画像

知っておくべきすべてのこと

データエコシステム

データに基づく意思決定を行うためにデータを収集、保存、分析、共有し、相互接続したコンポーネントのネットワークについて詳細をご覧ください。

最終更新日:2024年7月23日

データエコシステムとは

データエコシステムは、データを収集、保存、分析、共有するために相互接続されたコンポーネント結びついた複雑なネットワークです。これは、データソース、ツール、インフラストラクチャ、人材など、さまざまなプレーヤーが集まって、組織の効率的な運用、データ探索、インサイト生成のための統合環境を構築する、活気のある市場のようなものです。


今日のデータ主導の世界では、組織はかつてないほどの速さで情報を収集しています。ただし、データを保存してアクセスを提供するだけでは十分ではありません。企業がデータの真の可能性を引き出し、情報に基づいた意思決定を行うためには、適切に機能するデータエコシステムが必要なのです。

従来のデータ管理アプローチでは、情報が特定の部門やアプリケーションに閉じ込められてしまうデータのサイロ化のような制約に悩まされることがよくありました。こうした断片化されたデータ環境では、全体像を把握することが難しく、効果的なデータ主導の意思決定が妨げられてしまいます。一方、適切に設計されたデータエコシステムは、すべての関連データの中央リポジトリを提供し、チーム間のコラボレーションを促進し、情報へのアクセスを合理化することによって、これらのサイロを解消します。

このページでは、データエコシステムのコア要素を掘り下げ、その利点と課題を探り、いくつかの例を示し、データ同期がプロダクト主導型組織の健全なデータエコシステムにどのように貢献するかを説明します。


データエコシステムのコアコンポーネントとは

デジタルトランスフォーメーションを成功させるには、健全なデータエコシステムが不可欠ですが、そのためには「データソース」、「ツールとインフラストラクチャ」、「人材とプロセス」の3つの重要な要素のシームレスな連携が欠かせません。

データソース

データソースとは、データが収集される多様なオリジンのことです。プロダクト主導の組織では、このデータは、プロダクトチームの「内部」、組織内の他部門のアプリケーションからの「内部共有」、または外部(サードパーティ)のものとなります。たとえば、顧客や社内ユーザー向けのソフトウェアを作成するプロダクト主導の組織の場合、これらのデータソースには次のようなものがあります。 

  • 内部:Pendoが提供する強力なプロダクトアナリティクスソフトウェアから、プロダクトデータやプロダクト使用状況データ(プロダクトでのユーザー行動)、ユーザーフィードバック(定量的、定性的、視覚的)、ウェブサイトのアナリティクスデータ(ウェブサイトでのユーザーインタラクション)、サーバーログ(ユーザーアクティビティに関する技術データ)などを取得できます。
  • 内部共有:CRMデータ(顧客情報とやり取り)、顧客サポートチケット(顧客サポートエージェントとのやり取り)、マーケティング自動化データ(キャンペーンのパフォーマンス指標)、請求およびその他の財務データ(収益と顧客生涯価値)など。
  • 外部:ソーシャルメディアデータ(顧客のセンチメントやブランドの言及)、サードパーティからの人口統計情報、調査データ(生データまたは分析データ)など。

データツールとインフラストラクチャ

データストレージ(データベース、データウェアハウス、データレイク)、データ管理(ETL/ELTツール)、データ分析(BIツール)、データ可視化(ダッシュボードとレポート)のためのツールなど、データのライフサイクルを管理するために使用されるソフトウェアアプリケーションと物理的リソースです。 

  • 従来のデータベースは通常、CRM、マーケティング自動化システム、請求システム、社内で構築されたツールなど、特定のエンタープライズアプリケーションに固有の(または使用される)ものです。
  • データウェアハウスは、構造化された履歴データ分析用に設計された中央リポジトリです。高速なクエリパフォーマンスを提供し、複雑なデータモデルをサポートします。
  • データレイクは、あらゆる種類の構造化データと非構造化データを保存するためのスケーラブルなリポジトリです。これらは今後の分析に柔軟性を提供しますが、クエリにはより多くの処理能力が必要になる場合があります。
  • ETL/ELTツール(抽出、変換、読み込み(ETL)または抽出、読み込み、変換(ELT)ツール)は、アナリティクスのためにデータをクレンジングおよび変換しながら、さまざまなソースからターゲットとなる宛先(ウェアハウスまたはレイク)へのデータの移動を自動化します。
  • ビジネスインテリジェンス(BI)ツールは、ユーザーがデータを探索、分析、可視化してインサイトを取得するためのソフトウェアアプリケーションです。インタラクティブなダッシュボードやレポート、およびデータマイニング機能を提供します。

人材とプロセス

データとインフラストラクチャだけでは、収集および保存されたデータをどのように処理するかを決定することはできず、また、データを分析する方法や理由もわかりません。人工知能(AI)が登場しても、人的要素はデータエコシステムの重要なコンポーネントです。ここでは、機能的で健全なデータエコシステムを構築および維持する際に、積極的な参加者/関係者として人材が必要となる役割をいくつか紹介します。

  • データアナリストは、データを分析して、傾向、パターン、インサイトを特定します。BIツールと統計的手法を使用して、データから意味のある情報を引き出します。
  • データエンジニアは、データインフラストラクチャを設計、構築、保守します。これにより、データが効率的に収集、保存、処理されます。
  • プロダクトマネージャーは、データによるインサイトを活用して、プロダクト開発やロードマップの決定に役立てます。
  • ビジネスアナリストは、ビジネスニーズとデータ分析の橋渡し役です。ビジネス上の質問をデータクエリに変換し、関係者にインサイトを伝えます。
  • データガバナンスは、データの品質、セキュリティ、規制へのコンプライアンスを確保するためのポリシーと手順を定義し、適用します。また、役割、アクセス制御、およびデータ管理のベストプラクティスを定義します。
  • AIモデルは、人材でもプロセスでもありませんが、データの分析方法や組織がインサイトを解釈・活用する方法について、人間の指導と監視が必要です。

データエコシステム内のさまざまなコンポーネントの相互作用

データエコシステムのコンポーネントがシームレスに相互作用し、組織内の関係者がデータ主導の意思決定を行えるのが理想的です。ここでは、データフローの概要を簡単に説明します。

  1. データ収集:データは、API、ウェブスクレイピング、または手動データ入力を通じて、内外のさまざまなソースから収集されます。エンタープライズ向けアプリや顧客アプリは通常、独自の形式でデータを保存するため、アプリのデータベース外でデータの一部を収集するのが最適です(外部データはもちろん内部に取り込んで保存する必要があります)。
  2. データインテグレーション:ETL/ELTツールは、ソースシステムからデータを抽出し、整合性のある形式に変換して、対象のデータストレージの場所(ウェアハウスまたはレイク)に読み込みます。これにより、異なるデータセット間でシームレスな分析が可能になります。
  3. データストレージ:収集および変換されたデータは、その構造(または構造の欠如)に応じて、データウェアハウスまたはデータレイクに保存されます。ETL/ELTツールは、多くの場合「読み込み」ステップでデータ保存を実行し、同時に他のソースからのデータとの結合が行われます。
  4. データ分析:データアナリストは、BIツールを使用してデータを探索、分析、可視化し、インサイトを引き出します。多くの場合、膨大な組み合わせデータを運用し、レポートやダッシュボードを作成したり、複雑なクエリを実行して、特定のビジネス上の質問に答えたりします。
  5. データの共有とコミュニケーション:インサイトとレポートは組織全体の関係者と共有され、意思決定に役立てられます。これには、プレゼンテーション、レポート、または内部ダッシュボードへのデータ可視化の埋め込みが含まれる場合があります。

このデータフローは、形式上は一連のものですが、柔軟性があり、反復的で、継続的なものであるという点に留意してください。


プロダクト主導の組織にとっての健全なデータエコシステムの利点

適切に機能するデータエコシステムは、ほぼすべての企業にメリットをもたらしますが、プロダクト主導型の企業、特に顧客や社内ユーザーにソフトウェアを提供する企業にとっては尚更です。

データ主導のプロダクトに関する意思決定 

さまざまなソースからのデータを一貫して自動的に統合することで、プロダクトチームはカスタマージャーニー全体を通じたユーザーの行動を包括的に理解できます。これにより、プロダクトの機能、マーケティングキャンペーン、顧客オンボーディングプロセスについて、データに基づいた意思決定を行うことができるようになります。

たとえば、プロジェクト管理ツールを提供するソフトウェア会社について考えてみましょう。カスタマーサポートチケットと一緒にプロダクトの使用状況データを分析することで、ツール内で特定の操作を行っているときにユーザーが遭遇する想定外の摩擦ポイントを発見できる場合があります。このデータ主導のインサイトをプロダクト開発に役立てれば、ユーザー体験が向上し、特定された問題に対処できます。

業務効率の改善

データサイロは、データが特定の部門またはアプリケーション内に閉じ込められる場合に発生します。一方、よく設計されたデータエコシステムは、すべての関連データの中央リポジトリを提供することによって、これらのサイロを解消します。これにより、手動でのデータインテグレーションの必要がなくなり、情報へのアクセスが合理化され、運用効率が向上します。

たとえば、マーケティングチームがユーザー獲得チャネルを理解するために、主にウェブアナリティクスデータに頼っているとします。データエコシステムでは、プロダクトの使用状況データにアクセスして、さまざまなチャネルを通じて獲得したユーザーが最も共感する機能を確認することもできます。この総合的な視点により、よりターゲットを絞ったマーケティングキャンペーンと、より適切なリソースの割り当てが可能になります。

組織全体のROIの向上 

データ主導のインサイトは、もはやプロダクト開発やマーケティングなどの特定の部門に限定されません。データエコシステムによって組織内のすべてのチームが実際のデータに基づいて意思決定を行うことができるため、さまざまな取り組みにおける投資収益率(ROI)の向上につながります。

リードの優先順位をつけるのに、いつも「直感」に頼ってきたソフトウェアの営業チームを考えてみましょう。プロダクトの使用状況や顧客の行動データにアクセスすることで、価値の高いユーザーを特定し、それに応じてアウトリーチ活動の優先順位を決めることができるようになります。このデータ主導のアプローチによって、より適格な営業リードを創出し、最終的にはROIの向上につながります。

リスクの軽減と解約の削減 

データエコシステムが適切に機能することで、組織は主要な顧客の健全性とプロダクト使用状況の指標を監視できます。これにより、潜在的な解約や使用率の低下を積極的に特定し、問題が深刻化する前にプロダクトチーム(およびその他のチーム)が是正措置を講じることができます。

たとえば、プロダクトの使用状況データの傾向を分析することで、プロダクトチームは特定の機能について、バグや使い勝手の悪さを示している可能性があるエンゲージメントの急激な低下を検出できます。データエコシステムを通じて早期かつ継続的に問題を検出することで、チームは迅速に対処し、顧客の解約を最小限に抑えることができます。

チーム間のコラボレーションの向上

データエコシステムは、一元的なデータリポジトリを通じて顧客の行動とビジネス指標の共通理解を促進することで、プロダクト、マーケティング、営業、カスタマーサクセスの各チーム間のコラボレーションを向上させることができます。これにより、共通の目標を達成するために、さらに効果的に連携できるようになります。


データエコシステムの管理における課題と、その克服方法

このような利点がある反面、データエコシステムの管理には以下のようないくつかの課題もあります。

  • データのサイロ化と断片化:前述したように、データのサイロ化はデータエコシステムの有効性を妨げる可能性があります。これに対処するためには、Pendoのデータ同期のようなデータ同期や統合戦略を導入して異なるデータソース間のギャップを迅速かつ自動的に埋め、統合されたデータ保管場所を作成するのが最適です。
  • データセキュリティとコンプライアンスに関する懸念:データセキュリティを確保し、GDPRやCCPAなどの規制(および世界中で急増しているデータプライバシーとセキュリティに関する取り組み)を遵守することが重要です。コンプライアンスを維持するには、アクセス制御、データ暗号化の実践、およびデータ侵害を処理するための手順を定義する強力なデータガバナンスポリシーを確立しましょう。
  • データ品質の問題:不正確または一貫性のないデータは、誤解を招くインサイトにつながる可能性があります。データ品質チェックとクレンジングプロセスを実装して、データライフサイクル全体にわたってデータの正確性と一貫性を確保します。
  • データインテグレーションの複雑さ:さまざまなソースからのデータの統合は複雑になる可能性があるため、Pendoのデータ同期などのプラットフォームには、データのインテグレーションと変換プロセスを自動化し、異なるシステム間のデータ移動を合理化するETLツールが搭載されています。
  • データ量と複雑性の増大:さまざまなソースから生成されるデータの量は増え続けており、適切に設計されたデータエコシステムなしでは管理と分析が困難な場合があります。データエコシステムによって、データ管理の方法がスケーラブルかつ統合されるため、企業がこうした課題に対処するのに役立ちます。

健全なデータエコシステムの実例 

データエコシステムは、決して特定の業界に限定されるものではありません。ここでは、機能しているデータエコシステムがインサイトと改善の機会をもたらす事例をいくつか紹介します。

小売

ある小売企業は、データエコシステムを活用して、顧客を全方位から把握できるようになります。以下のようなさまざまなソースから取得したデータを統合できます。

  • 販売時点管理(POS)システムからの取引データ
  • 顧客関係管理(CRM)プラットフォームからの顧客の人口統計と購入履歴
  • ロイヤルティプログラムのデータから得られる顧客の行動と好み
  • 顧客の閲覧行動データを提供するウェブサイト分析

小売業者は、データエコシステム内でPendoのデータ同期などのツールを使用することで、こうしたデータを組み合わせて統合データセットにまとめ、BIツールを使用して顧客セグメントを特定し、マーケティングキャンペーンをパーソナライズし、プロダクトのおすすめを最適化し、全体的な顧客体験を向上させることができます。このデータ主導のアプローチは、売上と顧客ロイヤルティの向上につながります。

ヘルスケア

医療提供者は、患者ケアと臨床上の意思決定を改善するために、データエコシステムをますます充実させ、活用しています。Pendoのデータ同期のようなデータ同期ツールを使えば、次のようなさまざまなソースからのデータを統合できます。

  • 電子医療記録(EHR)(患者の病歴、診断、治療計画)
  • ウェアラブルデバイスのデータ(患者のバイタルと活動レベル)
  • 検査結果
  • 予約スケジュールデータ

こうしたデータを分析することで、医療従事者は患者の健康状態をより包括的に把握し、潜在的な健康リスクを早期に特定し、治療計画をパーソナライズすることができます。さらに、このような組織は、データエコシステムを研究に活用して新しい治療法を開発し、医療提供全体を改善することができます。

これらはほんの2つの例にすぎませんが、データエコシステムの可能性は無限大です。テクノロジーが進歩し、データがさらに豊富になるにつれ、データエコシステムはあらゆる業界の組織がデータ主導の意思決定を行い、成功を収めるために非常に重要になります。


Pendoのデータ同期が、ソフトウェアプロダクトマネージャー向けの健全なデータエコシステム構築にもたらすメリット

統合により強化されたデータの莫大な力を活用するには、企業は、定性的、定量的、可視的なプロダクトの使用状況データなど、さまざまなデータソースからデータを確実に抽出、変換、同期して、データウェアハウスやデータレイクなどのリポジトリに保存できる必要があります。プロダクトマネージャーにとってPendoのデータ同期は、プロダクトデータとその他のビジネスに不可欠なデータソースを橋渡しし、ソフトウェアのプロダクトマネージャーが活用できる健全なデータエコシステムを育成します。

  • さまざまなプロダクトとビジネスアプリケーション間のデータ交換を促進:Pendoのデータ同期は、豊富なPendoデータを定義された形式で、クラウドストレージの宛先(Amazon S3、Google Cloud Storageなど)にシームレスにエクスポートできるようにします。その後、このデータをデータウェアハウスやデータレイクと簡単に統合して、分析用の統一されたデータ環境を構築できます。
  • データウェアハウスやデータレイクとの統合を実現:Pendoのデータ同期を使用して、データウェアハウスやデータレイク内のプロダクトデータ、その他のビジネスデータ、サードパーティデータを同期して一元化し、強力なBIツールを適用することで、プロダクトマネージャーがカスタマージャーニーとユーザー行動の全体像を把握できるようになります。これにより、マーケティングキャンペーンのパフォーマンス、カスタマーサポートのやり取り、収益の数値と組み合わせて、プロダクトの使用状況データを分析できるようになります。
  • データの標準化と一貫性を促進:Pendoのデータ同期では、データが確実に一貫性のある明確な形式でエクスポートされます。これにより、手作業によるデータ操作やクリーニング(スクラビング)が不要になり、データ品質が向上し、エコシステム内の他のデータソースとの統合が容易になります。
  • 堅牢なコア機能セットを提供:Pendoのデータ同期は、プロダクトマネージャーのデータエクスポートを効率化する堅牢な機能を提供します。こうした機能には以下のようなものがあります。
    • 特定のニーズに基づいてカスタムデータエクスポートを定義する機能
    • データを常に最新の状態に保つための定期的なデータ更新機能
    • 分析用にデータを整形するための柔軟なデータ変換オプション

Pendoのデータ同期を活用して異なるデータを信頼できる唯一の情報源に統合し一元化することで、プロダクトマネージャーはデータサイロの課題を克服し、より堅牢なデータエコシステムを構築することができます。つまり、クリーンで正確かつ一貫性のあるデータが、BIツールによる解析のために常に準備されているということです。より多くの情報に基づいたプロダクト意思決定を行うために必要な、さらに詳細で豊富なインサイトがあれば、プロダクトの使用がマーケティング活動とどのように関連しているかを把握し、機能の定着化傾向を特定し、プロダクトの変更が主要なビジネス指標に与える影響を測定できるようになります。 

つまり、Pendoのデータ同期は、データソース、ツール、人材間の重要なコラボレーションを促進し、企業がデータエコシステムの真の可能性を解き放てるよう力を与えることができるのです。


Pendoのデータ同期機能によるデータ同期の詳細

さらに詳しく知りたい方は、Pendoのデータ同期をご覧いただくか、パーソナライズされたデモをご依頼ください。

デジタルトランスフォーメーション(DX)のためのオールインワンプラットフォーム

顧客が望み、お金を払いたいと思うようなデジタル体験を、プロダクト、マーケティング、カスタマーサクセス、ITの各チームが提供できるように支援すると同時に、単一のプロダクトプラットフォームでコストを統合します。