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レイジクリック
レイジクリックとは、ソフトウェアアプリケーション内の特定の要素が繰り返しクリックされることです。多くの場合、ユーザーの不満により引き起こされます。
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目次
レイジクリックとは
レイジクリックは、デッドクリックまたはフラストレーションクリックとも呼ばれ、ユーザーが望む結果が得られないためにソフトウェアアプリケーション内の要素を繰り返しクリックまたはタップしたときに発生します。多くの場合、このようなクリックには、技術上の問題、わかりにくいデザイン、または応答しない要素に対するユーザーの不満が表れます。
単一のクリックが問題を表すことはありませんが、特定の要素で短期間にクリックが急増する場合は、ユーザーの強い不満を示しています。ソフトウェアアプリケーション企業は、レイジクリックの根本原因を特定して対処することでユーザー体験(UX)を向上させ、潜在的な解約数を削減できます。
レイジクリックがソフトウェア企業の懸案事項かつ重要課題である理由
レイジクリックを認識して対処することの重要性にはいくつかの理由あります。レイジクリックは、以下のような重大な悪影響を及ぼし得るユーザーの不満を示唆しています。
- ユーザー満足度の低下:技術上の問題が繰り返し発生したり、インターフェースがわかりにくかったり、応答しない要素に遭遇したりすると、ユーザーの満足度は一気に下がってしまいます。不満は雪だるま式に増え、ソフトウェアを完全に放棄(解約)することにつながります。
- 解約率の増加:不満が募ると、ユーザーは別のソリューションを探すようになります。低品質のUXが原因でユーザーを失うことは、企業の収益に直接影響します。
- ブランド評判の低下:不満は伝播する可能性があります。ネガティブな経験をしたユーザーは苦情を他者に共有し、ソフトウェアの評判を傷つけ、新規ユーザーを遠ざける可能性があります。
一方、レイジクリックは改善の貴重な機会でもあります。
- ユーザビリティの問題の発見:多くの場合、レイジクリックによってインターフェース内の特定の問題点が浮き彫りになります。レイジクリックが発生する場所を分析することで、企業はインターフェース上のわかりにくいエリアや不明瞭なエリアを特定し、総合的なユーザビリティを向上できます。
- バグ修正の優先順位付け:レイジクリックにより技術上の問題を特定できます。このデータを分析してバグ修正の優先順位付けを行い、よりスムーズなUXを実現します。
- プロダクト開発の改善:レイジクリックによってユーザーの不満を理解することで、今後のプロダクト開発に役立てることができます。ユーザーが苦労しているエリアを特定することで、企業はその問題点に対処する機能に優先順位を付け、よりユーザーフレンドリーな体験を実現します。
要するに、レイジクリックは諸刃の剣です。レイジクリックはユーザーの不満を表し、ユーザーが別のソリューションを求める結果になりかねません。ただし、レイジクリックからはUXに関する貴重なインサイトも得られます。このインサイトを活用してソフトウェアアプリケーションを改善し、最終的にはユーザーの満足度とリテンションを高めることができます。
レイジクリックの種類
ユーザーの意図に基づくレイジクリックの正式なカテゴリーは存在しませんが、以下の3つの一般的な事例があります。
- 応答しないボタンのクリック:バグ、読み込みの遅さ、ネットワーク上の問題が原因かもしれません(「カートに追加」ボタンが応答せず繰り返しクリックするなど)。クリックした要素の機能がまだ実装されていないのに、ユーザーインターフェース(UI)では表示され、アクティブになっている可能性もあります。
- 誤った要素のクリック:要素同士が近すぎる場合やビジュアルデザインが乱雑な場合に発生することがあります(「広告を閉じる」ボタンに隣接する広告をクリックするなど)。UI要素がクリック可能に見えて、実際にはクリックできない場合にもこのような「誤った」クリックが発生します。
- 不満によるクリックの繰り返し:指示が不明瞭なエラーメッセージや応答しない要素が含まれていると、このようなクリックにつながります(エラーメッセージ後の修正方法の指示がないまま「送信」を繰り返しクリックするなど)。別の原因としては、ユーザーの最初のクリックが登録されたことを示すUIが素早く反応しないため、ユーザーに何度もクリックを促すことが挙げられます。
レイジクリックのよくある原因
レイジクリックを引き起こす要因は以下のとおりです。
- 読み込み時間の遅さ:待つのが好きな人はいません。ページや要素の読み込みに時間がかかりすぎると、ユーザーは不満を感じて繰り返しクリックする可能性があります。
- リンク切れ:行き止まりやエラーページにつながるリンクは、確実にレイジクリックを誘発します。
- 不明瞭なエラーメッセージ:エラーメッセージは、明確で簡潔、かつ実用的である必要があります。紛らわしく実用性の低いエラーメッセージは、ユーザーを苛つかせ、対処法が不確かになります。
- 紛らわしいインターフェース:階層が不明瞭で乱雑なUIや誤解を招くデザイン要素があると、ユーザーが探しているものを見つけづらくなり、レイジクリックにつながります。
原因が何であれ、レイジクリックは生産性の低下やソフトウェアのデジタルアダプションの低下につながる可能性があります。
レイジクリックとユーザーエラーの見分け方
ユーザーのミスとレイジクリックを区別することは重要です。その方法は以下のとおりです。
- クリックパターンを分析する:同じ要素で短期間に繰り返しクリックされていないかを調べます。(「送信」の数秒以内の繰り返しクリックは、確認を重ねているわけではなく怒りの表れです。)
- ユーザー行動を考慮する:誤った情報の入力など、特定のアクションの後にレイジクリックが発生したかどうかを確認します。(タイプミス後に繰り返し「送信」をクリックした場合、ユーザーエラーを示している可能性があります。)
- セッションの記録を確認する:記録はコンテキストを提供します。クリックを繰り返す前にためらっている場合は混乱(ユーザーエラー)を示唆し、クリックが速い場合は怒り(技術上の問題や応答のない要素)を示す可能性があります。
ここでは、その違いを説明する具体的例をご紹介します。
- レイジクリック:ユーザーが「動画を再生」ボタンをクリックしても何も起こりません。インターネット接続の遅延が原因で動画が読み込まれないため、ユーザーはボタンを繰り返しクリックしました。(ボタンが表示されていても技術上の問題により機能していないため、これはレイジクリックに該当します。)
- ユーザーエラー:ユーザーが登録フォームへの入力時に誤って無効なメールアドレスを入力しました。「送信」をクリックするとエラーメッセージが表示されたため、メールアドレスを修正してから再送しました。(ユーザーが誤りに対するフィードバックを受信した後に修正してフォームを正常に送信したため、ユーザーエラーに該当する可能性が高いです。)
セッションの録画とともにユーザー行動やクリックパターンを分析することで、ユーザーが本当に行き詰まっているのかどうか、ソフトウェアへの不満からレイジクリックに至っているのかどうかを企業はよりよく理解できます。
レイジクリックデータを分析するベストプラクティス
- 傾向とパターンを特定する:レイジクリックが集中しているエリアを探しましょう。これにより、ソフトウェアアプリケーション内の課題のあるエリアが明らかになる場合があります。
- ユーザーのコンテキストを考慮する:クリック数のみに注目してはいけません。レイジクリックの発生前にユーザーが意図していたことを確認しましょう。
- レイジクリックを他のデータと関連付ける:レイジクリックデータを、アンケートやサポートチケットなどの他のユーザーフィードバック方法と組み合わせて、より完全な全体像を把握しましょう。
プロダクトアナリティクスでレイジクリックを特定する方法
プロダクトアナリティクスツールは、ユーザー行動データを追跡することでレイジクリックの特定を支援します。
- 短期間での高いクリック率:一定期間内に特定要素のクリックが急増した場合、レイジリックを示す場合があります。
- クリックの場所:過剰にクリックされているエリアを特定することで、ユーザビリティ上の問題を明確化できます。
- ユーザージャーニー:ユーザージャーニーを分析することで、ユーザーが行き詰まり困難を抱え、不満やレイジクリックに直結する可能性のあるエリアを特定できます。
- クリックパターン:ユーザーが2要素間を迅速に行き来するなど、普段と異なるクリックパターンは、混乱や不満を示す可能性があります。
プロダクトアナリティクスでは、このようなデータポイントを分析することで、ユーザー体験の不満からレイジクリックに至るエリアを特定するのに役立ちます。
ソフトウェアアプリケーションを改善するレイジクリックデータの活用方法
ユーザーがレイジクリックを行う理由を理解することで、企業はソフトウェアアプリケーションを改善するための的確な行動を取ることができます。
- バグの修正:レイジクリックにより技術上の問題を特定できます。このデータを分析して、対処が必要なバグを特定します。
- ユーザビリティの向上:レイジクリック数が多いエリアでは、ユーザビリティに関する問題が発生している可能性があります。紛らわしいインターフェースを再設計し、要素を明確化し、ユーザーフローを合理化します。
- 開発の優先順位付け:レイジクリックデータを活用してユーザーが抱える問題点を把握し、その不満に対処する機能の開発に集中します。
- オンボーディングの改善:オンボーディング中にレイジクリックが発生する場合、サインアッププロセスがわかりにくいことを示します。オンボーディングチュートリアルを改善し、明確な指示を提供します。
ユーザビリティの指標としてレイジクリックを活用する場合の制限事項
レイジクリックはユーザーの不満を示す貴重な指標ですが、考慮に入れておくべき制限事項があります。
- クリックの誤解釈:高速クリックのすべてがレイジクリックであるとは限りません。ユーザーの癖や技術上の不具合がレイジクリックに似る場合があります。
- 原因の特定:レイジクリックは、より大きな問題の兆候である可能性があります。レイジクリックデータを他のユーザーフィードバック方法と組み合わせて分析することで、根本原因を特定できます。
レイジクリックと併せてユーザーフィードバックデータを活用する方法
UXを包括的に理解するには、レイジクリックなどの定量的データだけでは不十分です。レイジクリックイベントを検出することは必須で、Pendoのようなプロダクトアナリティクスプラットフォームは、クリック数(定量的データ)を記録してレポートを作成できます。ただし、定性的データ(ユーザーフィードバックなど)からはより深い理解が得られます。
- アンケートでは、ユーザーが自らの意見や不満を直接表現し、レイジクリックデータからインサイトを検証できます。(Pendoはアプリ内アンケートからのデータ作成および収集を簡易化します。)
- ユーザーインタビューでは、ユーザーの問題点に関する貴重な定性的データを提供し、レイジクリックの背後にある感情を明らかにし、定量的なレイジクリックデータの急増を検証できます。
- サポートチケットのデータ分析によって、ユーザーの抱える一般的な問題やユーザーが支援を必要とするエリアを特定できます。大量のチケットの使用は、特定の機能やページに対するレイジクリックデータを裏付けることができます。
さらに、ユーザー行動やセンチメントの理解に非常に有益な3つ目のデータとして、視覚的データが挙げられます。Pendoのセッション記録や再生、ヒートマップ、ユーザーフロー分析などの視覚的データは、レイジクリックやその他のイベントを引き起こしたユーザー行動をより正確に突き止める力をプロダクトチームに与えます。結局のところ、測定できないものは改善できないのと同様に、見えないものは修正できないことが多いのです。
定量的、定性的、視覚的なデータを組み合わせることで、プロダクトチームは以下のことが可能になります。
- 調査結果を三方面から捉える:UXの全体像を把握し、不満の根本原因に対処して改善できるようにします。
- 問題を効率的に解決する:より幅広い理解により、今後の開発に必要な改善点や新機能の優先順位付けをより効果的に行うことができます。
ここでは、3種類のデータを組み合わせる例をご紹介します。たとえば、オンライン販売者が、プロダクトフィルターメニューにレイジクリックが集中していることに気付いたとします。これは、ユーザーがプロダクトのフィルタリングに苦労している可能性を示唆する定量的データです。オンラインアンケートの参加者は、フィルターオプションが雑然としていて、直感的でないため、ユーザーが混乱を感じていることを確認しています。セッションの記録には、ユーザーが意図した結果が得られないオプションを繰り返しクリックしている様子が表示されています。このような定量的、定性的、視覚的なデータの組み合わせにより、販売者が再デザインすべきUIのエリアを特定できます。
Pendoは、これらすべてのデータポイントを1か所に集約し、このプロセスを合理化し、プロダクトチームがソフトウェアアプリケーションを改善するためのデータ主導型の意思決定を行えるツールを提供します。
レイジクリックデータを活用したプロダクトの改善事例
社名は挙げなくとも、企業がレイジクリックデータをうまく活用してプロダクトを強化した実例は数多くあります。
- あるeコマースプラットフォームは、モバイルチェックアウトページにレイジクリックが集中していることに気づきました。レイジクリックデータとユーザーの記録を分析したところ、ユーザーが誤った要素を繰り返しクリックする原因となる分かりにくいボタンレイアウトを特定しました。ボタン階層を明確に再デザインすると、レイジクリックが大幅に減少し、それに応じてチェックアウト完了数も増加しました。
- モバイルバンキングアプリを使って送金しようとしたユーザーが、高確率で取引を中断していました。レイジクリックデータとユーザーの記録から、ユーザーが「確認」ボタンに至るまでにスクロールダウンする必要があることが、不満とレイジクリックの原因であることが明らかになりました。ボタンの配置を変えて視認性を高めたことでレイジクリックが減少し、送金がスムーズになりました。
- ある動画編集ソフトウェアアプリでは、タイムラインの編集機能でレイジクリックが急増しました。レイジクリックデータ、ユーザーフィードバック、セッションの記録を分析したところ、特定のタイムラインの拡大/縮小が難しい点にユーザーが不満を感じていることが分かりました。プロダクトチームはより直感的な拡大/縮小機能を実装し、ユーザー抱える問題に対処してレイジクリックを減少させました。
上記はほんの一部で、何百とおりもの事例が存在します。さまざまな業界の企業がレイジクリックデータを活用して、ユーザビリティ上の問題を特定し、ユーザーの不満を理解し、プロダクトを改善しています。
レイジクリックの回避にPendoが理想的である理由
レイジクリックを完全になくすための単一のソリューションはありませんが、Pendoのプロダクトアナリティクスプラットフォームは、ユーザー行動を理解し、不満が生じているエリアを特定し、最終的にソフトウェアアプリケーションでのレイジクリックを減らすために特別に設計された堅牢なツールスイートを提供します。
Pendoはクリックストリームデータを提供するだけにとどまりません。定量的、定性的、視覚的なデータを組み合わせることで、アプリケーション内のレイジクリックの根本原因をより深く理解するのを支援します。
- 定量的データ:Pendoのプロダクトアナリティクスツールは、ユーザーイベントとイベントプロパティを収集します。このデータには、クリック数、スクロール、フォーム送信、エラーメッセージ、アプリケーション内のその他のユーザー操作が含まれます。この定量的データのパターンを分析して、クリックが集中しているエリアや短期間に高速クリックがあったエリアを特定します。
- 定性的データ:Pendoはユーザーフィードバックツールとシームレスに統合されているため、定量的データとともにアプリ内アンケートやフィードバックを収集します。この定性的データは、ユーザー行動の背後にある思考や感情に関する貴重なインサイトを提供し、レイジクリックの背後にある「理由」を理解するのに役立ちます。
- 視覚的データ:Pendoは強力な視覚的データツールスイートを提供します。
- セッションの記録:すべてのユーザー操作をキャプチャして、ユーザーのクリック対象、躊躇している場所、行き詰まっている場所を特定できます。セッションの記録は、レイジクリックの背後にあるコンテキストを理解し、レイジクリックに至るまでのユーザージャーニーの視覚化に特に役立ちます。
- ヒートマップ:ユーザーがページ上のどこをクリックしたかを視覚的に表現し、レイジクリックを示唆する過剰なクリックがあるエリアの特定に役立ちます。ヒートマップは、紛らわしいレイアウト、不明瞭な要素、またはユーザーが誤ってクリックする可能性のある場所を強調表示します。
- ユーザーフロー分析:ユーザージャーニーを可視化し、ユーザーが行き詰まり、レイジクリックにつながる潜在的な離脱ポイントやエリアを特定するのに役立ちます。ユーザーフローを分析すると、ユーザーが特定のタスクを放棄した場所、不満やレイジクリックに至りそうな問題に遭遇した場所を確認できます。
Pendoは、ユーザーデータの収集と提供だけでなく、アクションを起こすことを支援します。このプラットフォームは、ユーザーデータのセグメント化、ユーザーグループや機能別のレイジクリックのフィルタリング、時間経過に伴う傾向の特定に役立つ高度な分析ツールを提供します。これにより、改善の取り組みに優先順位を付け、レイジクリックを減らし、ユーザー満足度の向上に最も影響するエリアの開発に集中できるようになります。
Pendoは、プロダクト開発におけるデータ主導型のアプローチを実現します。レイジクリックとユーザー行動を継続的に監視することで、ユーザビリティ上の問題を早期に特定し、ソフトウェアの反復を行い、よりユーザーフレンドリーな体験を作成できます。この積極的なアプローチは、レイジクリックがユーザーにとっての大きな問題になる前に回避するのを支援します。
つまり、レイジクリックはユーザーにとっては苛立たしいものですが、プロダクトを改善する貴重なインサイトも提供してくれるものでもあります。Pendoのプロダクトアナリティクスプラットフォームは、ユーザー行動を理解し、不満が生じているエリアを特定し、最終的にソフトウェアアプリケーションでのレイジクリックを減らすことを目的としたツールスイートを提供します。
プロダクトアナリティクスを活用してレイジクリックを回避する方法の詳細
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