と統合することでメリットが得られるか?あるワークフローやプロセスにおいて、ツールや機能の使い方に混乱しているのではないか?このような疑問に対する答えを知ることは、ITチームが長期的にスコアを向上させるための介入策を計画するのに役立ちます。

すべての指標をセグメント化する必要はあるか?

アプリケーションNPSの場合、指標から真の価値を引き出すにはセグメントが必須です。アプリを最も頻繁に使用し、役割に不可欠な方法で使用している従業員は、提供するフィードバックの幅と深さが大きくなります。しかし、セグメントを活用することで、コンテキストに応じて他の指標をより意味のあるものにすることもできます。たとえば、アプリケーションや機能の定着化に関しては、役割やチームによるセグメント化が有効です。仮に、エンタープライズチームを対象としたセールスCRMアプリに追加された機能があるとします。その場合、定着率の健全性を評価する上で、市場別に定着率をセグメント化する(エンタープライズチームメンバーの定着率に重みづけする)ことは理にかなった方法です。


コスト削減のためのKPI

8. サポートへの問い合わせ数の減少

従業員に対して個別にサポートを提供する時間を減らすことは、常に重要な目標です。先見の明のあるチームは、デジタルアダプションプラットフォームを活用して、常に利用できる自動化されたサポートとガイダンスを提供することで、チームの行き詰まりを解消し、より早く稼働させることに成功しています。チームは、特定のアプリ、ツール、またはプロセスに関連する問い合わせチケットの量を基準として測定し、その数をアプリ内サポートリソースの展開後の一定期間後の量と比較することによって測定することができます。これらのソリューションは、さまざまなプロセスや機能に関するサポートとガイダンスを提供するヘルプセンターまたは情報がまとまったリソースハブの形で提供できます。また、アプリの中で、個人やチームに対して特定のタスクに関するAIを活用したトレーニングを行うという形でサポートすることもできます。

問い合わせ数のデータに対して起こすべきアクション

サポートへの問い合わせがあまり減っていないことに気付いたら、一歩下がって、アプリ内の介入を再評価してください。リソースセンターには、問い合わせてくる個人やチームを支援できる妥当な内容が含まれていますか?アプリ内のトレーニングやガイドをより分かりやすくすることはできますか?サポートは適切なユーザーを対象にしていますか?サポート内容が多すぎて必要なものが見つからないために、従業員が関心を示さなくなっていませんか?

サポート件数を減少させるとはどういうことか

ある大手金融サービス企業では、従業員から受けるサポート件数を減らすために、40以上の社内向けアプリケーションでPendoを導入し、成果を上げています。この企業は、問い合わせが来るのを受動的に待つのではなく、Pendoのリソースセンターを活用して主要なプロセス、ワークフロー、ベストプラクティスに関する信頼できる情報源をアプリ内に作成し、先手を打つことに成功したのです。また、アプリ内ガイドを利用して、「プロセスを説明してほしい」や「Xについて教えてほしい」といったリクエストを減少させました。その結果、問い合わせの量は60%減少し、リソースセンターの閲覧数も14倍となりました。そのおかげで支店の従業員は、ホームオフィスのサポートセンターに待たされることなく、迅速にセルフサービスを行い、顧客対応に戻ることができるようになり、生産性の向上につながりました。

9. 総所有コスト(TCO)

どのようなソフトウェアにもコストがかかりますが、その多くは間接的なものであるため、ITチームやビジネスリーダーにとって、これらのコストが何であり、どのような金額であるかを正確に見極めるのは難しいことです。総所有コスト(TCO)は、あるソフトウェアに関わる直接的、間接的なコスト全体を考慮した指標です。つまり、ライセンス、サポート、エンジニアリング、オンボーディング、保守、AIなど、ソフトウェアの導入、稼働の維持、従業員への適切なアップデートと修正の優先順位付けに必要なすべての費用を意味します。チームがソフトウェアに関するTCOのベースラインを設定すれば、改善の機会を見出すことができます。

総所有コストに対して起こすべきアクション

総所有コストが高いソフトウェアの場合、ITチームがコストの内訳を理解して、具体的に何がそのアプリへの支出を増やしているかを確認し、それを削減するための措置を講じることができます。たとえば、あるアプリのライセンス更新コストは低いものの、メンテナンスやアップグレードにかかるコストが高い場合があります(アプリによっては、適切にアップデートするために追加のツールを必要とするものもあります)。どの要素がコストを押し上げているかを知ることは、IT部門がコストを削減するための適切な戦略を立てるのに役立ちます。

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CUSTOMER STORY

大手商業用不動産会社がワークプレイスアプリのTCOを削減した方法

JLLは、世界でも有数の歴史と規模を誇る商業用不動産会社であり、JLL Technologiesという部門を通じて不動産テクノロジーの革新を推進しています。JLLTの主要アプリの1つであるBlackbirdは、地理空間可視化プラットフォームであり、市場の知識を顧客に紹介するために構築され、視覚的に説得力のある手法が顧客を惹きつけています。JLLTチームは、エンジニアリングにあまり大きな負担をかけることなく、ブローカーが新しいプロダクトの機能を認識し、そこから価値を得られるようにしたいと考えていました。そこで、Pendoのアプリ内ガイドを利用して、新機能のサポートとユーザーへの周知を行ったところ、すぐに作業時間の短縮に成功しました。エンジニアが3日かけて手動で作っていたものをプロダクトマネージャーが1時間で作れるようになり、アプリのメンテナンスに必要なリソースが大幅に削減されました。

10. ソフトウェアの無計画な増加

近年、IT部門を悩ませている最も大きな問題は、SaaSの無計画な増加、つまり企業の内部スタックにおけるアプリの急増かもしれません。これらのアプリには大きなコストがかかります。そして、AIの普及とともにコストは増加する一方です。企業にとって、ニーズに合った適切な規模のデジタルポートフォリオを用意することが不可欠です。ポートフォリオの無計画な増加を測定することで、ITチームは目標からどれだけ離れているかを判断できます。社内向けアプリの総数や、ユーザーあたりのアプリ数など、無計画な増加を測定する方法は複数あります。

ソフトウェアの無計画な増加に対して起こすべきアクション

ポートフォリオの内容を正確かつ包括的に把握した後、ITチームとビジネスシステム部門のリーダーは、ソフトウェアと予算のニーズに合わせてポートフォリオの規模を調整する方向へと進めます。その方法の1つが、DAPアナリティクスを活用して、各アプリの使用状況を調べ、さらに投資する価値があるのか、そのままでいいのか、それとも廃止するべきかを判断する方法です。たとえば、多くの企業では、重複するアプリ(すでにポートフォリオにある他のアプリと同じ目的や同等の機能を提供するアプリ)に無駄な費用を支払っていることが多く、状況を把握できればその使用を停止できます。


職場ソフトウェア体験がもたらすビジネス成果

本書で紹介するKPIを測定することで、ITチームやオペレーションチームが意図を持ってソフトウェア体験を設計し、現在提供されているものを改善することができます。企業がその場しのぎの混沌とした体験から、スムーズなワークフロー、アプリ、プロセス、AI要素が連携する状態に移行すると、従業員とビジネス全体で大きなメリットが得られます。物事を前に進めるために、ある要素や別の要素を絶えず優先順位付けする時代は終わりました。

従業員に適切なソフトウェア体験を提供することで、運用コストとリスクが低下し、業務効率が向上し、企業と従業員の双方にとってより良い結果が得られるようになります。

今こそデジタルワークプレイスの改善を始める時です。ソフトウェアをよりスムーズで、スマートで、使いやすくする体験を構築しませんか?

デジタルトランスフォーメーション(DX)のためのオールインワンプラットフォーム

顧客が望み、お金を払いたいと思うようなデジタル体験を、プロダクト、マーケティング、カスタマーサクセス、ITの各チームが提供できるように支援すると同時に、単一のプロダクトプラットフォームでコストを統合します。

ノースカロライナ州ローリーで愛を込めて作られました

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