企業において、デジタルでビジネスを行うことやリモート業務への移行はパンデミックの前にすでに始まっていました。何年も前から、組織はクラウドベースのアプリケーションに移行し、さまざまなプロセスやサポート手段を自動化するための対策を講じてきました。Forresterのシニアアナリストで、ゲストスピーカーのVasupradha Srinivasan氏は、最近のPendoウェビナーで、コロナウイルスによってリモートワークとそれを可能にするために必要なデジタルインフラの成長が加速したと説明しています。「バックグラウンドで機能するソリューションを活用することで、どこでも仕事ができるようになる」と彼女は説明していますが、この新しい現実には、新しい課題も伴います。
企業にとってデジタルへの移行とは
調査の一環として、Forresterはテクノロジーに関する意思決定者を対象にしたアンケートを実施し、デジタルへの移行が何を意味するのかを聞きました。調査結果から、2021年の組織のソフトウェア支出の40%が新しいソフトウェアライセンスと新しいカスタムソフトウェアソリューションに費やされたことが分かりました。言い換えれば、企業の従業員が仕事をするアプリは、その数が増えただけでなく、より複雑かつカスタマイズ可能になってきているということです。
アプリスイートが大きく複雑になると、従業員のストレスや疲労が蓄積するリスクが高まります。「テクノロジーは、現在の従業員体験において、非常に重要な役割を果たしています」とSrinivasan氏は言います。そして、Forresterが発見したのは、ネガティヴな技術体験が従業員のストレスに大きく影響しているということでした。新しいソフトウェアや既存のアプリの変更に常に対処しなければならないうえ、アプリが期待したほどシームレスに機能しないことは、従業員の頭痛の種となっていたのです。
またSrinivasan氏は、CIOとCTOにかかる一連の期待と責任がますます複雑になってきていると説明しました。戦略策定や、さまざまな技術購入の意思決定、動的なアプリケーション環境で働く分散した従業員のニーズの管理、さらにはコスト管理を含めた企業目標の達成に至るまで、今日のビジネステクノロジーリーダーは、多くの仕事をこなさなければなりません。したがって、従業員の仕事環境をより良くするのに役立つテクノロジーへの投資を優先し、新しいテクノロジーを管理する能力の向上に焦点を当てるのは当然のことです。
デジタルアダプションプラットフォームであらゆる人の生活を快適にする
「ソフトウェアまたはユーザーに提供する機能をシンプルにする以外に、定着化を促進する真の方法はありません」とSrinivasan氏は明言します。そのため、企業組織の繁栄を支援する上で、デジタルアダプションプラットフォーム(デジタルアダプションソリューションとも呼ばれます)がこれまで以上に重要になっています。これらのプラットフォームは「ユーザー分析と行動分析および自動化を活用して、状況に応じた微調整とパーソナライズされたガイダンスを従業員に提供する」もので、3つの重要な点があります。
まず、ソフトウェアに対する従業員のエンゲージメントと体験を向上させます。適切なデジタルアダプションプラットフォームは、アプリ内で状況に応じたガイドを従業員に提供するため、従業員は必要なときに必要な場所で必要な支援を受けることができます。このガイドは、メタデータと行動に基づいて個々の従業員に合わせて調整できます。さらに、優れたデジタルアダプションプラットフォームは、エンタープライズアプリケーションスイート全体で従業員をサポートします。Srinivasan氏は、「1つの主要なアプリケーションでのサポートや、特定のユーザーグループや部門の課題解決について話しているのではない」と明言し、従業員のジャーニー全体をサポートする包括的な手段なのだと言います。
第二に、デジタルアダプションプラットフォームは、企業全体の生産性とパフォーマンスを向上させます。「従業員は、特定のアプリケーションで何かを実行する方法を見つけるために、たくさんの異なる画面を見たくはありません」と、Srinivasan氏は言います。デジタルアダプションプラットフォームを介してアプリ内でサポートが提供されれば、従業員は重要な業務に注力できます。さらに、デジタルアダプションプラットフォームが提供する豊富な分析により、チームは経時的にアプリ間の作業の流れを理解できます。これにより、従業員が行き詰まっている場所、ワークフローやプロセスを合理化する方法、組織の効率を高める機会がある無数の領域について、これまでにない視点を得ることができます。
最後に、デジタルアダプションプラットフォームが提供するインサイトは、量が豊富であるだけでなく、実用的でもあります。「現在投資しているあらゆるテクノロジーを活用してどうすればもっと成果をあげられるでしょうか。何を手放すことができますか?最適化できる場所はどこですか?」Srinivasan氏は、ITチームやビジネステクノロジーチームが必要とするソフトウェアを最大限に活用し、不要なソフトウェア(およびコスト)を排除する上で、最適なデジタルアダプションプラットフォームがどのように役立つかという例として、これらの質問を投げかけました。