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プロダクトはチェンジメーカーである
企業は、一夜にしてスタートアップ企業からグローバル企業に成長するわけではありません。
そのような成長には、時間とコミットメント、そして長年にわたる一貫性が必要となります。そのためには、違和感を受け入れ、新しいやり方を導入する意欲と、それを大規模に適用する厳格さが求められます。また、ユーザーの声に耳を傾け、データに従い、単に要件を満たすだけでなく、重要なビジネスニーズを解決するプロダクトやフィーチャーを構築することに専念する必要があります。
しかしもちろん、企業が「エンタープライズ」の域に達すれば、そこで成長が止まるわけではありません。俊敏性と適応性を維持し、顧客と有意義に関わり、市場と歩調を合わせるために、新しい戦術を継続的にテストし、運営方法に取り入れる必要があるのです。今日、それはデジタルトランスフォーメーション(DX)を受け入れ、データ主導の組織として運営し、プロダクトを活用してより少ないコストでより多くのことを行うなど、あなたのビジネスで行われる顧客のあらゆる体験を最適化することを意味しています。
安定した企業全体の事業運営方法を変革することは、難しく、多くの場合複数年にわたる作業となり、難易度が高いことがよく知られていますが、その一方で、現時点でプロダクトチームはかつてないほど大きな影響力で変革を成功に導く力を発揮できます。そして、経営陣は、彼らが行う仕事を、ビジネス全体の健全性と成功にとって、かつてないほど重要なものと見なしているのです。顧客体験を近代化し、プロダクトデータの活用と民主化の方法を再考し、DXに投資している企業は、たとえ不況であっても顧客にとって不可欠な存在となり、今後もそうであり続けるでしょう。
プロダクト体験成熟度モデルは、プロダクト体験を最適化し、ビジネスの成長を促進しながら、プロダクトチームが組織の変化とDXをリードするための指針となるフレームワークのことです。これをニーズの階層として考えてみましょう。各成熟段階がどのようなものかを理解し、Pendoのようなプロダクト体験ツールを活用して、各段階における自社とプロダクトの機能を向上させる方法を理解することで、顧客を喜ばせ、組織全体を次の成長段階へと導けるようになるのです。
ステージ 1 — 基礎
効率性を高めコストを削減
企業は、これまで以上に効率的に業務を遂行し、業務の無駄を省く方法を見つけなければなりません。業務効率化の柱となるのは、顧客体験に関する単一の情報源を中心にした組織の統合です。つまり、企業が開発するアプリやプロダクトに顧客がどのように関わるかについて、データ主導で理解を深めることです。この情報を活用することで、組織は、マトリックス化されたチームやプロダクト全体で顧客体験をより効果的に測定し、影響を与えることができます。
そのため、プロダクト体験成熟度の基礎段階においては、チームは次のことに注力すべきです。
- プロダクトのパフォーマンスの信頼できる唯一の情報源として機能し、基礎となる民主化されたデータ層を構築する
- アプリ内メッセージを使用して、ジャーニーの各段階で顧客とのエンゲージメントを促進する
- フィーチャー、特に未使用または十分に使用されていないフィーチャーの維持にかかるコストと価値の比率を理解する
- コンテキストの切り替えを排除し、エンジニアリングリソースへの依存を軽減することで生産性を向上する
基礎段階に入ったほとんどの大企業は、ポートフォリオ全体のプロダクトエンゲージメントを限定的にしか見ていません。ページビューのようなハイレベルな統計情報を追跡するために分析ツールを使用することはあっても、実際にユーザーの健全性や幸福度の指標となる測定基準を見ることはなく、ユーザーがプロダクト内やプロダクト間をどのように移動するかを理解するためのまとまった方法は持っていません。
このようなデータへのアクセスは、意思決定に役立つデータにアクセスし理解できるチームが非常に少ないデータレイクでは制限され、技術者以外のチームが利用することができなくなってしまいます。つまり、プロダクトに関わるさまざまなチームが、重要なデータに対して一貫したアクセス方法がないまま作業することになるのです。そして、顧客や従業員のジャーニーに関する知識が共有されていなければ、最終プロダクトは矛盾したバラバラなユーザー体験を提供することになります。
多くの場合、プロダクトチームは、大小を問わずプロダクトの変更をエンジニアリングに大きく依存しています。セルフサービス型のアプリ内メッセージツールにアクセスできなければ、プロダクトチームは顧客や従業員にタイムリーなガイダンスを提供したり、ユーザーベース全体、または影響を受けるユーザーの一部だけに有益なアップデートを配布したり、苦戦しているユーザーに積極的なサポートを提供したりすることはできません。代わりに、そのような変更や追加を要求するために、次に予定されている開発リリースまで待つことを余儀なくされるのです。その間、不満を抱いたユーザーからの大量のサポートへの問い合わせに直面しますが、そのほとんどは簡単なアプリ内アラートで軽減できたはずなのです。
運用面では、基礎段階の企業のチームは、アカウントの価値に関係なく、顧客との1対1の対応に多くの時間を費やす可能性があります。たとえば、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)やオンボーディング担当者は、新規ユーザーのオンボーディングや基本的なプロダクトウォークスルーなどの日常業務に何百時間もの時間を費やしており、それが、本来であれば最も価値の高い顧客との関係により特化したサービスを提供できるはずの時間と注意を奪っているのです。
最後に、基礎段階の組織は通常、ポートフォリオ内のどのプロダクトやフィーチャーが実際にビジネスの価値を推進しているのか、また、どれが十分に活用されておらず、廃止される可能性が高いのかを特定する方法がありません。これにより、実際に変化をもたらさないプロダクトに過剰な時間、労力、リソースが浪費されることになります。
基礎的なプロダクト体験では、次のことが可能になります。
- プロダクト内のバリュードライバー(価値を高める要素)を特定する
- リソース投資を定量化する
- ビジネス全体でプロダクトのKPIを標準化する
- アプリケーション全体でのROIを明確にする
- 体験や取り組みの目標を明確にする
主な戦術:
- プロダクトアナリティクスツールを使って基礎的なデータ戦略を作成し、ユーザーとの距離を縮め、ユーザーがプロダクトやフィーチャー内をどのように移動しているかを理解します。Pendoのようなソリューションを使用している場合は、訪問者とアカウントのメタデータの標準化、必要に応じたページとフィーチャーのタグ付け、プロダクトのKPIの標準化、Pendoと組織全体でのレポート作成などの作業を主導する「パワーチーム」を設立します。
- ターゲットを絞ったアプリ内ガイドを使用して、プロダクトやアプリ内で顧客を育成し、重要な瞬間にエンゲージメントを促進します。これにより、顧客対応チームへの依存を減らし、全体的なプロダクト体験を向上させることができます。
- アクセスしやすいヘルプセンターを作成しましょう。よくリクエストされるリソースやよくある質問を特定し、プロダクト内の一元化されたアプリ内ハブで利用できるようにしましょう。これにより、日常的なサポートチケットを減らし、ユーザーが自力で解決できるようになります。
ステージ 2 — 競争優位性
顧客維持率と顧客ロイヤルティを向上
基礎的なデータ層が確立されたら、最も重要な時と場所、つまりプロダクト内で、より有意義な方法でユーザーと関わり、顧客リテンションとロイヤルティを高めることに重点を置きます。
プロダクト体験成熟度の競争優位性段階においては、チームは次のことに注力すべきです。
- 価値を提供する可能性が最も高いフィーチャーに対してユーザーを育成する
- ニーズを予測し、パーソナライズされたオンボーディングを通じてユーザーを導く
- 粘着性に関するKPIを設定してエンゲージメントを向上する(結果としてチャーンの減少につながる)
- ユーザーを支持者に育てる
競争優位性段階にあるチームは、基礎となる強固なデータ層を確立し、さまざまなアプリやプロダクトライン全体のユーザーエンゲージメントを包括的に把握する段階に進みます。成功を測定するための明確なKPIとダッシュボードを用意し(そして、そこから頻繁に実用的なインサイトを導き出し)、組織全体でデータを民主化するのです。彼らはまた、サイロをなくし、異なるビジネスユニットが相互に学習できるように、プロダクトチーム間でこのデータを共有しています。これにより共通言語が生まれ、特に大規模なプロダクトポートフォリオを持つ企業では、異なるチームがよりまとまりのある、ユーザーフレンドリーな複数のプロダクトジャーニーを構築しやすくなります。
この成熟度の組織は、基礎段階で始めた作業を継続し、時間とリソースをどこに費やすべきかの理解も深めています。プロダクトやユーザーエンゲージメントのデータを評価し、どのフィーチャーやプロダクトを廃止するか、あるいはどのプロダクトに重点的に投資するかについて、十分な情報に基づいた意思決定を行っているのです。このようなインサイトは、プロダクトチームに自分たちの構築しているものに対する自信を与え、ビジネスに最も大きな影響を与えることがわかっている取り組みを優先するのに役立ちます。
競争優位性段階にある企業の多くは、アプリ内コンテンツを利用して、自社プロダクト内で幅広いユーザーとエンゲージしています。また、セグメントや行動ベースのガイダンスを活用して、コミュニケーションをさらにカスタマイズしています。プロダクトデータを使用して、PM、CSM、マーケティング担当者、営業担当者が、いつ、どのユーザーにエンゲージするかを特定することで、パーソナライズされたメッセージを使用して、適切なタイミングで適切なユーザーにアプローチし、目的の行動を促したりアカウント浸透度を深めたりできます。
競争優位性段階のプロダクト体験では、次のことが可能になります。
- プロダクト体験とビジネスニーズの整合性を高める
- オムニチャネル戦略を活用して、適切なタイミングでユーザーと関わる
- プロダクトポートフォリオ全体でデータモデルを標準化
- データを継続的に活用して意思決定に役立てる
主な戦術:
- プロダクトアナリティクスを活用し、有意義なユーザーエンゲージメントを促進するフィーチャーやアプリを特定することで、予算やリソースの投資先の決定に役立てます。
- セグメントを使用してユーザーの主要なコホートをターゲットにし、行動を分析してアプリ内ガイドのターゲットを絞ります。
- 継続的なプロダクトアナリティクスレポートを使用することにより、ビジネス内の適切なチームがデータ主導の意思決定を行い、調査結果をビジネス成果に明確に結び付けることができます。
- アプリ内ガイドのガバナンスチームを編成し、監視を行い、冗長性を緩和し、アプリ内ガイドが展開されるたびに一貫した基準が満たされるようにするためのドキュメントを作成します。
ステージ 3 — ベストインクラス
デジタル体験から収益増加を促進
プロダクト体験の成熟度がベストインクラスの段階に達した企業は、それまで効率性を妨げ、チームの時間とエネルギーを浪費していた日常的なプロセスの多くを自動化する方向に進みます。
プロダクト体験成熟度のベストインクラスの段階においては、次のことに注力すべきです。
- ユーザーエンゲージメント、機能の定着化、継続的なリテンションのための共有目標に基づいて部門の枠を超えてチームを連携させる
- プロダクト施策が収益増加の促進にどのように貢献しているかを明確にする
- ユーザーおよび行動ベースのデータ値を活用して、顧客のジャーニーの各段階に基づきパーソナライズされた体験を自動化します。
ベストインクラスの組織は、プロダクトデータを高度に理解し、収益を特定のプロダクト施策に帰属させることができます。また、データに基づいたアプリ内コミュニケーション戦略を活用して、ユーザージャーニー全体を通じて効率を高め、収益性を高めています。
この成熟度の企業は、自社のプロダクト体験が全体的な顧客体験の中心であることも認識しています。教育やユーザーのセンチメント測定といった重要なタッチポイントやリソースをプロダクト内部に直接導入することで、ユーザーの生産性を高めています。そうすることで、顧客との重要なエンゲージメントを促進するためにアウトバウンドチャネルに頼る必要がなくなり、コストを節約し、社内チームがより戦略的な取り組みに着手できるようになります。
ベストインクラスの組織は、プロダクト体験の施策の規模を拡大するにつれて、「パワーチーム」をセンターオブエクセレンス(COE)に進化させ、プロダクト組織全体でプロダクト主導のすべての取り組みを監視します。この部門横断的なグループが、プロダクト体験を推進し、ベストプラクティスについて助言し、アプリ内ガイダンスやレポートなどの活動に関する明確なガバナンス基準を維持するのです。
ベストインクラスのプロダクト体験では、次のことが可能になります。
- ユーザーとその行動に関するデータを活用した、ユーザージャーニーのパーソナライズと自動化する
- 行動ベースのトリガーを使用して、より深いエンゲージメントを促進する
- プロダクトの使用状況データを継続、アップセル、クロスセル戦略に一貫して結び付ける
- 顧客の健全性を測定し、より広範な顧客体験への取り組みを提供するために、定量的および定性的両方のインサイトを総合的に活用する
主な戦術:
- プロダクトデータがすべての意思決定の原動力となり、プロダクトが収益性に直接どのように影響するかを確認できるように、プロダクト体験記録システムを組織全体で使用される他の主要ツールと統合します。
- プロダクトデータとセグメントを活用し、スケーラブルなアプリ内パーソナライズ戦略を構築します。プロダクト内のすべての主要な顧客タッチポイントを推進して、摩擦を減らし、販売サイクルを加速します。
- フィーチャーの定着化データを活用して、関連する顧客とのタッチポイントを自動化することで、ジャーニーの主要段階をつなげます。
ステージ 4 — 変革
高いROIでより迅速なイノベーションを実現
プロダクト体験の成熟度において変革期を迎えている企業は、アプリやプロダクト内およびプロダクト間でシームレスなユーザージャーニーを実現し、最高レベルの効率で事業を運営しています。また、プロダクトを顧客体験の中心に据え、プロダクトデータを活用してビジネスを前進させるための十分な情報に基づいた意思決定を行う、強力でデジタルファーストな企業文化を構築しています。
変革の段階においては、チームは次のことに注力すべきです。
- ダウンストリームの収益への影響に直接関係する、顧客の意見に基づいたロードマップを構築する
- カスタマージャーニーから得られるプロダクトデータや使用状況データを他のシステムの重要なデータ値と組み合わせて、プロダクト施策をビジネスの成長の重要な段階に合わせる
変革期の企業では、組織全体でさまざまなアプリやプロダクト分野に取り組んでいるチームが、プロダクトデータの信頼できる単一の情報源を共有しています。これらの主要なデータ値は、同社の他の技術スタックと完全に統合されており、定量的なパフォーマンス指標と定性的なフィードバックを容易に関連付けることができます。また、機会のあるエリアを特定し、トレンドを見つけ出し、ユーザーとの関係を結ぶことがシームレスになります。
これらの取り組みは、部門間の効率を高め、無秩序な増加を抑え、支出を統合し、コストを削減する、スケーラブルで自動化された戦略を推進することにより、会社の包括的な変革戦略を推進する重要な役割を果たしています。
変革期のプロダクト体験では、次のことが可能になります。
- プロダクトのユーザー行動データを他のビジネスクリティカルなデータと統合して、顧客体験とビジネスへの影響についての統一されたビューを作成します。
- 組織全体のチームがデータを活用してどのようにプロダクトと顧客体験を向上させるかの運用化および標準化を行う
- プロダクトの開発、展開、定着化を加速する
主な戦術:
- プロダクトチームとビジネスチーム間のフィードバックループを自動化する
- プロダクトのユーザー行動データと広範な技術スタックを統合する
- カスタマージャーニーに対する360度の全体的な視点をもとに一貫して業務を遂行する
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