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定量的データ、定性的データ、視覚的データ

定量的、定性的、視覚的データにより、プロダクトチームは発見した事柄を三方面から立体的に把握し、より効率的に問題を解決できるようになります。

最終更新日:2024年3月27日

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定量的データとは

定量的データとは、数えることができ、数値で表される情報を指します。一般的に定量的データは、客観性が高く、測定可能で、標準化されていることが多く、長期的なベンチマーク比較や評価が容易であることから、意思決定に使用されます。また、特定の状況で「何が」または「どれだけ」発生しているかを理解したい場合に効果的です。

プロダクトマネジメントの世界では、定量的データは一般的にプロダクトアナリティクス、つまりイベントトラッキングやイベントプロパティ、イベントとプロパティのグルーピングを通じて、ウェブやモバイルアプリケーションなどのデジタルプロダクトからその使用パターンを取得し、掘り起こす、ビジネスインテリジェンスソフトウェアに関連しています。

プロダクトアナリティクスにおける定量的データには、通常、主要業績評価指標(KPI)のほか、次のようなデータがあります。

  • 完了時間:訪問者がプロセスまたはワークフローの全ステップを完了するまでにかかる時間
  • 定着率:プロダクトを使用しているユーザー数(プロダクトの定着率)またはその中の特定のフィーチャーを使用しているユーザー数(フィーチャーの定着率)。
  • 粘着率:どれだけのユーザーがそのプロダクトを定期的に使用しているか
  • リテンション:プロダクトを最初にインストールまたは使用開始した後も、そのプロダクトを使い続けているユーザー(または顧客アカウント)の割合
  • 価値実現までの時間:顧客がプロダクトを使い始めてから、そのプロダクトの価値を実感し始めるまでの時間

ネットプロモータースコア(NPS)や顧客満足度スコア(CSAT)の形式で測定できる顧客フィードバックも、プロダクトチームにとって定量的データの貴重なソースになります。こうしたデータは、プロダクトの全体的なパフォーマンスと顧客の健全性を測る指標になり、プロダクトチームがどこに時間とリソースを費やすべきか、またどの顧客に解約のリスクがあるかを把握するうえで有益です。


定量的データが重要な理由

プロダクトアナリティクス形式の定量データはプロダクトマネージャー(PM)にとって極めて重要なツールですが、その理由は以下のようにさまざまです。

  • 主観的な意見や直感ではなく、具体的な証拠に基づいてPMが意思決定を行えるようになるため、客観的な意思決定が可能になる。
  • ユーザーエンゲージメントやコンバージョン率などの主要指標を追跡できるため、プロダクトのパフォーマンスを理解しやすくなり、プロダクトがもたらすインパクトを評価できるとともに、ビジネス成果への全体的な効果も把握できる。
  • 解約のリスクとなる主要指標(プロダクト使用率の低さ、フィーチャー定着率の低さ、使用時間の減少など)が明らかになることで、プロダクトチームやカスタマーサクセス(CS)チームが積極的に介入し、顧客を正常な軌道に戻すなど、リテンションの向上につながるアクションを取れる。
  • プロダクトの課題や機会が明らかになることで、優先順位付けがより簡単で客観的になり、プロダクトチームは使用状況データに基づいて時間とリソースの投下先を決定できるようになる。

定性的データとは

定性的データとは、記述的で主観的な性質を持つ場合が多い、非数値情報を指します。定量的データ(数値で表現され、測定可能)とは異なり、定性的データは、状況や現象における数値化できない特性や属性を伝えてくれます。このタイプのデータは、状況の重大度や前後関係を理解したり、意見を収集したりするのに特に役立ちます。定性的データは、多くの場合、アンケートや投票、記述式のNPS回答、インタビュー、フォーカスグループ、または一般的な観察を通じて収集されます。

プロダクトマネジメントの世界では、定性的データは一般的にユーザーフィードバック顧客フィードバック、つまりプロダクトやサービスを利用したユーザーや顧客から提供される感想を指します。フィーチャーリクエスト(プロダクトに追加してほしい特定の機能や動作についてのコメント、メッセージ、要望)も、その性質から、定性的なものであることが多いデータです。企業のなかには、お客様の声(VOC)プログラムを立ち上げ、そこであらゆる形式のユーザーフィードバックや顧客フィードバックを総合的に評価している企業もあります。そうすることで、そのフィードバックの背後にある「理由」を理解し、顧客に共通する問題点を特定し、ビジネス活動に活かそうとしているのです。


定性的データが重要な理由

特にプロダクト開発においては、プロダクトのパフォーマンスと顧客体験を総合的に理解するため、(ユーザーや顧客フィードバックという)定性的データが(プロダクトアナリティクスという)定量的データと一緒に検討される場面がよくあります。定量的データでプロダクトの使用傾向とパターンを理解し、定性的データで物事の重要度と前後関係を理解することで、PMが適切な理由に基づいてユーザーの適切な問題を解決できるようになります。


視覚的データとは

視覚的データとは通常、画像やチャート、グラフ、地図、図形など視覚的な形式で表現された情報を指します。このタイプのデータは、数値を視覚的に表現し、傾向を分かりやすく示すことで、情報の理解を助けるために使用されます。プロダクトアナリティクスツール(Pendoのアナリティクスなど)には通常、プロダクトデータを視覚的に表現するためのフィーチャーやウィジェットが用意されています。一方でプロダクトの研究や設計においては、セッションリプレイと呼ばれる、視覚的データのための非常に有益な形式が存在します。

プロダクトマネジメントとデザインの世界では、視覚的データとセッションリプレイが同義語である場合もあります。セッションリプレイとは、マウスの動き、クリック、スクロール、キーボード入力など、ユーザーによるプロダクトやアプリケーションの利用を録画するプロセスのことです。この録画によって、プロダクト、ユーザー体験(UX)、カスタマーサクセスとサポート、営業、マーケティング、品質保証(QA)、開発などのチームは、ユーザーがプロダクトやアプリをどのように使用し、操作を進めているかを実際に見られるため、ユーザー体験全体を視覚的に把握することができます。セッションリプレイは、反論の余地のない視覚的な証拠であり、意思決定に影響を与えるために必要な、動きのある情報を提供します。

プロダクト体験のための技術スタックという点で考えると、セッションリプレイという形を取る視覚的データには次のようなメリットがあります。

  • ユーザージャーニーを把握する
  • ユーザビリティの問題を特定する
  • デザインとUXの効果を検証する
  • コンバージョン経路を最適化する
  • プロダクトの発見と開発を加速させる
  • 顧客体験の向上

プロダクト開発における定量的、定性的、視覚的データの役割とは

可能な限り最高のプロダクトとデジタル体験を構築するには、定量的データ(プロダクトアナリティクス)、定性的データ(ユーザーフィードバック)、視覚的データ(セッションリプレイ)を活用して、アプリやプロダクトを総合的に考える必要があります。これらのソースを合わせて活用することで、ユーザーがフィーチャーをどのように使っているか、それらをどう評価しているか、具体的にどのような過程を経てプロダクトを使っているかなど、最高のユーザー体験を提供するために必要なあらゆるインサイトが得られます。


定量的、定性的、視覚的データをどのように組み合わせるのか

たとえば、新しいフィーチャーの定着率が低いことがプロダクトアナリティクスツールからわかったとしましょう。こうした定量的データがあると、そのフィーチャーの利用状況を同じプロダクトの他の領域と比較したり、パフォーマンスの推移を時系列で確認したりすることができます。Pendoのアナリティクスのようなツールを使えば、具体的にどのユーザーグループがそのフィーチャーを利用しているのか、または利用していないのかを掘り下げることも、メタデータや行動でユーザーをセグメント化することも、そのフィーチャーを使って完了すべきワークフローが実際にはどのような経路で完了されているのかを確認することもできます。

こうした定量的データが取得できたら、次はユーザーフィードバックツールを活用して定性的なインサイトを取得し、そのフィーチャーの定着率が低い理由を探っていきます。Pendoのようなプラットフォームを使えば、多くのユーザーがその新フィーチャーの配置について、「ユーザーインターフェース(UI)のどこにあるのかわからない」といった具体的なフィードバックを残していることがわかるかもしれません。こうした定性的フィードバックは、ユーザビリティの点でユーザーがそのフィーチャーのどこに不足を感じているのかを特定するのに役立ちます。そしてそれがわかれば、定着率の改善に向けて必要な措置を講じられるというわけです。またフィードバックは、ロードマップを作成するうえで優れたインスピレーションも与えてくれます。

新フィーチャーの定着率が低いこととその理由がわかったら、次はセッションリプレイを使ってその全体像に迫ります。セッションリプレイという形で視覚的データを取得すれば、ユーザーがプロダクト内をどのように移動し、どこに到達し、何をクリックしているかを正確に知ることが可能になります。新フィーチャーの定着率が低いユーザーのセッションリプレイを見ると、マウスカーソルがあちこちに動き続けている様子から、そうしたユーザーがホームページのどこにそのフィーチャーがあるのかわからないことが判明するかもしれません。あるいは、フィーチャーの場所は知っているものの、バグが発生してそのフィーチャーを利用できないことが、「レイジクリック」が繰り返されていることからわかるかもしれません。これらに対し、Pendoのような統一されたプロダクト体験プラットフォームを使用していれば、アプリ内メッセージでユーザーにバグを通知することも、フィーチャーの場所や使い方を知らせる一連のアプリ内ガイドを提供することも可能です。

プロダクトアナリティクス、ユーザーフィードバック、セッションリプレイを合わせて活用することで、プロダクトチームはユーザー体験の全体像を描くことができ、より高いレベルで情報に基づく意思決定を行うことができます。それはリソースを賢く使用することでも、最もインパクトの大きなプロダクトエリアにフォーカスすることでも、継続的にサービスを改善していくためのインサイトを得ることでもあります。


定量的、定性的、視覚的データを組み合わせることがなぜ重要なのか

定量的、定性的、視覚的データ(それぞれプロダクトアナリティクス、ユーザーフィードバック、セッションリプレイ)を組み合わせることで、発見した事柄を三方面から立体的に把握できるため、より効率的に問題を解決できるようになります。

たとえば、ユーザーフィードバックに問題の提示があったとします。その場合、アナリティクスデータがあることでその問題の範囲が明らかになり、セッションリプレイを利用することで、ユーザーがその問題をどのように経験しているかを細かく知ることができます。もしくは、アナリティクスデータが問題を示唆していた場合も、セッションリプレイがあれば、それがフィーチャーの不備なのか、バグなのか、またはユーザーのミスなのかを検証でき、ユーザーフィードバックによって、今後の問題を防ぐヒントも得られるかもしれません。

プロダクトアナリティクス、ユーザーフィードバック、セッションリプレイがあれば、ユーザーの行動に対し多角的な視点を持つこともできます。これら3つの情報ソースを合わせることで、ユーザー体験を総合的に把握できるようになり、ユーザーが何をしているかだけでなく、なぜそれを行うのかを理解しやすくなるのです。


すべての定量的、定性的、視覚的データを扱える統一したプラットフォームを使用するメリットと、ポイントソリューションとの比較

特に大規模で分散型のチームの場合、共通点のないポイントソリューションをそれぞれに使用していくと、ビジネスデータの精度と実用性が大きく損なわれる可能性があります。それは、さまざまな場所でデータが追跡され、分析されていくことで、どのソースを信頼すべきかの見極めが難しくなり、さらにはどの分析が最も正確であるかを判断することもほぼ不可能になるからです。さまざまなツールの寄せ集めで活動していると、コラボレーションのスピードが落ち、プロダクトのイノベーションが停滞し、ユーザーのニーズに合わないフィーチャーを作ることになってしまい、最終的には統一性のない顧客体験を生み出してしまいます。さらにベンダーが複数あると、複数のサポートチームと協働することで事務作業が増え、通常は費用も大きくかさむことになります。

Pendoの統合型アプリケーション体験プラットフォームには、プロダクトチームが必要とする定量的データ(Pendoのアナリティクス)、定性的データ(Pendo Feedback)、視覚的データ(Pendoのセッションリプレイ)が集約されているため、ユーザーの行動を総合的に把握できます。さらに、その情報に基づいて行動するためのツールも用意されています。こうした統合型のプロダクトアプリケーション体験プラットフォームによるビジネスメリットは他にもいくつかありますので、それを以下に紹介します。


効率性の向上

プロダクト体験ツールとユーザー行動インサイトを単一のプラットフォームに統合することで、チームのワークフローがシンプルで効率的になり、心理的な負担やコンテキストスイッチ、技術スタックの増加によるコスト増の排除につながります。


データ精度の向上

すべてのユーザー行動データが1か所に格納されていれば、閲覧や共有、アクションが容易になるだけでなく、より安心してデータを信頼できるようになります。PendoのセッションリプレイPendoプラットフォーム上にあるため、収集したデータの背景をそこで確認できます。そのためアクションの根拠となるインサイトの適切性や信頼性にも自信を持つことができます。


迅速な発見

Pendoのセッションリプレイは、Pendo内のどこからでもアクセスできるため、データの探索もプロダクトの発見も迅速で簡単になります。定量的、定性的、視覚的データのすべてがこの単一の統合プラットフォームに存在するため、ワンクリックでデータポイントからセッションリプレイに移動でき、Pendoのどこからでもデータの背後にあるユーザーの行動を確認できます。


プライバシーの強化

Pendoのセッションリプレイには、フルカスタマイズが可能な3つのプライバシー設定が用意されているため、機密性の高いユーザー情報にも編集やマスキングで対応できます。各プライバシー設定は具体的なニーズに合わせて柔軟に調整できるため、プライバシーを保護しつつインサイトを獲得することができます。さらに、定量的、定性的、視覚的データのすべてがPendoに保存されているため、業界をリードする弊社のセキュリティとデータプライバシーポリシーでデータを保護することができます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)のためのオールインワンプラットフォーム

顧客が望み、お金を払いたいと思うようなデジタル体験を、プロダクト、マーケティング、カスタマーサクセス、ITの各チームが提供できるように支援すると同時に、単一のプロダクトプラットフォームでコストを統合します。